数多くのスタッフが集まって、パーツとなる数々のシーンを共に創り上げ、その成果は一本の作品として結実する──そんな映画製作は、機械式時計とも似る。2023年冬公開の映画『PERFECT DAYS』が生まれる舞台裏、そのプロフェッショナルたちの手元で時を刻む、腕時計のあるシーン。
1955年に端を発する軍用航空クロノグラフを刷新。外観は旧作に想を得て、クロノグラフ作動中でも精度が落ちづらい垂直クラッチを採用し、リセットボタンは内部のバネによる一定の力で作動する仕組みとするなど、ムーブメントは大きく進化している。インデックスと針に施すベージュの蓄光塗料が、レトロな雰囲気を高める。「タイプ XX 2067」径42㎜。自動巻き。SSケース。2,585,000円
メッキとマスキングを繰り返し生まれる、細かな格子がWG、YG、PGカラーへとグラデーションを奏でるダイヤルは、100周年を迎えた「トリニティ」へのオマージュ。各格子は、手描きで縁取りされクッキリとした模様に。繊細かつ高度な装飾技術で、可憐な姿を創出した。「タンク ルイ カルティエ」縦33.7×横25.5㎜。手巻き。18KYGケース。2,112,000円
レトロなクッション型ケースを形作るのは、アルミ加工したグラスファイバーと熱硬化性エポキシ樹脂、スレートパウダーからなる複合材。そのメタリックな質感のケースとブラックセラミック製ベゼルによるモノトーンの外装、そしてビビッドなブルーが艶やかなコントラストを奏でる様子が楽しい。「エルメスH08」径39㎜。自動巻き。グラスファイバー・コンポジットケース。1,080,200円
初代に範を採る1957年誕生のレトロな外観が、75周年を記念する新色サマーブルーに染まった。繊細なブルーグラデーションダイヤルに対し、針やインデックスには淡いブルーの蓄光塗料を用いて爽やかにカラーコーディネート。既存ではアルマイト製だった逆回転防止ベゼルも、ブルーセラミック製にアップデートされている。「シーマスター300」径41㎜。自動巻き。SSケース。1,144,000円
スポーティなコレクションに、永久カレンダーを初搭載。複雑機構であっても、ケース厚8.65㎜の極薄を実現しているのが〈ピアジェ〉らしい。グリーンダイヤルを彩る横ストライプのゴドロン装飾は、ブレスレットの中リンクにも追加され、よりアイコニックに新装した。「ピアジェ ポロ パーペチュアルカレンダー ウルトラシン」径42㎜。自動巻き。SSケース。8,272,000円
３時位置の15分積算計は、５分ごとに３色に塗り分けたレガッタ仕様。1968年、ヨットレースのために生まれた「スキッパー」が、復活を果たした。ボックス型風防の採用でベゼルレス化した外観は、一層レトロな雰囲気。ストラップとダイヤルの色合わせも、完璧だ。「タグ・ホイヤー カレラ スキッパー」径39㎜。自動巻き。SSケース。847,000円
航空ファンなら一目瞭然。デザインのモチーフは、進行方向を示すコクピット計器、ジャイロコンパスである。黄色い戦闘機は飾りではなく、機首で指し示す時針。フレーム状として軽量化し、負荷を軽減した。中心から両端に延びる秒針が回転する様子は、レーダーの動きにも似る。限定999本。「BR 03 ジャイロコンパス」幅41㎜。自動巻き。セラミックケース。649,000円
モデル名のFXDは、Fixedの略。ラグ間をバーでつないで固定していることに由来する。ストラップはバーに引き通す仕組みで、海中での活動中にも不意に外れることがない。この構造は、1950年代後半からアメリカ海軍で使用されたミッションウォッチへのオマージュ。頑強な大型ケースはチタン製で、着け心地は軽快である。「ペラゴス FXD」径42㎜。自動巻き。チタンケース。540,100円
ケース厚は9.5㎜と、薄くエレガント。ベゼルはスリムなドーム型とフルーテッド、円を備えた特徴的な時針、スモールセコンドといったディテールは、往年のモデルを彷彿とさせる。〈ロレックス〉として稀有なトランスパレントバックからは、高精度で耐磁性にも優れる新開発のCal.7140が、美しい全容を現す。「パーペチュアル 1908」径39㎜。自動巻き。18KWGケース。3,045,900円
『BRUTUS』は2009年7月15日号で、日本人が初めて作り上げた純国産トゥールビヨンを初紹介した。作者の名は、浅岡肇。あれから14年。レンツォ・フラウによる名作ソファの背後に2台のマシニングセンタ（自動切削工具交換機能を持つ工作機械）が設置されたこの地下室は、彼の現在のアトリエである。世界的に認められた日本人独立時計師の、出発点と現在までの軌跡を追う。
photo/Shin-ichi Yokoyama text/Norio Takagi
メーカーなどに属さず、オリジナルウォッチを製作する時計師は、スイスを中心に少なからず存在する。彼らを称して独立時計師。2009年に初作「トゥールビヨン プロトタイプ」を創り上げた浅岡肇は、日本初の独立時計師である。2013年には国際的組織〈アカデミー独立時計師協会〉（AHCI）の準会員となり、世界デビュー（2015年から正会員）。会員数が三十数名という狭き門をくぐった彼だが、時計製作を誰かに学んだことはない。
東京藝術大学美術学部デザイン科卒業後、1992年に〈浅岡肇デザイン事務所〉を設立。プロダクトデザイナーとして活躍し、優れたCG制作者としても知られた存在であった。また一方で、早くから機械式時計に興味を持ち、所有する時計を自分で修理・調整し、また専門書を読み込み、ムーブメントの基本構造を覚え、組み立て技術を習得してきたという。
そして2005年頃から、当時デザイン事務所として使っていた原宿のマンションの一角に工作機械を整備し、オリジナルウォッチ製作に取り組み始めた。CG制作で培った技術を、同じくコンピューター上で三次元設計とシミュレーションができるCADに応用することで、精密な設計を実現。そのデータは、コンピューターと連携するCNCに自ら改良した古いフライス盤が読み取り、高精度な切削加工をかなえる。むろん、事は容易に進んだわけではない。トライ＆エラーを繰り返しながら、ノウハウを蓄積することで、誤差1000分の3㎜以下という、超高精度加工を実現したのだ。この精密加工技術により、構成するすべてのパーツに完璧な重量バランスが求められるトゥールビヨンを創り上げることができた。
オリジナルウォッチ製作に際し浅岡は、ムーブメントの部品に加え、ケースやダイヤル、針、リューズに至るまで、時計を構成するほぼすべてのパーツを自作してきた。精鋭揃いのAHCI会員の中でも、ここまで自作を貫く時計師は、極めて稀だ。こうして出来上がったパーツは、浅岡の手で入念に磨かれ、丁寧に組み立てられ、優れた美観と精度が両立される。
2011年に「トゥールビヨン プロトタイプ」を改良した「トゥールビヨン #1」を銀座・和光で販売。2013年、自身初のバーゼル・ワールドで発表した、直径16㎜の巨大なテンプで高精度を得る「TSUNAMI」は、各国の時計専門誌で取り上げられ、ハジメ・アサオカの名は、時計ファンに知られる存在となった。
浅岡は当初からその製作工程をSNSで公開している。「公開することで、若い人たちに時計製作に興味を持ってもらいたい」からだ。2014年に発表した「プロジェクトT」では、軸受けとなる人工ルビーの多くを極小のボールベアリングに置き換えた。これは航空宇宙部品を手がける由紀精密と切削工具メーカーのOSGとのコラボレーションから生まれた作品で、日本の優れた技術を海外へ紹介することも、目的の一つだった。
また2015年には日本の宝飾ブランド〈TASAKI〉のためにトゥールビヨンウォッチを製作するなど、活動の幅を広げていく。
そして2016年、浅岡は〈東京時計精密株式会社〉を設立。個人で手がける作品だけでなく、マスプロダクトの製作にも乗り出した。理由は「注文に追われ、自分が着けられる時計が作れないから」。デザインは浅岡が手がけ、ケースは信頼が置ける専用メーカーに委ね、ムーブメントはシチズン傘下のミヨタ社製を採用。2018年に新ブランド〈クロノトウキョウ〉銘で発売した第1弾は、機械式時計の入門機にふさわしい価格でありながら、品質とデザインに優れ、また浅岡の知名度とも相まってたちまち完売した。
その発売と同年、浅岡のアトリエは、東京・江戸川橋の印刷工場跡に移転している。冒頭の写真が、それだ。別ビルにも工房があり、若い技術者たちが「クロノトウキョウ」の組み立てに従事している。また来年に向けて新たな高級時計ブランドの構想も進行中。
2019年には、海外向けブランド〈クロノブンキョウトウキョウ〉を設立。これまで販売してきたすべてのモデルが、即完売するほどの人気を博している。日本でもECサイトから購入可能だったが、実機を見たいとの要望に応え、今年1月には〈クロノトウキョウ青山サロン〉をオープンした。
独立時計師という枠に収まらない活動を続ける中で、自身の注目度も高まる一方だ。昨年、卓越した技能者として表彰され、独立時計師としては初めて「現代の名工」となった。今年に入ってからも、〈ルイ・ヴィトン〉のウォッチ部門ディレクターであるジャン・アルノー直々の依頼で、独立時計師を支援するプロジェクト「ルイ・ヴィトン ウォッチ プライズ」の審査員に選ばれてもいる。また香港で開催されたフィリップス時計オークションに出品された「TSUNAMI」が146万500香港ドル（およそ2800万円）で、「プロジェクトT」が190万5000香港ドル（同3600万円）で高額落札され、作品の評価が極めて高いことが、改めて証明された。
独学で始めた時計製作が世界で認められ、ハジメ・アサオカは今や時の人となった。彼の作品を最初に紹介した本誌は、今後もその動向を追う。
あさおか・はじめ／1965年生まれ。90年東京藝術大学美術学部デザイン科卒業。92年浅岡肇デザイン事務所設立。2011年から本格的に独立時計師として活躍し、彼がすべて手がける作品の顧客には、王室や世界的な時計コレクターが名を連ねる。
海より深い、機械式腕時計の世界。中でも知っておきたい重要ブランドを、1つずつ解説する連載。その歴史や特徴を踏まえつつ、ブランドを象徴するような基本の「名作」と、2022年に登場した注目の「新作」から1本ずつ、併せて紹介します。毎回の講義で、時計がもっと分かるように。ウォッチジャーナリスト・高木教雄が講師を担当。【時計ブランド】パテック フィリップ、A. ランゲ&ゾーネ、ヴァシュロン・コンスタンタン、ピアジェ、ブレゲ、オーデマ ピゲ、ブランパン、ジャガー・ルクルト、パネライ……etc.
何かと殺伐としたこの時代。愛って。改めてそう問い直したい気分です。思えば、いつの時代も様々な形で愛を表現してきたのが映画でした。家族愛でも、恋愛でも、友情でも、人情でも。大きな愛情を描いた映画を観て、胸を打たれたい。愛に正解はないけれど、自分にとっての答えなら誰もが探しているはずだから。この特集では、愛を描いた映画を徹底的に集めて、そこから導かれる様々な愛の解釈を提示していきます。愛って。どのページを開いても、その答えが見つかる映画特集です。
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〈シャネル〉ウォッチのアイコンが、イエローゴールドと出会った。オリジナルムーブメントCal.12.1搭載モデルでゴールドとの組み合わせは、今回が初。ベゼルとリューズとをイエローゴールドで設え、さらにダイヤルの目盛り、そして針もゴールド仕上げとすることで、さりげないラグジュアリー感を添え、トータルで華やかさを高めている。元来「J12」の各ディテールは、スポーツウォッチやミリタリーウォッチの古典を引用しつつ洗練させているため、実は極めてクラシカル。それをセラミック製とすることで見事にモダナイズしているのだ。そこに明るい黄金色が差し込まれたことで、クラシカルな印象が、より際立った。ともすれば自己主張が激しくなりがちな金黒時計も、〈シャネル〉の手にかかれば、こんなにもエレガントになる。
「J12 キャリバー 12.1」径38㎜。自動巻き。高耐性セラミック＋18KYGケース。2,310,000円（シャネル／シャネル［カスタマーケア］ ☎0120・525・519）
普段は重なっている2つの時針のうち一方を、海外渡航時には前後に動かし、現地時間に合わせられる操作性と視認性とに優れた「トラベルタイム」は、1997年に特許を取得した〈パテック フィリップ〉による発明の一つだ。それが今年、初の24時間表示で登場した。これで渡航時にホームタイムの昼夜が一目瞭然となった。さらにケース左サイドのボタン操作だった調整も、リューズ操作へと再設計。ケースからの突起がないため、エレガントなフォルムが損なわれない。時インデックスはその外側のドットも含めフレーム状の植字で、内側にはたっぷりと蓄光塗料が載せられることで、暗所での優れた視認性を確保。そのゴールド製のフレームはダイヤルから鋭いエッジで立ち上がり、完璧な鏡面を成す。究極の手仕上げで、美を極めた一本。
「カラトラバ 24時間表示トラベルタイム 5224R」径42㎜。自動巻き。18KRGケース。8,657,000円（パテック フィリップ／パテック フィリップ ジャパン・インフォメーションセンター ☎03・3255・8109）
コレクション初のSSケースのために、同心円の波形を織り成すダイヤル装飾を考案。スモークベージュダイヤルは、八角形のミドルケースをセラミック製としたバイカラー専用。中心に向かうほど模様が淡くなる装飾との相乗効果でグラデーション感は一層高い。12インデックスをダブルバーとし、時分針にはスリットを設け蓄光塗料を載せるなど、ディテールにも手が加えられている。
「CODE 11.59 バイ オーデマ ピゲ クロノグラフ」径41㎜。自動巻き。SS＋ブラックセラミックケース。4,950,000円（オーデマ ピゲ／オーデマ ピゲ ジャパン ☎03・6830・0000）
表示を一切重ねない「ランゲ1」のコンセプトそのままに、元来のパワーリザーブ計を曜日表示に置き換え、月表示をダイヤル外周に配することで永久カレンダーを組み込んだ。月表示は6時位置のうるう年表示窓の下にある指標で読み取る仕組み。スモールセコンド内にあるムーンフェイズは、その背景の変化で昼夜も示す。この深遠なブラックダイヤルは、新色。複雑機構を、精悍な印象にする。
「ランゲ1・パーペチュアルカレンダー」径41.9㎜。自動巻き。Ptケース。価格要問い合わせ（A.ランゲ＆ゾーネ ☎0120・23・1845）
ダイヤルに備わる2つのレトログラードは、上が日付（デイ）表示、下が曜日（デイト）表示。メゾンを象徴するダブルレトログラード機構が、新色サーモンカラーに装った。デイ/デイト表示の針とインデックスが、ブルーでクッキリと浮き立つ様子が華やか。時分のインデックスはすべて植字で、パール状のミニッツトラックまで完璧な鏡面状に。ケースはプラチナ製。白く高貴な輝きを放つ。
「パトリモニー・レトログラード・デイ/デイト」径42.5㎜。自動巻き。Ptケース。8,888,000円。ブティック限定。年内限定生産（ヴァシュロン・コンスタンタン ☎0120・63・1755）
ゼンマイが一定量巻き上がるとローターと自動巻きの連携をカットし、パワーリザーブが40時間を切ると巻き上げを再開する。独自の画期的な自動巻き機構が、オーバーサイズデイトと組み合わされた。さらに2時位置のボタンでリューズ機構を切り替えるファンクションセレクターも搭載する。スケルトンのダイヤルは、グラフィカルかつカラフル。チタンモデルはわずか総重量96gと超軽量。
「RM 30−01 オートマティック デクラッチャブル・ローター」縦49.94×横42㎜。自動巻き。チタンケース。30,580,000円（リシャール・ミル／リシャールミルジャパン ☎03・5511・1555）
2002年に誕生した「タンブール」が、新章を迎えた。ブレスレットを統合したSS製ウォッチは、近年の市場を牽引する“ラグスポ”の流れに乗る。しかしサイドにブランド名を刻んだベゼルをスリムにし、ダイヤルは段差を設けて異なる仕上げを組み合わせるなど、ディテールの操作でエレガントな雰囲気を高めた。マイクロローター式、自社製の薄型自動巻きを搭載。その精度と美観にも、秀でる。
「タンブール オトマティック」径40㎜。自動巻き。SSケース。2,618,000円（ルイ・ヴィトン／ルイ・ヴィトン クライアントサービス ☎0120・00・1854）
〈ランボルギーニ・スクアドラ・コルセ〉とのコラボ最新作。オレンジの差し色や流麗なフォルムは、「ランボルギーニ レヴエルト」をモチーフとする。力強いフレーム構造のスケルトンダイヤルにコラムホイールを覗かせる、最新の自社製フライバッククロノグラフムーブメントを搭載。9時位置に姿を見せるテンプを傾けることで高精度を得る独創的な設計は、まさに〈ロジェ・デュブイ〉らしい。
「エクスカリバー スパイダー レヴエルト フライバック クロノグラフ」径45㎜。自動巻き。カーボン＋チタンケース。15,125,000円。限定88本（ロジェ・デュブイ／ロジェ・デュブイ 銀座ブティック ☎03・5537・5317）
上質な自社製ムーブメントを積む「トンダ PF」から、よりスポーティな新シリーズが登場した。特徴的なベゼルのローレット装飾の溝数を減らして、力強さを向上。パンダダイヤルのクロノグラフは、いかにもレーシーな雰囲気である。同時にダイヤル全体に繊細なクル・トリアンギュレール・ギョーシェを施し、エレガントな印象も併せ持たせた。ステッチを入れたラバーストラップもお洒落だ。
「トンダ PF スポーツ クロノグラフ」径42㎜。自動巻き。SSケース。4,158,000円（パルミジャーニ・フルリエ pfd.japan@parmigiani.com）
7日間駆動の自動巻きに、リューズで全暦表示が一斉送りできる永久カレンダーと南北両半球のムーンフェイズを搭載。〈IWC〉の象徴的なメカニズムを盛り込んだ自社製ムーブメントを、ホワイトセラミックのケースで包んだ。ブラックを背景にホワイトで明確なコントラストを成す視認性に優れたダイヤルは、パイロットウォッチの真骨頂。堂々たる大型ケースで、複雑機構を腕で誇れる。
「ビッグ・パイロット・ウォッチ・パーペチュアル・カレンダー・トップガン“レイク・タホ”」径46.5㎜。自動巻き。セラミックケース。5,538,500円（IWC／アイ・ダブリュー・シー ☎0120・05・1868）
近年、ムーブメント開発に積極的に取り組む〈グッチ〉は今年、複雑機構の永久カレンダーを自社製で叶えてみせた。初搭載したのは、フラットなクッション型を特徴とする「グッチ 25H」。そのケース厚は9.7㎜と、同機構としては異例の薄さを実現し、技術力の高さを見せつけた。左右のデイデイト表示をディスク式とし、各表示窓のフレームをビス留めするなど、豊かな表現力も発揮した。
「グッチ 25H パーペチュアル カレンダー」径40㎜。自動巻き。18KPGケース。6,820,000円（グッチ／グッチ クライアントサービス ☎0120・99・2177）
ケースサイドのカーブと一続きでラグを形成したレトロなフォルムを、フラットな幅広ベゼルがモダナイズする。新しいテイストでデザインされた新生「パイロット」コレクションに、フライバック機構とビッグデイトを追加した名機エル・プリメロを搭載。3時位置の30分積算計のフレームをレインボーカラーに塗り分け、1997年誕生の名作「レインボー・フライバック」へオマージュを捧げた。
「パイロット ビッグデイト フライバック」径42.5㎜。自動巻き。SSケース。1,463,000円（ゼニス／LVMHウォッチ・ジュエリー ジャパン ゼニス ☎03・3575・5861）
月の大小を自動に判別し、年に1度、3月1日だけ調整すれば済む、実用的なアニュアルカレンダーを自社開発。月表示はダイヤル外周のリングに託し、デイデイト表示窓の横の指標で示す仕組みで、3つの暦表示を一列に並べ、一目瞭然とした。サンバースト仕上げのダイヤルは、ブルーのニュアンスが豊か。プラチナをわずかに加えた独自の18金製ケースは、華やかな赤い色調が長く色褪せない。
「ラジオミール アニュアルカレンダー ゴールドテック™」径45㎜。18Kゴールドテック™ケース。自動巻き。5,448,300円（パネライ／オフィチーネ パネライ ☎0120・18・7110）
マザー・オブ・パールを背景に、オフセットダイヤルとデイトのインダイヤル、そしてムーンフェイズの3つの円がアシンメトリーに重なる様子が印象的。ムーンフェイズは90度傾けて設置され、上から下へと月が動きながら満ち欠けするのもユニーク。ダイヤル上の3つの表示と、ケースの隅々にまでセットされるダイヤモンドは総計352個、計約4.45カラットにも及び、ラグジュアリーを極めた。
「HW オーシャン・デイト ムーンフェイズ オートマティック 42㎜」径42㎜。自動巻き。18KWGケース。11,385,000円（ハリー・ウィンストン／ハリー・ウィンストン クライアントインフォメーション ☎0120・346・376）
大理石にも似た質感を見せる黒いケースとブレスレット、ダイヤルは、いずれもカーボン製。ケース厚6.9㎜の極薄とも相まって、手に取ると驚くほどに軽い。ニュアンス豊かな黒い外装と、RG製のリューズと針、インデックスとのコントラストがあでやか。裏蓋側に姿を見せる自社製ムーブメントも、全体をRGカラーに華やかに染め上げている。極薄ながら100m防水。日常使いにも頼もしい。
「オクト フィニッシモ カーボンゴールド」径40㎜。自動巻き。カーボンケース。3,872,000円（ブルガリ／ブルガリ ジャパン ☎03・6362・0100）
1978年製モデルに範を採り、世界的な大ヒットとなったブレスレット一体型ウォッチ「PRX」に、小ぶりなケースが投入された。古くはボーイズサイズと称された35㎜ケースは、ジェンダーレスな時代の流れに合う。しかも最長80時間のパワーリザーブを誇る自動巻き「パワーマティック 80」を搭載。耐磁性にも優れ、デジタル社会に対応する。ダイヤルはマザー・オブ・パールを格子状に仕上げた。
「ティソ PRX 35㎜ パワーマティック 80」径35㎜。自動巻き。SSケース。113,300円（ティソ ☎03・6254・5321）
同じグループ傘下にある〈ブランパン〉が1953年に生み出した、ダイバーズウォッチ始祖「フィフティファゾムス」にインスパイアされた新作。5モデルが展開される中、6時位置にツートーンの円が備わる本作は、米国海軍向けの「フィフティ ファゾムス MIL−SPEC」をモチーフとする。51個のパーツから成る自動巻き「SYSTEM51」を搭載。防水性能は9気圧でビーチでも安心して着けられる。
「バイオセラミック スキューバ フィフティファゾムス アトランティック オーシャン」径42.3㎜。自動巻き。バイオセラミックケース。60,500円（スウォッチ／スウォッチ コール ☎0570・004・007）
昨年登場した300m防水の本格ダイバーズウォッチの新色となる一本。金属盤の表面を木でこする装飾技法「グラテ・ボワジ」で氷河の質感を表現したダイヤルを、グレーに染め上げた。その色合いは、氷河の深奥を覗き込むかのよう。逆回転防止ベゼルをブラックセラミック製としたモノトーンの外観は、極めて静謐な印象。ブレスレットを着けたまま長さ調整ができるのは、実に便利だ。
「モンブラン 1858 アイスシー オートマティック デイト」径41㎜。自動巻き。SSケース。489,500円（モンブラン／モンブランお客様サポート ☎0800・333・0102）
入念な手仕上げが行き渡る、自社製高級ムーブメント「L.U.C」が、トゥールビヨン以外では初めて「アルパイン イーグル」に搭載された。用いたのは、マイクロローター式の極薄自動巻き。それを収めるケースも8㎜厚と薄くなり、エレガントな印象を一層高めた。ケースとブレスレットは原料の80％がリサイクル由来の独自スティール製で通常のSSより白い輝きを放ち、耐摩耗性にも秀でる。
「アルパイン イーグル 41 XPS」径41㎜。自動巻き。ルーセントスティールケース。3,355,000円（ショパール／ショパール ジャパン プレス ☎03・5524・8922）
角形時計で名高いが、丸形にも多くの名機を有する。レトロな印象のダイヤルデザインは、1968年誕生のアラーム付き潜水時計からの引用。そこにニスを約40層も重ねた上からカラーラッカーと透明ラッカーを繰り返し塗布した後に研磨し、繊細なグレーのグラデーションを織り成した。クロノグラフ作動中でも精度が落ちにくい自社製ムーブメントを搭載。ブラックラバーストラップも付属する。
「ポラリス・クロノグラフ」径42㎜。自動巻き。SSケース。2,266,000円（ジャガー・ルクルト ☎0120・79・1833）
航空用回転計算尺を腕時計に初めて搭載し、1952年に誕生したパイロットクロノグラフの傑作「ナビタイマー」の日本限定モデルに、過去人気を博したマザー・オブ・パール製ダイヤルが再登場した。インダイヤルをグレーとし、12時位置に掲げる国際オーナーパイロット協会の翼のロゴと植字インデックス、そして針にゴールドをあしらった気品を感じる佇まいは、日本人の感性に合う。
「ナビタイマー B01 クロノグラフ 41 ジャパン・エディション」径41㎜。自動巻き。SSケース。1,353,000円（ブライトリング／ブライトリング・ジャパン ☎0120・105・707）
昨年、創業190周年記念モデルで採用し、大好評を博した一つずつ機械彫りしたブレゲ数字。これを引き継いで採用したニューモデル。鋭利な彫り跡を残す数字は奥行き感がたっぷり。ダイヤル外周のフランジに配したドットインデックスも機械彫りである。日付表示がないスモールセコンド仕様と絶妙な小径化、ブルースチール製のリーフ型針もヴィンテージ時計ファンの琴線に触れるだろう。
「ロンジン マスターコレクション」径38.5㎜。自動巻き。SSケース。378,400円（ロンジン ☎03・6254・7350）
1967年、その後の〈グランドセイコー〉のデザインコードを決定づけた「44GS」の外観を、36.5㎜サイズにも継承。「44GS」史上最小モデルに、ブレスレット仕様のレギュラーモデルが新登場した。2本のポリッシュラインがきらめく小ぶりなブレスレットウォッチは、男女を問わず着けこなしやすい。ダイヤルには放射模様を型打ち。その直線的な美観が、平面で構築したケースの造形と響き合う。
「ヘリテージコレクション SBGW299」径36.5㎜。自動巻き。SSケース。693,000円。11月10日発売（グランドセイコー／セイコーウオッチお客様相談室 ☎0120・302・617）
イオンプレーティング処理によって虹色を呈するSSベゼルに施したエッチングは、都会の街がモチーフ。カーボンとカラーグラスファイバーを積層させたケースサイドのフレームも、黒を境に虹色が華やぐ。ダイヤルのインデックスと針、ロゴも虹のようなグラデーションで仕上げ、日付表示の数字も日ごとに異なるカラーが現れる仕掛けに。随所に虹色を配し、都市にきらめく夜の情景を表現。
「G−ショック MTG−B2000YR」径49.8㎜。クォーツ。樹脂＋SSケース。187,000円（カシオ／カシオ計算機お客様相談室 ☎0120・088925＊IP電話・公衆電話からは ☎03・5334・4869）
2021年に登場した精度と審美性とに秀でた高級機械式ムーブメントCal.0200が、デイト表示が備わるCal.0210へと進化。電解メッキを重ねる電鋳で設えた、砂地模様のダイヤルに開けた日付窓にはメタルフレームをはめ込み、高級感を高めている。完璧な調和を果たすブレスレットとケースは、ヘアラインとポリッシュとに丁寧に仕上げ分けられ、潔いフラットな多面構成のフォルムが際立つ。
「ザ・シチズン メカニカルモデル Caliber 0210」径40㎜。自動巻き。SSケース。880,000円（シチズン／シチズンお客様時計相談室 ☎0120・78・4807）
