A NEW WORLD, NEW WATCHES
2023年、ジュネーヴ。時計の未来は、ここから始まります
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時計界の新年は3月下旬、ジュネーヴで明けた。世界最大の新作時計見本市『ウォッチズ&ワンダーズ ジュネーヴ』が開催されたからだ。
多くのリテーラーとメディア関係者がジュネーヴに集結し、パンデミックの終焉を実感させた、会場の様子をリポートする。

A NEW WORLD,
NEW WATCHES
2023年、ジュネーヴ。
時計の未来は、
ここから始まります

時計界の新年は3月下旬、ジュネーヴで明けた。世界最大の新作時計見本市『ウォッチズ&ワンダーズ ジュネーヴ』が開催されたからだ。
多くのリテーラーとメディア関係者がジュネーヴに集結し、パンデミックの終焉を実感させた、会場の様子をリポートする。

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INTRO

スイス・ジュネーヴの
現地リポート。
次の時計はどうなる?

世界最大の時計見本市『WATCHES AND
WONDERS』とは?

 時計ファンであれば、かつて2つの大きな時計の新作見本市が、スイスで開催されていたことをご存じだろう。1つは1972年に始まった宝飾時計見本市『バーゼル・ワールド』(旧バーゼル・フェア。チケットを買えば誰でも入場でき、多くの時計愛好家で賑わっていた。しかし、その状況がラグジュアリーではないと、高級時計ブランドが1991年に立ち上げたのが、完全招待制の『国際高級時計サロン』(sihh)、通称ジュネーヴ・サロンである。

 出展ブランドの入れ替わりは頻繁にあったものの、うまく棲すみ分けができていた2つの見本市に2019年、転換期が訪れた。出展料の高騰やホスピタリティに対して不満を抱えていたスウォッチグループがバーゼル・ワールドから撤退。sihhでも、〈オーデマピゲ〉と〈リシャール・ミル〉が、翌年からの不参加を表明した。これを重く見た各主催者は、見本市の改革を模索。そしてsihhは2020年、『ウォッチズ&ワンダーズ ジュネーヴ』(以下w&w)へと生まれ変わり、新作時計見本市は新たな局面を迎える……はずであった。しかし世界中を襲ったパンデミックにより、バーゼル・ワールドともども中止を余儀なくされてしまった。その翌年、w&wは〈パテックフィリップ〉と〈ロレックス〉を迎え入れ、早々にオンライン開催を発表。一方のバーゼル・ワールドは、打開策を見つけられぬまま事実上消滅してしまった。そして昨年、〈グランドセイコー〉をはじめ旧バーゼル組のいくつかのブランドが新たにw&wに合流。対面開催にこぎつけたものの渡航制限などの関係で、来場者は限られた。そして迎えた2023年、各国の渡航条件が緩和され、多くのリテーラーやメディア関係者がジュネーヴを訪れた。主催者側の発表によればその数、実に昨年の約2倍となる4万3000人。出展ブランドも10増えて48となり、w&wは文字通り、世界最大の新作時計見本市となった。

 会場は、sihh時代と同じジュネーヴ空港近くの巨大コンベンション施設〈パレクスポ〉。2つのホールが使われ、入口を入って右側が旧sihh組用。そして左側の旧バーゼル組のホールでは、〈パテック フィリップ〉や〈ロレックス〉が、バーゼル・ワールド時代のブースをそのまま建て込んでいて、懐かしい思いが湧き起こる。招待客に無料でドリンクや食事が提供されるのは、sihh時代と同じ。そこかしこに置かれたソファで来場者はくつろぎ、シャンパン片手に時計談議に花が咲く。時計界に日常が戻ってきた。

2023年の注目すべきメゾン、
モデル、そして新傾向は?

 W&Wの今年の開催期間は、3月27日〜4月2日の1週間。しかも週末となる最終2日間は、晩年のSIHHと同じくチケット制で一般に開放されるため、取材はままならない。とても全48ブランドを回り切れないスケジュールの中、可能な限り取材のアポイントを入れた。やはり新作を実際に手に取り、つぶさに観察できるのは楽しい。そしてコロナ禍に見舞われた3年間、各時計ブランドは決して停滞することなく、技術研鑽に励んでいたと実感させられた。ケースやダイヤルの仕上げが、多くのブランドでパンデミック前よりも向上していたのが、その証しの一つ。表現も多様化し、いつになく大胆なフォルムや華やかなカラーリングが試みられていた。この後で紹介する〈シャネル〉や〈パテック フィリップ〉が、その好例。また顔馴染みの時計店からは〈カルティエ〉の外装仕上げの良さを絶賛する声がいくつも聞かれた。メカニズムにおいては、クロノグラフの良作が、いくつも登場していた。中でも大注目されていたのは、〈ロレックス〉。60周年を迎えた「コスモグラフ デイトナ」が、2000年以来となる新ムーブメント搭載となりフルモデルチェンジされたからだ。そのブースでは、1963年に誕生した初代から2016年に発表された前作までの歴代デイトナが展示されて、多くの来場者が見入っていた。オークションで落札価格が億超えとなる超稀少モデルが見られるのはめったにない機会だ。

 日本勢で唯一参加した〈グランドセイコー〉も、初の機械式クロノグラフを発表。ブースは、バーゼル時代の流用ではなく、木の格子を多用するなど和のテイストを強く打ち出した新デザインで、来場者の注目を集めていた。そう、SIHHやバーゼル時代から、各ブランドはブースの演出に凝ってきた。単に新作を展示するだけにとどまらず、例えば〈パテック フィリップ〉は、現行ムーブメントをすべて展示し、〈A・ランゲ&ゾーネ〉はその年の自信作をそのままの形で巨大なクロックに仕立てるといった具合に。チケット購入した来場者にとって、これらブースの展示も、大きな楽しみの一つ。またジュネーヴ市もW&Wに全面協力し、新作時計を描いた看板がそこかしこに掲げられ、「イン・ザ・シティ」と名づけた関連イベントが町のあちこちで催されていた。町中が時計一色に染まるW&Wへの時計ファンの関心は深く、1万枚が用意された70スイスフランの一般入場チケットは、即完売したとか。来年もチケット販売が決定。時計ファンなら、一度は訪れる価値あり!

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〈CHANEL〉IN
THE MORNING
STARRING / HIO MIYAZAWA
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日本人はブランドでしか時計を選ばないのか!?

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No.988 2023年7月3日 840円

いま古着が大ブームだといわれるほど、全国のたくさんの街に、実に魅力的な古着店が増えています。アメリカやユーロなどのさまざまなカテゴリー、古き良きヴィンテージから1990~2000年代の比較的最近のものまで、いい古着に出会える日本は、まさに古着天国だと思います。そんな恵まれた環境にあるいまこそ、古着との出会いを心から楽しみたい。大人だからこその古着との付き合い方、着こなし方を考えたい。もちろん、いい古着店をたくさん知りたい。古着は自由で、刺激的で、学びがあるもの。まずは気になるあの店を訪ねてみよう!第2特集は時計。

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