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中山英之が「グッチ ガーデン アーキタイプ」展を体感。会場を巡るポッドキャストも配信

本誌(2021年9月15日発売号)で「グッチ ガーデン アーキタイプ」展のデジタルルームツアーに参加し解説してくれた、建築家・中山英之さんが実際のイベント会場に足を運び、リアルツアーを敢行。そのインプレッションを語ってくれました。テキストと音声でレポートします。

Photo: Shoichi Kajino / Text: Masae Wako

〈グッチ〉のブランド創設100周年を記念し、今年5月にフィレンツェのグッチ ガーデンで開催された「グッチ ガーデン アーキタイプ」展が上海、香港を経由し、このたび日本に上陸した。これはアレッサンドロ・ミケーレがクリエーティブ・ディレクターに就任した後の広告キャンペーンの世界をシーズン・テーマごとに表現した13の展示室で構成されているエキシビションだ。

伝統を深く読み解く力と
美しく裏切って昇華させる感覚

「これ知ってる!という既知の感覚や景色と、知らなかった!という未知の世界や興奮を、パシッと予想外の方法でくっつけて差し出してくれる。アレッサンドロの発想やクリエーションに驚かされる瞬間が、13の部屋を巡る中でいくつもありました。

博物館のような架空のコレクターの部屋も、シュールな絵画をモチーフにしたハイブリッドな“ユートピア”も、ブランドの伝統に敬意を払ったうえで、読み解いて、遊び、裏切り、キラキラしたものに昇華させている。おそらくそれは、ものごとを考え続け、集め続け、つきつめた先にだけ訪れる飛躍なのでしょうね。

もやもやを突き破ってくれる時代の担い手として、共感するし憧れもします。

アレッサンドロが手がけた広告キャンペーンムービーを見て、建築家としての思考や想像力を刺激されたのも良い体験。実はそのことが僕の頭の中では、アルフレッド・ヒッチコックの映画と結びつきました。ヒッチコックの作品は、先にシナリオがあるのではなく、まず彼だけのひらめきがある。

だからこそ僕たちに、知らなかった世界を見せてくれる。アレッサンドロのひらめきから生まれた部屋でも、それぞれに脳内や気持ちがスパークする瞬間があって、ぜんぶ見終わった後に13本の短編映画ができそうな感覚を受けました」

ポッドキャストで中山さんの
インプレッションをもっと聞く

雑誌「BRUTUS」とSPINEARの連動ポッドキャストがスタート。今回は中山英之さんが「グッチ ガーデン アーキタイプ」展を巡り、体感した模様を音声でお送りします。めくるめく空間からヒントを探し、時に独自の解釈を加えながら、想像をはるかに超えた詳細解説。エキシビションをより面白く、理解するためのガイドとなるはずです。

Room 1

2018年秋冬コレクションのテーマとなった“コレクター”を、ファンシーなぬいぐるみや鳩時計、青い蝶の標本が埋め尽くすインスタレーションで表現。部屋の主はものの魔力に取りつかれた架空の収集家。狂気的でけなげで美しい自己表現が、鏡張りの天井や床によって永遠に続く。

グッチ ガーデン アーキタイプ 中山英之

Room 9

スペイン人アーティスト、イグナシ・モンレアルによる2018年春夏の広告キャンペーンビジュアルを再現した空間。描かれているのは、シュールな画風で知られる画家ヒエロニムス・ボスの『快楽の園』やヤン・ファン・エイクの『アルノルフィーニ夫妻像』のような世界観。よく見るとアレッサンドロの姿やハンドバッグなどの製品も。

グッチ ガーデン アーキタイプ 中山英之

Room 10

ダンスフロアから音楽が漏れ聞こえてくる、ベルリンのクラブの化粧室。超リアルなマネキンや個室のドアからのぞく誰かの足元に驚きつつ広告キャンペーンのムービーを振り返れば、深夜のショッピングセンターや地下鉄のホームを若者たちが疾走するシュールなシナリオとなっている。「最高!」と中山さん。

グッチ ガーデン アーキタイプ 中山英之