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中川諒「赤恥研究所」#3:駆け込み乗車絶対ダメ!そもそも、あなたは公衆の圧に耐えられるのか?

日常に潜む、赤っ恥な場面をどう切り抜けるか。あなたの人間力が試されるときです。「恥」をポジティブに捉えることができれば、人生を切り拓くキッカケにもなるのです。人生のカンフル剤に、あなたはちゃんと向き合えますか?前回の「よだレインボー」も読む。

text: Ryo Nakagawa / illustration: Kaori Asamiya

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駆け込みポーカーフェイス

駆け込み乗車に間に合わなかった人

はぁ……、はぁ……、はぁ……。ヤバい。こんな日に限って……。でも今日は、絶対遅れられない!走れば間に合う、ハズ。でも、こんなに走ったの、いつぶりだろ。もう背中大汗。ハッ、やばい!たくさん人が階段から下りてきた。これ電車来てるーー!階段、キツイ!脚、もうあがらない……。あとちょっと。アッ、とちょっとーーーー!!!

(プシュー)「駆け込み乗車はご遠慮くださーい」

……間に合わなかった。冷静な声のアナウンスとともに、電車の扉はわたしの目の前で無情にも閉まっていった。それと同時に、わたしはあることに気づいた。車内から扉越しに冷たい視線が、私に浴びせられていることに。ここでわたしはようやく我に返った。ミンナ・ワタシヲ・ミテイル。冷たい目で。憐れむような目で。もう耐えられない。わたしがその場でくるりと方向転換したのも束の間。その目線は、車内からだけではなかった。ホームに並ぶ、たくさんの目もわたしに向けられていた。顔はスマホに落としたまま、目だけがジロリとこちらを見ていた。さっきまでかいていたはずの汗も、一気に引いていった。ああなんて、恥ずかしい。

こういうときはどれだけ「そもそも乗る気はありませんでしたよ感」を出せるかにかかっている。そしてさっさと、ホームの一番端まで歩くのだ。登場シーンをリセットするしかない。しかしギリギリ乗れたとしても、わたしは結局皆の目線に耐えられずに車両を移っただろう。乗れても地獄。乗れなくても地獄。恥注意報発令!駆け込み乗車は、恥的にもハイリスクだった。駆け込み乗車、ダメぜったい!

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