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AIで絶賛進化中。〈アドビ〉が描くクリエイティブの未来って?

クリエイティブな趣味に仕事に、いつもそばにあった〈アドビ〉のアプリケーションが一気にパワーアップしたのを知ってました? 年に1度、世界各地を結んで行われるクリエイターの祭典〈Adobe MAX 2021〉で進化が一目瞭然。この先、クリエイティブにどんな未来が広がっているのか、BRUTUSが3つのポイントで解説!

Text: Hirokuni Kanki


今からアクセスできる〈Adobe MAX 2021〉は、未来を覗き見できるバーチャルイベント

2021年10月27、28日(日本時間)、世界同時に開催された〈Adobe MAX 2021〉 。これは世界最大をうたったクリエイターのカンファレンスで、コロナ禍の前はロサンゼルスを会場に毎年60以上の国と地域から1万人を超えるクリエイターが集っていた。

2020年に続いてオンライン開催となった今年は、映画監督のクロエ・ジャオや女優のティルダ・スウィントン、渡辺直美に佐藤可士和まで、さまざまな分野からゲストが参加。トークやライブ、最新アプリケーションの解説などで大いに盛り上がった。バーチャル開催ならではのメリットとして、無料で誰でもアクセスできたのがうれしい。「うわー、見逃してしまった!」という人も大丈夫。400を超えるプログラムのほとんどがアーカイブ上に保存されていて、いつでもアクセスして見直せる。

世界のクリエイターたちが注目したのは、主要アプリケーションの大幅なアップデート。グラフィックデザインやWebデザイン、写真や動画編集、3Dデザインまでをサブスクリプションで利用できるAdobe Creative Cloudのすべてにわたって「AIの進化」が重要なポイントだった。ここでは、BRUTUSが予感した「3つの未来」について順に解説していこう。

1、AIのサポートで、デジタル世界がもっとリアルになる未来

アドビが開発して5年目になるAIの名前は「Adobe Sensei」。機械学習を続けてどんどん賢くなっている。じゃ、なんで生徒じゃなくて「先生」なのかって? それは、Adobe Senseiのサポートで可能になることを見るとわかる。カユいところに手が届くサポートから、デジタルクリエイティブの新たなステージまで、一手に引き受けている偉大な先生なのだ。

例えば、Adobe Photoshop(デスクトップ版)に採用された3つの「ニューラルフィルター」では、写真が一瞬で「ウソッ!?」と化けるような加工ができる。緑広がる真夏の風景を、雪景色に変えることも朝飯前。編集作業では、残すオブジェクトをAdobe Senseiが判断して切り抜き範囲を自動で指定できるのもうれしい。つまり、以前ならいくつものツールを使って数時間〜十数時間もの時間をかけていた作業が、直感的な操作で数秒間で済むということだ。

動画編集のAdobe Premiere ProもAdobe Senseiが強力にサポート。例えば、楽曲の「リミックス機能」は、オーディオパターンと音の強弱を分析して、動画ファイルの長さに収まるように楽曲を自動調整してくれる機能。これで動画コンテンツの制作がサクサクできる。

2、チームワーク環境で、時間や空間を超えて共に作る未来

コロナ禍によって一気に普及したテレワークやオンライン授業。リモート環境でミーティングしたり、もの作りをしたり、会えない仲間たちと力を合わせる機会が増えた。海外出張もままならない状況では、時差と戦いながら共同作業していた人もいたはず。

「Creativity for All:すべての人に『つくる力』を」の理念を掲げる〈アドビ〉がベータ版で提案したのが、地域やタイムゾーンをまたいだハイブリッド型のチームワーク環境。従来のアプリケーションがWebブラウザを利用できるようになったのが特徴だ。メンバーたちが場所を問わず、複数のデバイスやスクリーンを横断しながらリアルタイムに連携できる。

まずは、PhotoshopとIllustratorにWeb版が登場。たとえCreative Cloudに登録していない人とのあいだでもクラウドドキュメントを共有することができるから、いつでも、どこでも、誰とでも、ファイルの編集やチェックなどの共同作業ができる。成果物を納品前に書き出し、メールでいちいちチェックを依頼する……なんて手間からはおさらばだ。

アイデアから実制作まで、すべての工程でハブとなる場を担うのが「Adobe Creative Cloud スペース」と「Adobe Creative Cloud カンバス」という新機能。どちらもプロジェクトに必要なものや作品ファイルをクラウド上の1箇所に置くことで、レビューや意見交換をWebブラウザ上で完結させるというワンストップの発想だ。コロナ禍で多くの人がビジネスで使うようになった、テキストベースのビジネスチャット(スラックなどが例)を超えた便利さがある。

3、コンテンツ認証機能で、クリエイターがちゃんと守られる未来

すべてのクリエイティブを支えたいという〈アドビ〉の姿勢を伝えるのが、現在、2800万人以上のクリエイターが参加する、クリエイターのためのSNS「Behance(ビハンス)」。〈アドビ〉が運営する「Behance」は、昨年だけで1億6000万人以上が訪問し、公開されている作品の閲覧数は22億5000万回以上だという。

もともとBehanceを作品ポートフォリオに使うクリエイターは多かったが、さらに収益化をサポートする役割が加わった。プロジェクトページやライブストリーミングページから有料サブスクリプションへ案内でき、〈アドビ〉に手数料を支払うことなく、自身の作品を購入する登録者からの収益を100%得られる仕組みだ。

このようにデジタル作品がちゃんと流通する仕組みができれば、クリエイターのキャリアを支援できる。でも、コピーやパクリがまかり通ってしまったら台なし……といった不安にも対応。それが、「コンテンツ認証イニシアチブ」(CAI)に基づいて開発された「コンテンツクレデンシャル」機能だ。

まずはPhotoshopで作成した画像ファイルから、コンテンツの帰属情報や来歴などが埋め込めるようになった。画像から作者が認知できることが一般的になれば、フェイク作品がまかり通ることもないだろう。今、熱い視線を浴びているNFTアートのマーケットプレイスにも接続されるというから、ますます楽しみだ。

「コンテンツクレデンシャル」機能の導入によって、Photoshopファイルにクリエイターの情報、編集した内容、写真が撮影された時間と場所など、コンテンツの詳細な来歴を埋め込めるようになる。

さらにシビれた、開発現場からの裏情報

例年好評なのが、開発中のテクノロジーをチラ見せするMAX Sneaksというセッション。今年もキーナン・トンプソン(NBC『サタデー・ナイト・ライブ』の歴代最長レギュラーであるコメディアン)に対して9人の開発者がプレゼンテーションした。

そこで展開された未来のサービスはまさにマジック。例えば、同じ犬を時間差で撮影した2枚の写真。この間をつなぐアニメーション(AIで作成した無数の写真)を自動で仕上げてしまう。“Adobe Sensei”が本気になると、存在しない現実がこんなカンタンに作れてしまうなんて……。

そのほかの新技術は、光と影、立体の表現に関するものなど、デジタルが生み出す表現を「いかにリアルか」に見せる技術が格段に進歩している印象だった。フェイク情報と戦う準備を〈アドビ〉が進める理由も、こんなテクノロジーの進化にあるんじゃないか。とはいえ、便利だったりユニークだったり、あっと驚くインパクトを受けたり、数々の新サービスが楽しい方向に向かって開発されている安心感もあった。

テクノロジーが発展しても、やっぱり人の発想や創造性が大事

今年も最新情報が盛りだくさんのAdobe MAX 2021。全編を通してところどころで聞かれたのが「ストーリー」というキーワードだった。どんなにAIやデジタル技術が発展しても、新たなクリエイティブを生み出すのは人間がつむぐ物語があってこそ。そんな思いが伝わってくるようだ。

ここで紹介した話題はほんの一部で、ほかにもたくさんのセッションがアーカイブで見られる。自分のクリエイティブの味方になるテクノロジーを発見できるかもしれない。試用期間でトライすることができるアプリケーションもあって気軽に始められるから、もの作りに携わる人、少しでもクリエイティブに興味を抱いた人なら、ぜひ刺激を受けてみてほしい。

基調講演などの合間にところどころで挟まれた「Postcard from 2021」というショートインタビュー。コロナ禍でダメージを受けたけれど、クリエイティブの未来を信じて希望を語る、世界各地のクリエイターたちの声が届いた。