とんでもなくパーソナル。人と人がつながるホテル〈キンプトン新宿東京〉

世界最大級のホテルグループ、「IHGホテルズ&リゾーツ」。ブランドを象徴するホテルを巡る連載第2回は、「キンプトンホテルズ&レストランツ」。2020年に日本初上陸した〈キンプトン新宿東京〉は、グループの中でも熱烈なファンが多いといわれる。その秘密は、とんでもなくパーソナルなサービスと、街とホテルとの関わりにあった。

photo: Aya Kawachi / text: Koji Okano

「IHGホテルズ&リゾーツ」と、パーソナルな旅に寄り添うブランド

フラッグシップブランドの〈インターコンチネンタル〉、自然派ラグジュアリーの先駆者〈シックスセンシズ〉、親しみやすくまるで自宅にいるかのような安心感とグローバルチェーンならではの信頼で知られる〈ホリデイ・イン〉などなど。100カ国以上で7,000軒を超えるホテルを展開する、世界最大級のホテルグループが、「IHGホテルズ&リゾーツ」。旅の目的や滞在スタイルに応じて選べる、21の多彩なホテルブランドを擁している。

東京・西新宿にあるラグジュアリー・ライフスタイルホテル〈キンプトン新宿東京〉も、「IHGホテルズ&リゾーツ」が展開するホテル。2020年10月に開業して以降、訪れるゲストから支持を受け、多くのリピーターを生み出してきた。

1981年にサンフランシスコで創業した「キンプトンホテルズ&レストランツ」。人と人とのつながりが感じられない、従来の型にはまったホテルのあり方に疑問を抱いていた創業者ビル・キンプトンは、旅は本来、孤独やストレスとは無縁であるべきだと信じていた。スタッフは確かなプロフェッショナリズムを備えながら、まるで近しい友人や家族のように、ゲスト一人ひとりに寄り添い、旅の好みや想いに応えてくれる存在だ。ホテルでの滞在を“我が家”のように感じられる、新しいブティックホテルのスタンダードをキンプトンは打ち立てた。「その土地らしいホテル体験」という考え方が広く語られるようになる、はるか以前から──その創業者の哲学は、今もなおブランドの根幹として息づいている。

まずは、代々木公園を望む客室でゆったりと

ニューヨークにあるアトリエを思わせる、天井の高い開放的な空間が印象的な〈キンプトン新宿東京〉のフロントロビー。ここのソファでスタッフと一対一で向き合い、チェックインを済ませたら、いざ客室へ(14時〜16時まで、フロントロビーで無料のスナックタイムが開催される日もあるので、ジントニックとスナックを楽しんでから、自分の部屋へ向かうもよし)。

今回宿泊する上層階の「スタジオスイートツイン上層階」は、L字形にデザインされた、ゆったりとした空間。窓が3面あり、そのうち2面が代々木公園ビューになっている。その向こうには、渋谷・六本木のビル群。公園の緑が溢れる昼の景色もいいが、夜はその向こうにイルミネーションが煌めく。眼下に甲州街道が走り、黄昏時には地平線へと落ちていく夕日が美しい景色を描く。

客室には、のんびりと寛げる工夫が数多くある。ツインベッドはゆったりと配され、ソファも広々。バスルームのバスタブも深く、レインシャワーを備えている。バスアメニティは、キンプトンのために「MALIN+GOETZ」が開発した「アトリエブルーム」。またスイートに宿泊のゲストに特に好評なのが、韓国発のライフスタイルビューティブランド「ノンフィクション」のミニトラベルセットが用意されていることだ(スイート限定)。

他にもアーティスト・高橋理子のデザインした浴衣や扇子、カナダ・バンクーバー発のアスレティックウェアブランド「ルルレモン」のヨガマット、「ガルニエ・ティエボー」のリネンなど。客室にはトレンドを感じる上質なアイテムが溢れ、さまざまなゲストの特別な日の寛ぎの瞬間を演出している。

〈イブニングソーシャルアワー〉というキンプトンが考える人とのつながり

マルチファンクションスペースで開催された「イブニングソーシャルアワー」の様子
「イブニングソーシャルアワー」がスタート。スタッフ後ろの窓の向こうには夕日が差すバルコニーがある。

さて時計の針が17時に近づいたら16階へ。ここからの1時間、キンプトンならではのおもてなしが始まる。

創業者ビル・キンプトンが、ゲストの滞在をよりパーソナルな体験にするためにスタートさせた「イブニングソーシャルアワー」は、同ホテルのシグネチャーサービス。世界中、全てのキンプトンで実施されており、宿泊するゲストとスタッフ、そしてゲスト同士の交流を深める機会にもなっている。ちなみに創業者ビル・キンプトンがたいへんな愛犬家だったこともあって、非常にペットフレンドリーなホテル。「イブニングソーシャルアワー」には、もちろんペットも参加可能だ。

この日の「イブニングソーシャルアワー」は、16階のマルチファンクションスペースでの開催(会場と時間は日によって異なる)。ちょうど黄昏時と重なって、大きな窓からは柔らかな夕日が差し込む。テーブルには、スプーンにのった豚のテリーヌなどのアミューズ・ブーシュが並べられ、ドリンクはワインや升で提供する日本酒、ノンアルコールもオンメニュー。バルコニーでは、様々な国から訪れたゲストが楽しそうに談笑している。

ゲストの思い出に深く刻まれる「イブニングソーシャルアワー」。キンプトンが大切にしているこの特徴的なサービスは、全ての宿泊者が滞在中無料で体験できる。

新しくなったディストリクトのディナーと、都会の夜を感じるルーフトップバー

18時を過ぎたら、2階〈ディストリクト ブラッスリー・バー・ラウンジ〉へ。こちらの場所、2026年3月に、ダイニングエリアはニューヨークスタイルのステーキハウスに、ラウンジエリアはアメリカ西海岸のトレンドが集まるカリフォルニアラウンジへと変貌を遂げた。

誕生したステーキハウスのコンセプトは、「ネイバーフッド・ステーキハウス」。宿泊ゲストだけでなく、近隣の住人、また周囲の会社で働くビジネスパーソンも、カジュアルに利用できる場所にしたい、との思いがにじむ。こうして地域に根差したホテルとレストランのあり方を追求するスタイルにも、根底に創業者ビル・キンプトンの哲学が流れている。

ステーキハウスのスペシャリテ、Tボーンステーキがメインディッシュのコース「新宿ステーキハウス・リチュアル」は、ウェルカムマティーニから始まる。スタッフがテーブルサイドで仕上げるシーザーサラダと、おかわり自由のポテトフライを食べながら厨房に目を向ければ、大きな肉の塊がグリルされている様子が見える。サーブされたのは、2名で800gのTボーンステーキ。サーロインからはジューシーな脂が溢れ、ヒレからは赤身の旨味が感じられる抜群の焼き加減で登場する。

これに合わせるなら、定番から新たな造り手の銘柄まで揃う、カリフォルニアワインを。セラーの前でソムリエに好みを伝えれば、その意をきめ細かく汲んで、まさにその日、その人のための一本を選んでくれることだろう。

ステーキを楽しんだら、思い出に残る一日を締めくくるべく〈キンプトン新宿東京〉最上階のルーフトップバーへ。新宿のスカイラインを一望できる大きな窓と開放的なオープンテラスを持ちながら、街の喧騒とはかけ離れた、スピークイージーな雰囲気も漂う場所だ。ちなみに店名の〈86〉は、禁酒法時代のアメリカで、お酒と食事、加えてスリルを求める人々が足を運んだ店が、ニューヨーク・ウェストビレッジの86番地に潜む〈チャームリーズ〉という闇酒場だったことに由来するそう。

実はこのバー、〈キンプトン新宿東京〉がオープンしてからしばらくは、ホテルのVIPゲストなど、限られたゲストのみが利用できるシークレットバーとして運用されていた。2022年から一般利用が可能になり、今では週末は予約なしでは入れないほどの人気を誇っている。

バーテンダーのおすすめはエスプレッソマティーニ。コーヒーの苦味とウォッカのキレが心地よいフレーバーは、最初の一杯、また食後の一杯に飲むのにも適している。他に「いったん落ち着きますか?」「疲れた?」など、今日の気分を名前に関したカクテルもあり。もちろん季節のフルーツを使った一杯や、定番カクテルも提供される。またバーテンダーに自分の嗜好を伝えれば、対話を通して、まさにその人のための一杯を作ってくれる。

朝食で、一日の活力をチャージする

キンプトン新宿東京のブレックファーストセット
「ブレックファーストセット」は1人6,000円(写真は2人前)。手前は前菜に「季節のフルーツプレート」、メインに「シャクシュカ・卵・東京モッツァレラ」をチョイス。奥は前菜に「アサイーボウル」、メインに「ディストリクト シグネチャーエッグベネディクト」を選択。セットには、ブレッド & デニッシュセレクションと、コーヒー紅茶などの飲み物がつく。野菜とフルーツのスムージー「ヘルシー・グリーン」1,200円。

翌日、目覚めたら、まずは朝食。2階〈ディストリクト ブラッスリー・バー・ラウンジ〉へと足を向ければ、昨晩と表情がガラッと変わり、テラス席の床からは朝日が反射している。

〈ディストリクト ブラッスリー・バー・ラウンジ〉の「ブレックファーストセット」は、前菜とメインが選べるスタイル。それぞれ10種ほどがオンメニューされているため、組み合わせは自由自在だ。こうやって極めてパーソナルな朝食セットを楽しめるのも、宿泊ゲストにリピーターが多い理由だそう。

メイン料理の一番人気は、「ディストリクト シグネチャーエッグベネディクト」。ニューヨーク発祥のエッグベネディクトをアレンジした一皿で、本場流ならクランペット(パン)の上にハムやベーコンを添えるところを、スモークサーモンをのせている。また、キャビアを加えて豪華仕様に。オランデーズソースには醤油麹を混ぜ込むなど、和のニュアンスもプラスしている。

選べるメインは、他に「シャクシュカ・卵・東京モッツァレラ」や「アボカドトースト・サワードウ・ポーチドエッグ・アボカドピューレ パルメザンチーズ」など。「千葉県産 牛ランイチのグリル フライドポテト・ディジョンマスタード」といった、ランチやディナーのメイン級の皿もメニューにある。また朝から飲みたい人向けに、フルーツミモザやシャンパンも用意している。

また快適な一日をスタートしてほしいと、〈キンプトン新宿東京〉が全ての宿泊者に提供しているのが、「モーニングキックスタート」。1階の〈ザ・ジョーンズ カフェ&バー〉にて、コーヒーやカフェラテなどのドリンクメニューを一杯サービスする。これを部屋に持ち帰ってゆっくり過ごす人、そのまま〈ザ・ジョーンズ カフェ&バー〉でコーヒー片手におしゃべりに興じる人、またチェックアウトした後、タクシーの中で味わう人など。

「とんでもなくパーソナルなサービスを」という創業者の哲学は、朝のドリンクサービス一杯にまで貫かれている。

〈IHGホテルズ&リゾーツ〉だから叶えられる、つながりを育む宿

宿泊者一人ひとりの“パーソナル”な滞在のために、フレンドリーで行き届いたサービスを大切にしながら、人と人との自然なつながりが生まれる場を育む〈キンプトン新宿東京〉。ホテルでありながら、活気あるコミュニティーの拠点としての顔もあわせ持つ。日本で10のホテルブランド、約60軒のホテルを展開する「IHGホテルズ&リゾーツ」には、他にも〈インターコンチネンタル札幌〉〈ANAホリデイ・イン リゾート軽井沢〉のように、その土地や文化と深くつながったホテルが存在する。

〈インターコンチネンタル札幌〉は、札幌の中心部にありながら、豊平川と中島公園に寄り添う立地により、都市の利便性と自然の潤いを併せ持つラグジュアリーホテル。2025年10月に開業した、新しい札幌の拠点だ。館内には、北海道産食材を生かしたコンテンポラリー割烹「サワカ」やオールデイダイニング「オーブラン」を備え、食を通してこの土地ならではの魅力を体感できる。札幌の都市性と北海道の自然・文化を結ぶ、上質な滞在をかなえるホテルだ。

〈ANAホリデイ・イン リゾート軽井沢〉は、標高1300mの爽やかな高原に位置し、部屋によっては浅間山を一望できるロケーションが魅力。ゴルフ場やスキー場を備え、冬は「軽井沢スノーパーク」でのウインタースポーツ、春や秋には自然散策やゴルフなど、四季折々のアクティビティを楽しめる。
パターゴルフやテニス、温水プール、キャンプといったアウトドア体験も揃い、オールシーズンで過ごし方は多彩。温泉での湯浴みや、愛犬と泊まれるコテージも備え、家族旅行からペット同伴の滞在まで幅広く対応する高原リゾートだ。

ごく自分らしい滞在を楽しみながら、訪れた場所のローカルと自然に交流する。地域に開かれたホテルだからこそ体験できる旅の醍醐味だろう。

〈シックスセンシズ 京都〉で叶える、自分と向き合う京都の旅

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