【今日のギフト】塩味と郷土愛がじんわり沁みる。〈新鶴本店〉の塩羊羹

あの人の笑顔が見たい。お世話になっている友達や家族、恋人に贈りたい、ちょっと楽しいプレゼントを毎日紹介。

photo: Shu Yamamoto / text & edit: Yoko Fujimori

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和菓子を愛するあの人へ
明治時代から変わらぬ手法で作られる塩羊羹

〈新鶴本店〉の塩羊羹

御柱祭で知られる「諏訪大社 下社秋宮(しもしゃあきみや)」のお隣に佇む、明治6(1873)年創業の老舗和菓子店〈新鶴本店〉。長野・下諏訪の手みやげとして愛されるのが、この店の看板商品「塩羊羹」だ。

初代・河西六郎氏が、海のない長野で貴重品として扱われていた「塩」を羊羹に加えることを思い付き、苦心と工夫を重ねて完成させたという。

ちなみに初代は、温泉街・下諏訪宿として栄えたこの地にあった名旅館「つる屋」の次男坊であり、「新鶴」という屋号もそこから命名したのだとか。

基本となる材料は上質な北海道十勝産の小豆と地元・茅野市の名産、天然寒天。保存料や香料など余分なものは一切加えず、店舗に隣接する工房で楢(なら)の薪火を使い職人が丹念に練り上げるという、昔ながらの製法で作られている。

薄墨色に輝く羊羹は、ねっとりときめ細かな舌触りの奥に塩味がほんのり広がる。塩が前に立ちすぎない、この程よい“塩梅”こそ職人の技!

開店から客足が絶えることのない人気店でありながら、支店は出さず、百貨店などへの卸しもなく、販売は一途に本店の店頭のみ。だからこそ変わらぬ製法と味わいが守られるのだろう。参拝帰りの観光客だけでなく実はローカルな客が半数以上を占めているのも、この店の味が地元に浸透している証しだ。

店頭販売が基本だが、FAXなどで注文すれば発送も可能。薪火のかまどで練り上げる手法も今や希少。練り羊羹を愛する友に贈りたい、下諏訪宿の代表銘菓だ。

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