知らなかった現実を目の前に突きつけられる
『リヴァイアサン』は、人間の視点を徹底的に排除しようとする姿勢に驚かされました。船や網などあらゆる場所にGoProを付けて撮影された映像には、普段私たちが目にする風景とはまったく違う、想像を超える世界が広がっています。普段は見えていなくても、確実に存在する世界があることを突きつけられた感覚でした。

大型底びき網漁船の漁業の様子を、11台のカメラで撮影したドキュメンタリー。'12米=仏=英/監督:ルーシァン・キャスティーヌ=テイラー、ヴェレナ・パラヴェル/東風/DVD品切れ。© Arrete Ton Cinema 2012
『聖なるズー』もまた、知らなかったけれど確かに存在している人々に出会わせてくれた作品です。「動物を性的に愛する人たち」と聞くと、ショックを感じる人もいるかと思いますが、著者が一人一人と丁寧に向き合うことで、それぞれの愛し方や、動物との暮らし方、過去の性的なトラウマなどが見えてきて、人間の曖昧さや複雑さに気づかされます。
それが良いことか悪いことなのか、私には答えは出せません。しかし白か黒かで分けられないことの方が多いからこそ、冒険は続くのかもしれません。

ドイツで「ズー」と呼ばれる動物性愛者たちと暮らしたルポルタージュ。性被害当事者でもある著者が、ズーと交流しながら愛や暴力、セクシュアリティについて掘り下げる。著:濱野ちひろ/集英社/1,760円。