本の街・神保町の1丁目1番地に位置する、ランドマーク的存在〈三省堂書店神田神保町本店〉がリニューアルオープンした。2022年に一時閉店をしてから、はや4年。一体どんな書店になったのか?
三省堂書店・亀井崇雄社長曰く「コンセプトは『歩けば、世界がひろがる書店。』。店内の空間づくりにこだわりました。本との偶然の出会いを楽しんでほしいですね」。そして「百聞は一見に如かず」とも。今回のリニューアルに際して、各フロアの本棚は「渓谷」や「さざ波」「渦」など、自然環境をモチーフにしてレイアウトされたという。スタッフの岡田輝命さんのナビゲートで、本が詰まったランドスケープを巡る“知のハイキング”へ。
1階のエントランスを入ってすぐの場所には、新刊・話題書が並ぶ。ここを底に、左右の壁に向かって書棚が段をつくっている。天井高は4m。雑誌にガイドブック、ZINEや文学書、ビジネス書、上りきった壁際には古書やアウトレット本、洋書を展開。
「ここは『知の渓谷』と名付けられたエリアです。“谷底”の新刊置き場に立てば、自分を取り囲む様々な本を見渡せます。目線の先には未知の本が広がっている、このランドスケープの設計こそがリニューアルの大きな特徴です」(岡田輝命さん)
“偶然の出会い”を後押しする、特徴的な書棚のレイアウト
歴史・宗教・哲学などの専門書、文庫・新書が集まる2階にも、1階とは異なるランドスケープ的な特徴が。長さの異なる棚が平行に並んだエリアは「発見のさざ波」。哲学書を眺めていたと思えば、心理学の本が、かと思えば看護の本が……棚の垣根を越えて、次々に別ジャンルの書籍が目に飛びこんでくる。
絵本や料理本、参考書が並ぶ3階には、一転、16列の書棚を放射状に配置した「みちびきの渦」が展開される。円の外側を歩き回ってジャンルの枠を超えてみたり、内に入って深掘りしてみたり、こちらも新たな本と出会える設計だ。
フロアには他にも、文学賞受賞作が並ぶ棚が併設されたイベントスペースや、本に囲まれるようにレイアウトされた「探求の洞窟」、本棚の間に設置している小さなベンチなど、様々な仕掛けが施されている。
リニューアル前の70万冊から絞ったものの、蔵書数は約50万冊を確保している。
「網羅性を担保しつつ、質にこだわったラインナップを揃えることを心がけています。並べるときには、新刊や売れ筋、書店員のイチオシは、背ではなく表紙が見えるように。たまたま目に入って手に取ってみる……そんなシーンが生まれたら嬉しいですね」(岡田輝命さん)
喫茶店、ギャラリー、コラボグッズ……。ハイキングは続く
各フロアにはコラボグッズの販売コーナーや、喫茶店なども並ぶ。3階には、ひと息入れるのにぴったりの〈喫茶 ちそう〉。コーヒー、カレーなどの食事に加え、スイーツも揃う。同じく3階には『三省堂歴史ギャラリー』も。創業1881年以来の来し方を、貴重な写真とともに眺めることができる。また、リニューアルに合わせて145年の歴史をたどる記念誌『Entrance To The World』が発売された。まさにこの店で手にすべき一冊だ。
さらにハイキングの領域は「知」にとどまらない。スタッフが「魅力的な場所」と口を揃える、“神保町という街自体”も、この書店内から味わうことができる。象徴的な例が、1階新刊横に並ぶ「つながる本棚」。新刊書店〈東京堂書店〉や〈書泉グランデ〉、出版社〈クオン〉、老舗洋食店〈ランチョン〉など、ともに神保町を盛り上げる面々が選書するコーナーだ。2階では、近隣の書店〈stacks bookstore〉が手がける、三省堂とのコラボグッズも販売する。
〈三省堂書店神田神保町本店〉はこの街の1丁目1番地として、神保町そのものを編纂する役割を果たそうとしている。




















