今、わざわざ行きたい。文筆家・甲斐みのりに聞く理想の図書館3選

本棚を眺める楽しみを語るうえで、図書館は欠かせない。地域密着の図書館、専門性の高い図書館、コーヒー片手に読書できる図書館、古くからの姿を残す図書館……。本好きの文筆家・甲斐みのりさんに聞く、今、わざわざ行きたい図書館。

photo: Jun Nakagawa(Toyohashi Machinaka Library) / text: Keiko Kamijo

名建築を愛(め)でに図書館へ、本のある風景を堪能する

「本や雑誌が好きになったのは、図書館に通った楽しい思い出がルーツ」と言うのは文筆家の甲斐みのりさん。甲斐さんの地元に図書館がオープンしたのは小学校6年生の時。未読の本が並ぶ姿に好奇心が刺激されたと振り返る。

「本や雑誌は好きだったんですが、近所には大きな書店もなく、少ないお小遣いで買えるものなんてたかが知れています。週末は必ず図書館へ行き、次々と新しい本や雑誌を読んでいました」

現在は名建築や地元のパン、お菓子や手みやげを紹介する取材や講演のために日本国内を常に飛び回る。各地を訪れた際は図書館を訪ねることも多い。

「〈豊橋市まちなか図書館〉はコーヒーを飲んだり、館内のイベントに参加したりと、本を片手に人が集える既存の図書館のイメージを刷新する場所。近くには1960年代から歴史を重ねる〈水上ビル〉という全長800mもの商店街があり、そこで食べ物を買って図書館で食べたり、往来を楽しんだりする人も多く見受けられました。

レトロ建築で素敵なのは武田五一が設計した〈高野山大学図書館〉。市松模様の床、窓枠や照明等隅々まで美しいのはもちろん、蔵書も素晴らしい。仏教書や古い小説もキレイな状態で閲覧でき、装丁好きにはたまりません。〈岐阜市立中央図書館〉は伊東豊雄さん設計。本棚が低めなんですが、人の目線が気にならず、読書に没頭できる」

旅先で、新旧の名建築と本のある空間を存分に味わってみたい。

豊橋市まちなか図書館

まちをクリエイティブに!図書館の新たな可能性を切り拓(ひら)く

2021年にオープン。種田(おいだ)澪館長は、30代前半の子育て世代。新しいアイデアを次々に形にする。館内は飲食・会話OK、コーヒー片手に人々が集う。本棚には、スペースのコンセプトに沿って資料を並べる「テーマ配架」を採用し、予想外の本との出会いを演出。本を貸し借りする場所という従来のイメージを覆し、多くの利用者で賑わう。

高野山大学図書館

名建築と貴重な蔵書、異国情緒が存分に味わえる

弘法大師空海が816年に開いた真言密教の地、高野山。この地にある〈高野山大学図書館〉は1929年に国会議事堂の設計でも知られる武田五一が設計を手がけた。鉄筋コンクリート造、地下室付き3階建てで、内外は装飾を抑えたモダンなデザイン。2、3階の吹き抜けの閲覧室の意匠は見事。一般利用者も見学や図書の貸し出し、複写サービスを利用できる。

岐阜市立中央図書館

まちの中心にあり、常に人が集う、一日中楽しめる理想の図書館

市民活動交流センターや展示ギャラリー、ホール等、市民が集う知と文化の拠点〈みんなの森 ぎふメディアコスモス〉内にある図書館。図書館自体の歴史は大正12(1923)年に遡る。2015年に伊東豊雄設計でリニューアルオープン。最大蔵書可能数90万冊、座席数910席。あらゆる世代が集い、本を通して人とまちが繋がることを目指し、様々な試みがなされている。

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