余波舎(鞍馬口)
西陣界隈の町家の2階、新刊と古本が同じ扱いで並ぶ
レジの上にロフトスペースも見られるほど天井高のある〈余波舎〉は、本棚を奥の壁際にまとめて抜けのいい書店空間を実現。特徴的なのは、長い本棚のちょうど中央に置かれた、“←古本、新本→”という表記。新刊と古本がまさに半々の品揃えになっていて、しかも、一見そのことに気づかないくらいに古本の状態がいいのだ。
「古本といっても自分で一冊ずつ選んでいる本も多くて、新刊を仕入れるのと同じような感覚でやってるかも。流行りを気にしすぎず、自分がピンとくるものに素直に、です」と店主の涌上昌輝さん。店内のいくつかのスペースではポップアップが同時進行。書籍だけでなく、ZINEや雑貨にも焦点を当てて店の広がりを生んでいる。
ba hutte.(修学院)
古本と立ち飲み、そのいいとこどりで楽しめる
通りに面して間口が約18m、一方で奥行きは数mという特徴的な敷地に、気鋭の建築家による設計で、建築好きの海外旅行者も訪れる〈ba hutte.〉。
店の隅に併設された立ち飲みスタンドはいつも賑わっているが、常連客も旅行者も分け隔てなく接する店主の清野郁美さんの客あしらいのよさもあって、程よい喧騒が店内を満たして、書店利用だけでも居心地はいい。
田中小実昌、植草甚一といった特定の作家の名前が目につく本棚はダブりの古本も多く、「家に売るほど本があるから売るというスタンスなので、私と旦那が好きな作家の本しかなくて。本って名刺代わりにもなるからいいんですよ」。古本と立ち飲み、どちらの入口から入っても楽しめる。
午睡書架(北白川)
高価な美術本や貴重書は選書室でじっくり吟味を
2025年7月に現在地へ移転オープンを果たしたばかりの〈午睡書架〉。ビロードのカーテンを閉じて一人きりになれる、試着室ならぬ選書室を設けているのが何ともユニーク。
「特装本や装丁にこだわった美術書なども多くて、立ち読みでは決してその良さはわからないので。しっかり本と向き合って選んでもらいたくて」。そう話す店主の廣瀬純和さんは〈アスタルテ書房〉で店を手伝っていた経験もあり、コレクターズアイテムになっている国内外の幻想文学関連の貴重書なども扱っている。
決して広くはない店内だが大きなソファを置いて、壁面の一角では企画展示も定期的に開催。一冊の本と出会う時間を贅沢なものへと演出している。
古書善行堂(北白川)
文学と古本好きの店主が山ほどの蔵書とともに待つ
本棚の上にも前にも、倉庫にしている2階への階段にまで本が積み上がる店内、「もう片づけなあかんなとは毎日思ってるよ。けど……」という話の続きは、とにかく店主の山本善行さんが古本好きゆえ。整理が追いつかないほどに買い付けてしまうのだ。
本が溢れ返るその見た目から古本好きの巣窟⁉と敬遠されるかもしれないが、「ボクは話し好きやから。ただ売ったり買ったりやなくて、本を介していろいろやりとりできるのがこの商売のいいところ」と言う山本さんの人柄は、古本ビギナーにとっても絶好の導き手。
文学にまつわる豊富な知識を基に、本のことならたちどころに応えてくれるので、安心して古本の海にどっぷり身を任せることができる。
MEDIA SHOP(三条)
本とアートが自然に共存する繁華街の知の拠点
河原町三条の繁華な一角で1981年から続く書店&ギャラリーが、2024年から同じビル内で部屋を移って雰囲気を一新。前に入居していたアパレルショップの什器(じゅうき)などもうまく活用して、店頭ではウィンドウギャラリーも開始。
店内に目を向けてみても、大きな平台の下に鉄の造形作品がなにげなく置かれていたりして、本とアートが自然と共存しているのに気づかされる。本のラインナップは、アート、デザイン、建築にまつわる和洋書を中心に、ガラスケース内には図録や美術書の貴重な古書も。
「本を介して人と人が出会う場である。その考えはずっと変わっていません」と齋藤孝司店長。メディアが離合集散する場としての店の可能性を今も追求している。
鴨葱書店(京都駅)
本を読むことの喜びを柔らかく分かち合う書店
東京・三鷹の書店〈UNITÉ〉店主としても知られる大森皓太さんが、京都駅から徒歩圏内の路地に2024年開店。古民家の雰囲気を生かしたまま改修した店内は、平置きした本の間にも隙間をキープするなど、書店特有の圧迫感を感じさせない配慮が行き届いている。
それでいて各ジャンルの注目本が目配りよく揃い、欲しかった本が次々と目につくのが不思議。今でも日々の書店巡りを欠かさないという大森さんの本への関心の深さが、棚のラインナップにも反映されているのだ。
今後、ますます観光地化が進むエリアだが、「本を読むことを日常的な営みと捉えず、旅先だからこそ手に取りたくなる本もあるはず」と、この場所ならではの本棚が期待される。











