店主の哲学が覗く一品を、アラカルトでいかようにも
「昼はコースのみですが、夜はアラカルト。その日のお品書きから、食べたいものを好きなように注文できる。締めのご飯の量なども融通を利かせて、お腹の具合に配慮してくれるので、おおらかに食事ができます」
京都にも居を構えた脇 雅世さんが、最近通っているのは、客本位の使い方ができる〈わか杦〉だ。店主の若杦葉陽(わかすぎ・のぶはる)さんは、京都の名店〈和久傳〉をはじめ、割烹、仕出し、物販まで、25年間みっちりと経験を積み、2022年に店を構えた。

客の求めに柔軟に応えられるのは、その経験の賜物。金閣寺の近くという、街中から離れた場所を選んだのは、わざわざ足を運んでもらえる店にしたかったから。そのため“ここならでは”に心を砕く。
例えば、鱧(はも)。京都の夏の風物詩として知られるが、若杦さんは、脂がのる秋にしか使わない。しかも、鱧といえばの“落とし”は、“落としたて”と称し、氷水で締めず、湯引きしたてのふわりと温かい状態で出す。
「鱧一つとっても、いろいろおいしい食べ方を提案してくれます。私は、鰊茄子(にしんなす)が大のお気に入りなのですが、そうした古典的な料理にも、素材の組み合わせや香りの添え方に、若杦さんの哲学が感じられる。だから、料理を待つ時間も楽しみなんです」



