アートによる町の活性化を感じられる。元廃墟のリノベギャラリー〈バンコク・クンストハレ〉

世界中からの旅行者たちを魅了し続ける街、バンコク。そこで出合った、賑わいを見せる一風変わったアートスポットを紹介します。

photo: Kohei Nishiyama / text: BRUTUS

中華街で、1990年代に廃業した印刷会社のビルが2000年代に火災に遭い、そのまま打ち捨てられていた。それが24年の1月に現代アートスペースとして再生。仕掛けたのは、世界のシーンに影響を与えてきた、アートコレクターのマリサ・チャラワノンさん。

タイの若いアーティストをもっと有名にしたいとは思っていた。ただ、「私にとってアートは、作家との関係性や思い出を表す個人的なものでした」。それがいくつかの要因が重なり、開かれた場所を持ちたくなった。

まず、イタリアのパンツァ・コレクションの一部を引き継ぐことになった。パンデミックで芸術資産の承伝について考えさせられ、AIの台頭にも虚無感を覚えていた。「もっと私たち人間の気持ちや心の部分を大事にしなくては。癒やしが必要であり、そのためのメディアとなる場を作りたいと思ったのです」

エマ・マコーミック・グッドハートの作品
タイ文字にインスパイアされたネオン管の彫刻はエマ・マコーミック・グッドハートの作品。

ギャラリストのステファノ・ラボリ・パンセラさんを迎え、偶然出会った廃ビルを生かしつつ、再び使命を与えてアートスペースに。24年のオノ・ヨーコの展示では、近隣から、アートを知らない人まで全世代が集まったという。

イベントを開けば賑わい、美大生が参加したワークショップから個展に発展させて希望を生んだ。まるで蘇生した心臓のように、町に血液を送り、活性化させている。

バンコク〈バンコク・クンストハレ〉ステファノ、マリア
現在は“アートシェアラー”を名乗るマリサさん(右)と、前職でパンツァ・コレクション担当だったイタリア人のステファノさん(左)。美大生のシリワン・シミンガムとナラタフロン・ナンタがワークショップで制作した作品を発展させ、個展を開催。ビルのそこここで、焼け跡から“デブリ”を拾い、並べた作品。

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