今、わざわざ行きたい。選書家・川上洋平に聞く理想の図書館3選

本棚を眺める楽しみを語るうえで、図書館は欠かせない。地域密着の図書館、専門性の高い図書館、コーヒー片手に読書できる図書館、古くからの姿を残す図書館……。本好きの選書家・川上洋平さんに聞く、今、わざわざ行きたい図書館。

text: Keiko Kamijo

選書家・川上洋平に聞く理想の図書館

図書館は本と出会い、自分と対話する場所

個人宅やブックカフェ、企業や美術館等、様々な場所で本の選書を行い、20年以上本棚を見つめてきた〈ブックピックオーケストラ〉の川上洋平さん。「読書」のイメージから捉え直してほしいと様々な場所で言っているという。

「“読書”って何でしょうか?と聞くと大抵の人が“最初から最後まで本を読んで理解すること”と答えます。そうでしょうか?本当に文字を読むこと、理解することだけが“読書”なのだろうか。決してそんなことはありません。本を読むのは、自分を知る行為でもあります。

心に響く言葉と出会い、本当の気持ちに気づいたり、新しい視点を得たり。読み方はもっと自由だと気づきます。読書をこう捉えると、図書館は自分を深めるのに最も適した場所だと思うんです」

今回は、新たな本と出会うために様々な試みをしている、そして本に没頭できる図書館を3つ紹介してもらった。

「〈オーテピア高知図書館〉は高知の観光地のど真ん中にあって、すごく活気がある図書館。高知関連の本棚は圧巻で、司書の矜持(きょうじ)を感じます。〈武蔵野プレイス〉は地域コミュニティと図書館との関わりの代表ともいわれる名図書館。

本が好きな人だけが図書館に来るのではなく、みんながいる場所に本がある。そんな理想的な場所を体現しています。〈地中図書館〉は大地の下をさまよいながら想像力を養う場所。本棚はここでの体験を深める一助となるよう工夫しています」

オーテピア高知図書館

観光にも利便性の高い立地、高知の地元資料を多角的に収集

高知県立図書館と高知市民図書館、科学館、点字図書館が一体となり、2018年開設。地域名と仲間を意味する単語“ピア”から名づけられた。所蔵資料は約172万点に及ぶ。1階に声と点字の図書館を有する。静かに読書をしたい人のための「静寂読書室」や見えにくい人のための「対面音訳サービス」(事前予約制)などがある。

武蔵野プレイス

地域コミュニティ×図書館、人々が集う場所に本がある

武蔵境駅南口からすぐという便利な立地に、図書館と生涯学習・市民活動・青少年活動を支援する施設として、設計を〈kw+hgアーキテクツ〉が手がけ2011年に開館。館内は曲面で構成され落ち着いた空間。地下2階にティーンズスタジオが設けられ、パフォーマンス、クラフト、サウンドと用途で分け有料で貸し出している。

地中図書館

自然の中をさまよいながら、本を手に思考を発酵させる

2023年にオープンした複合型農場〈KURKKU FIELDS〉内にある図書館。設計は中村拓志、選書は川上さんが担当した。すり鉢状の特徴的な地形の中腹にある。洞窟のような空間に潜り込み、読書の時間が楽しめる設計だ。自然や農業、食、アート、文学、哲学等の書籍が3,400冊ほど配架されている。KURKKU FIELDS MEMBERSHIPの登録をしたうえで事前予約が必要。

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