“陶芸家ではない”からこそ滲み出る、プリミティブな表現
陶芸家・内田鋼一。その作品は国内に限らず海外での人気も高く、日本を代表する陶芸家の一人である。そんな内田さんはアートディレクター、キュレーターとしての顔も持つ。
世界中を渡り歩きながら、各地の古美術に触れてきた内田さんは、古美術を中心としたコレクターでもある。そこで養われた視点で、毎年2回、〈BANKO archive design museum〉で企画展を行っている。今回は開館10周年を記念し、その審美眼、人脈、編集力が遺憾なく発揮された展示だ。
では、なぜプロではない芸術家やデザイナーたちの陶芸に注目したのか。
「30年ぐらい前ですかね。画家や彫刻家のような芸術家が作った陶芸に興味が湧いて、個人的に集め始めたんです。海外だと、ピカソとかも作ってますね」
そんな個人的興味から、陶芸のプロではない日本のアーティスト、クリエイターに絞って展示をすることにしたという。
「焼き物の常識とは全然違うんですよね。潔さというか、子供が作ったもののような奇の衒(てら)ってなさが僕には魅力的に感じたんです。一方で共通するのは、その人の世界観がしっかり表現できていること。例えば、彫刻家の舟越桂さんが焼き物を作ると、やっぱり舟越さんの彫刻のようになるんです」
展示では、物故の芸術家もいれば、現役のアーティストも多い。しかし一つだけ制限を設けたという。
「今回のために作ってもらったものはないんです。これまで作ったことがあったというのが面白い、その趣旨はずらしたくないなと。例えばほしよりこさんは、うちの窯でも作ったことがあるんですが、展示しているのはその前に作ったもの。立体は初めてだったそうですが上手なんです。すごく写実的に作るんだけど、ほしさんの絵の感じに近いんですよね」
普段から内田さんの自宅には様々なクリエイターが出入りする。そんな友人たちに窯を使って焼き物を作ってもらうと、みな共通点があるという。
「素人なんですが、素材とファーストコンタクトした時に悩みがないんですよね。技術がある、ないは関係ない。最初は不自由そうだけどすぐに摑(つか)む。やっぱり普段からものをよく見ているから勘所がすごくいいんです」
展示は5月25日まで開催されるが、次の展示も控えている。四日市市で10年、ミュージアムを続けてきたが、思うことは昔も今も変わっていない。
「まだまだやりたいことはたくさんあります。僕にとっては焼き物を作ることと、展示を企画することってあまり変わらないんですよ」
考えることと、作ること。内田さんの仕事は、これからもその2軸が互いに影響しながら続いていくのだろう。




