フードディレクター・山田英季が選ぶ、京都の余白を味わうごはん。三条〈余志屋〉

注文の仕方や量の融通が利くおおらかさ、技術に裏打ちされた懐の深さ、週に1度だけ開く気負わなさなど、達人たちが語る京の食の楽しみは様々。フードディレクター・山田英季さんに、京の余白を味わえるごはんを教えてもらいました。

photo: Kiyoshi Nishioka / text: Yuko Saito

道すがらにも趣を感じる先斗町の老舗割烹

「夜の先斗町通(ぽんとちょうどおり)から店に向かう路地に入ると、喧騒が少しずつ遠のき、穏やかな気持ちになっていく。その感じがいいんです」

美食を求めて世界中を旅し、京都にもたびたび訪れる山田英季さんが挙げてくれたのは、道すがらにも情緒を感じる先斗町で65年続く割烹だ。現在の店主は、2代目の川那辺行繁さん。店を始めた母の後を継いでカウンターに立ち、かれこれ45年以上、京都の普段着の料理を作っている。

京都〈余志屋〉ぐじの釜めし
ぐじの釜めし。

「どの品にも、技術に裏打ちされた懐の深さを感じます。中でも、胃袋にしみるのは、料理を支える京都らしいだしの味。だし巻きは、どこの店にもあるお惣菜ですが、ここのは、箸を入れた瞬間、だしがジュワッとしみ出る。おいしさは格別です」

卵液の約半分量をだしが占めるだし巻きは、名物の一つ。水分が多く、巻きづらいはずだが、川那辺さんは、年季の入った卵焼き鍋で、3分とかからず、焼き上げる。

もう一つの名物、釜めしもまた、ご飯にしみただしがごちそう。具材をだしとともに炊いて旨味を出したもの、焼いてのせたもの、どちらもいいが、「いつもご主人と世間話をしながら、あれもこれもと頼むから、それこそ、釜めしを前に胃袋の余白を探すハメになってしまいます」。

京都〈余志屋〉店内
川那辺さん68歳は店の顔。

料理家・脇雅世が選ぶ、京都の余白を味わうごはん。北野白梅町〈わか杦〉

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