書店、ジャズクラブが蘇った。バンコクの文化的エリアの原点に浸れる〈シウィライ・サウンド・クラブ〉

タイ最大級の百貨店グループ〈セントラル〉の原点は、1952年チャルンクルン通りに建てられたコロニアル様式の館。洋書店としてスタートした店の向かいにはタイ初のジャズクラブが並び、町の文化を育んできた。その創業の記憶を継ぐ〈シウィライ・サウンド・クラブ〉を訪ねる。

photo: Satoko Imazu / text: Taku Takemura

タイ最大級の百貨店グループ〈セントラル〉。創業家一家の歴史は、バンコク最古の舗装道とされるチャルンクルン通りに1952年に建てたコロニアル様式の館に始まる。

「第二次世界大戦後に中国・海南(ハイナン)から移住した祖父が開いたのは、タイ初の洋書店で、日用品も扱う店でした。向かいはタイ初のジャズクラブでしたし、この界隈には町の文化の原点がありました」と語るのは、テイ・バロムさん。

プルンチットの〈セントラル・エンバシー〉を総括し、自身のブランド〈シウィライ〉の名の下セレクトショップやクラブなども展開する。80年代に拡張改築を経て貸していたこのビルを2020年に〈セントラル:ザ・オリジナル・ストア〉として蘇らせた。

まず、ベルギー人建築家ヴィンセント・ヴァン・ドゥイセンにリノベーションを依頼。チャルンクルン通りに面した新館には、レアブックショップ、ライブラリー、ギャラリーとレストラン。裏通りに面した旧館には、ジャズクラブとミュージックバーを置いた。レストランとジャズクラブ、バーのインテリアは、テイさんの長年の友人である野村訓市さんの〈Tripster〉が手がけた。

バンコク〈シウィライ・サウンド・クラブ〉内観
〈Tripster〉が手がけた2階のレコードバーは、1階とは趣を異にする真っ赤な照明に満たされた空間。

「1階を書店にしたのは家業の原点に立ち返るため。ジャズクラブを造ったのは、このエリアの歴史と文化への敬意を込めて。近年の創造力豊かな若者たちの文化的活動には、目を見張るものがある。私自身もそんなシーンに携われてラッキーです」

上空から見下ろすと、旧館と新館がガラス屋根でつながれているのが見えて、過去と未来を結ぶ象徴のようだとテイさんは微笑んだ。

バンコク〈シウィライ・サウンド・クラブ〉ライブの様子
1階で演奏していたのは、米・ボストン出身でバンコクを拠点に活動するジャズボーカリスト、ジョエル・デヴィッド・グズマン。バンドは4LBS。

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