中国は広い。本場を百度訪ねた民藝のプロが、ガチ中華のリアルを語る

本場の味をそのまま提供する中華料理店をガチ中華という。東京・神田の〈味坊〉を筆頭に、珍しい中国東北エリアの味も、中華好きには日常のものとなってきた。しかし中国は広い。現地に足繁く通い、日本のガチ中華にも精通する「みんげい おくむら」の奥村忍さんに、現地の写真とともに解説していただいた。「僕が通うのは、経済発展が遅れたために昔ながらの暮らしがまだ残る地域。だからその食文化がユニークに映るんだと思います」

Photo & Text: okumura shinobu

写真提供・解説してくれた人:奥村 忍

おくむら・しのぶ/1980年生まれ。商社、メーカー勤務を経た後、2010年にオンラインストア「みんげい おくむら」をオープン。本企画の端緒となった著作『中国手仕事紀行(増補版)』(青幻舎)が発売中。

貴州省

南東エリアの貴州省に行くと必ず食べる、スープのない鍋

トン族という少数民族の鍋料理
トン族という少数民族の鍋料理。ハーブが豊かで、ミント、パクチー、ディル、レモングラス、セロリ、山胡椒(ムージャンズー)がどっさり。そこに漬物の唐辛子、生の唐辛子、干した唐辛子が入っている。肉を入れたり、豆腐を入れたりして食べる干し鍋です。

新疆ウイグル自治区

スパイスをかけて見事においしい、ウイグルの羊肉

新疆ウイグル自治区の羊の串料理
新疆(しんきょう)ウイグル自治区の羊の串料理です。中国には中央アジアにつながっていくような文化圏の民族もいて、ウイグル族は肉料理といえば羊。朝は羊の蒸し餃子。昼はパスタの発祥ともいわれる手のばし麺があり、それに合わせるのが羊肉のソースだったりします

北京

映えなさが映える、北京の超ローカルおつまみ3種

もつ煮
右のどんぶりは、もつ煮。僕はおでん的な料理と捉えているんですが、発酵していない生地のパンも入っています。手前はセンマイをゆでたもので、左のゴマだれベースのたれにどぼっと浸けて食べる。奥はゆで落花生と干し豆腐。白酒(バイジウ)を飲みながらつまみます。

貴州省

珍奇中華が残る風土は、経済発展から取り残されたがゆえ

珍奇中華が残る風土
僕がよく行くのは、雲南省や貴州省の中でも資源が少なく、やや見放された地域。だから、食文化をはじめ昔ながらの暮らしが残ったという。市場では今も民族衣装を着て作物を売りに来る人々を見ることができる。ほかの地域ではほぼ見られない景色です。

杭州

杭州の名物は、春に収穫した緑茶の新芽を使ったエビ料理

春に収穫した緑茶の新芽を使ったエビ料理
上海の近く、杭州は中国で一番といわれる緑茶、ロンジン茶の産地です。これはロンジンエビといって、エビに塩を振りロンジン茶を入れて風味づけした炒め料理。中国はお茶の産地は多いけれど、それを料理に使うという地域は少ないのです。

内モンゴル自治区

北京でも有名な羊肉のしゃぶしゃぶ、本場ハイラルの味は格別

北京でも有名な羊肉のしゃぶしゃぶ
ハイラルという町の羊肉のしゃぶしゃぶです。銅の鍋に、熱した炭を入れた筒を置いて沸かすのがクラシックスタイル。朝引きの新鮮な羊肉は、冷凍を薄切りした北京のそれとは別物。酸っぱい白菜の鍋で、ゴマだれにニラなどをミックスして食べます。

甘粛省

中国では珍しいそばがきを、激辛な唐辛子の炒め物と食す

中国では珍しいそばがき
中部の甘粛(かんしゅく)省都蘭州あたりは小麦文化。ずいぶん小麦食に疲れた時に、そばに救われたことがあります。その中でも、そばがきは珍しい。これを、唐辛子と卵の炒め物と食べました。これは主役が唐辛子でとても辛く、横のたれもまた唐辛子だれ(笑)。

広東省

中国の衛生観念の変化を感じる、港町の新鮮な刺し身

港町の新鮮な刺し身
“食は広東にあり”の広東省汕頭〜潮州は歴史的に港町。だからか中国でも珍しく刺し身を食べます。白身魚を、パクチーやワンタンの皮を揚げたものと混ぜ、ゴマベースのショウガだれにつけて。鮮度に気を使い、まな板もすぐ洗っていました。

遼寧省

生け簀(す)のウナギ丸1匹をさばいて焼いて食べる“ウナギ焼き”

ウナギ焼き
遼寧(りょうねい)省都の瀋陽(しんよう)に住む朝鮮族の、ウナギ料理文化があります。朝鮮式焼肉の店では炭火でウナギを焼き、エゴマやサンチュに、ニンニクや唐辛子を一緒に巻いて。流行りで専門店もあるほど。店員がつきっきりで、細かくコゲを取ってしまうのが少し残念。

雲南省

外国の酒に対する関税が高い中国で、ワインブームが到来中

ワインブームが到来中
これは100%中国産のブドウで造られたナチュラルワインです。中国でもワインラバーは確実に増えていて、国内での2大産地は雲南省と甘粛省。雲南省のシャングリラという町にあるワインショップ兼ビストロで撮ったもの。こういうお店も増えています。

貴州省

いつなくなってもおかしくない、古い料理や暮らしの文化

貴州省の竹問屋の並ぶ通り
貴州省の竹問屋の並ぶ通り。竹籠のほかにも竹椅子、おひつ、蒸籠(せいろ)の中敷き。実際に彼らが生活に使うものをたくさん売っています。ほかの地域ではもう見られません。料理を含めたこうした暮らしの文化にいつまで触れられるのか、僕にもわかりません。

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