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世界文学の知られざる傑作。中南米、アジア、アフリカ、中東 etc. 24冊を専門家が選書〜後編〜

日本で海外文学といえば、英米文学が中心。しかし、中南米、アジア、アフリカ、中東……現地で読み継がれ、さらには世界的に高い評価を得ているものの、日本ではまだ知られていない作品がたくさんある。そんな24冊を専門家が選書。ハズレなしの名作揃い!

Text: BRUTUS

中華文学

選んだ人:飯塚容(中国現代文学研究者)

SFまで続く多様な中国現代文学。
さらには台湾文学も見逃せない!

(1)の張愛玲は日本占領下の上海に彗星のごとく現れ、一世を風靡した女性作家。長らく文学史上から消えていましたが、1980年代以降にジェンダー平等の視点から再評価され、高い人気を得ています。

(2)の莫言は、2012年にノーベル文学賞を受賞した作家です。ここ10年の中国文学を語るとき、(3)のSFに触れないわけにはいきません。世界的な中国SFブームの原動力になったのは、自身も作家であるケン・リュウによる英語圏での翻訳紹介でした。

最近の台湾文学の成果には目覚ましいものがあり、その筆頭が、(4)の呉明益です。2018年にはブッカー賞にもノミネートされていて今後も要注目です。

東南アジア文学

選んだ人:宇戸優美子(東南アジア文学研究者)

沸騰するタイ文学。
その源流を辿れる東南アジアの古典。

前提として、日本で読める東南アジア文学は、中国文学や韓国文学に比べると、商業出版されている邦訳作品がかなり少なく、あっても絶版本が多いという状況です。

その中でも、(1)と(2)は、現代東南アジア文学の古典として広く読み継がれている本です。物語の題材としては、植民地や戦争を扱うものが多いのも特徴。

一方で、ここ10年で一番評価が高まっているのは、タイ文学。(3)と(4)の著者は、共に現代的な題材をテーマとして選び、ポストモダン作家の旗手として注目されています。配信サービスを中心にタイの映画やドラマの知名度が上がってきたことで、現代文学にもスポットライトが当たり始めています。

アラブ文学

選んだ人:岡真理(現代アラブ文学研究者)

中東から北アフリカにかけて、
革命や難民問題を映し出す作家たち。

アラブ文学とは中東から北アフリカのアラビア語圏の文学のこと。(1)のマフマーズとタイーブ・サーレフは現代の古典。前者は、中東初のノーベル文学賞受賞者でもあります。後者はスーダンの作家で、絶版ですが『北へ遷りゆく時』はポストコロニアル文学の世界的名著。

(2)のカナファーニーはパレスチナ文学を代表する作家。難民的生の実存を通してパレスチナ問題を追究しました。

(3)のハビービーは逆に、難民とならず、「ユダヤ国家」にとどまり、その不条理を生きたパレスチナ人。

(4)は、2010〜11年のアラブの春が、「パンと自由と人間の尊厳」を求める人間の魂の叫びであったことを教えてくれます。