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トラックメイカーのSTUTSが案内する、音楽の街・渋谷へ。

狭いエリアにライブハウスやレコードショップが密集する渋谷は、世界的に見ても音楽のホットスポットだ。今年の8月にオープンしたばかりのホテルインディゴ東京渋谷はそのカルチャーを取り込んだ、場所に開かれたホテル。今回は、渋谷にゆかりの深いトラックメイカーのSTUTSさんが訪れ、音楽と渋谷のことを語ってもらった。

photo /
Kazuharu Igarashi
text /
Katsumi Watanabe
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箱根強羅、軽井沢、犬山有楽苑に続き、今年8月に渋谷にもオープンしたホテルインディゴ 。時代と共に変化を続ける渋谷の街と寄り添うように、アート、食、ファッションなど、ネイバーフッドのストーリーをデザインやサービスに取り入れている。中でも、特に力を入れているのが音楽。客室には、各部屋の雰囲気に合わせた8枚のレコードが用意され、貸出しされるレコードプレイヤーで聴くことができる。ギャラリーさながらのレストラン<Gallery 11>にもレストランのインテリアにもレコードが印象的に並ぶ。また、丁寧かつ行き届いたホスピタリティはもちろん、ホテルインディゴの“The World’s Neighbourhood Hotel”という提案通り、渋谷のカルチャーを通したおもてなしで、最高のリラックスタイムを経験できる。渋谷から音楽活動をスタートし、現在も渋谷のライブハウスやクラブで活動するSTUTSさんに、ホテルインディゴの施設を体験してもらいながら、渋谷と音楽について話を聞いた。

1980年代のバンドブームに始まり、90年代の渋谷系から2000年代のDJブーム、そして昨今のシティポップ・リバイバルなど、渋谷を中心に流行はハイスピードでうつろい、時代ごとに表情を変えてきた。自身名義の作品や、アーティストへの楽曲提供、さらに今年6月にトラックメイカーの単独公演としては初といえる東京武道館公演を成功させたSTUTSさん。今では幅広い活動を展開しているが、渋谷から自身のキャリアをスタートさせている。

「僕が初めて渋谷へ来たのは、今から18年前の2005年でした。鹿児島の高校へ通っていた同級生たちと、社会見学という名目で旅行に来ました。その頃からヒップホップが好きで、すでにターンテーブルも持っていて。目指したのは、もちろん世界最高峰と呼ばれていた宇田川町のレコード店街です。<Record Shop CISCO>(2008年に閉店)や<Manhattan Records>、<DMR>などなど。小さな中古店など、時間が許す限りひたすら回りましたね。新譜が買えるお店では、J・ディラがリリースしていた<Nature Sound>の作品や、Mitsu The Beatsさんのレコードなど。それから小さな中古専門店もたくさんあったので、サンプリングソースになるソウルやファンク、ジャズといったブラックミュージックを買いました。当時住んでいた学校の寮では、インターネットが禁止されていたので通販ができず、地元の街でもレコードは買っていましたが、とにかく情報が少なかった。初めて訪れた渋谷のレコード店の数々は、驚きと発見だらけ。いまだに駅前のスクランブル交差点を通りかかると、当時のことを思い出し、ちょっとワクワクしたりします」

その後、あることがきっかけで、高校生のうちに渋谷のクラブのステージに立つことになった。

「実は高校時代にヒップホップ好きが集まる掲示板で、あるラッパーと知り合ったんです。その方が、僕の作ったトラックに興味を持ってくれたので、音源を送っていたんですよ。まだ、当時はネット上でのデータのやり取りではなく、CD-Rに音源を焼いて郵送していました(笑)。高校3年生の春休みの時、僕のトラックをライブで使うということで、道玄坂にあった<VUENOS>(2020年閉店)へ遊びに行ったんです。自分のトラックの上にラップが乗り、たくさんの人に聴いてもらえる。本当に嬉しい経験でした。その後、大学合格を期に上京して、入学式の数日前に、先のラッパーの方から「ライブのバックDJを頼みたい」と連絡が来たんですよ。場所は<CLUB HAZARD>というクラブでした。緊張しましたが、いい経験になりましたね」

レコード店やクラブ、ライブハウス。いまだに渋谷を訪れることが多いというSTUTSさんに、ホテルインディゴを体験してもらった。まずは、客室の雰囲気にあったレコードがセレクトされ、実際に聴くことができる快適な客室へ。28階からの眺望が気になる様子。

「普段、道を歩くことの多い街並みを、上階から眺めるというのも不思議な気分です。新しいビルも多いけど、もちろん古い建物も多い。こういう新旧入り混じった感じが、今の渋谷の魅力かもしれない。また、陳列されたレコードも興味深い。部屋にはレコードジャケットがディスプレイされていますが、ルームサービスにお願いすると、レコードとプレイヤーを貸してもらえるんですね。知っている曲でもめちゃくちゃフレッシュに聞こえる。音響装置は、曲の輪郭がはっきり聴き取れるクリアな設定。ホテル側がセレクトした良質のレコードから、新しい音楽との出会いが生まれると思います」

そして、渋谷をテーマにしたアートも飾られ、レコードのディスプレイが印象的なレストラン<Gallery 11>へ。

「思いの外、風も強くないし快適ですね。レストラン内のラウンジにあるレコードの棚は、ポップスからソウル、ジャズをはじめ、ややマニアックな和モノまで、幅広いジャンルのものが並んでいますね。日本独自の作品も多く、レコードをディグしにきた海外から来た方には、喜ばれるんじゃないかな。」

ホテルインディゴで、新しい渋谷の楽しみ方を見つけたというSTUTSさん。これからの渋谷、そしてホテルインディゴに期待することを聞いた。

「ここから徒歩5分のところに、道玄坂の<CLUB asia>や<HARLEM>などのクラブが並ぶ界隈がある。最近はまた遊びに来る週末はごった返しています。若い人に、もっと遊びにきて欲しいと思います。それから、もちろん海外の人も多い。ライブのために来日した海外のDJやアーティストはもちろん、地方からナイトライフのために遊びに来た、すべての音楽好きの人たちにホテルインディゴをおすすめしたいですね。夜遊びの後、ホテルに戻って渋谷の街並みを眺めながら、レコードを聴いてチルとか最高でしょうね。いつか、僕も泊まってみたいと思います」

HOTEL INDIGOと考える新しいホテルのあり方

レコード STUTSさんがHOTEL INDIGO SHIBUYAで考えたプレイリスト

PROFILE

1989年生まれのプロデューサー・トラックメーカー。 自身の作品制作やライブと並行して、数多くのプロデュース、コラボレーションやTV・CMへの楽曲提供など活躍の場を広げている。 2021年4月にはTVドラマ「大豆田とわ子と三人の元夫」主題歌『Presence』を発表。同年10月にSTUDIO COASTワンマンライブを成功させた。 2022年10月に3rd アルバム『Orbit』、12月にはMirage Collective名義でのアルバム『Mirage』をリリースした。6月に初となる日本武道館公演を成功させた。

THE WORLD'S NEIGHBOURHOOD HOTEL

世界を照らす。ここにしかないストーリーで
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2つの国宝に触れる旅、中部の奥座敷・犬山へ。