伊藤徹也と高橋ヨーコの、
とっておきたい写真のはなし
「プリント写真は世界への“窓”に」
「写真をアートとして楽しんでもらいたい」と語る写真家の高橋ヨーコさんと、「プリントするまでがカメラマンの仕事」と言う職人気質のフォトグラファー、伊藤徹也さん。自宅に飾る自身の作品を持ち寄って、お互いの写真のこと、写真を飾ることの魅力を語ります。
毎日眺めていると、物語が生まれてくる。
伊藤徹也のそばにある写真。
高橋ヨーコのそばにある写真。
ヨーコさんの写真はより記憶に近い感じがして。光なのかな。見てると自分がその場所に行ったような気になっちゃう。これはどこ?
米のイエローストーンに行く途中の湖です。自宅の階段の途中の壁に飾ってます。2階に上がるたびに目に入るんだけど、壁の向こうが湖みたいで、いいでしょ。
窓抜け感。
そうそう。写真を飾るってことは、世界につながる窓を持つことだから。居間のあちこちにも写真を飾ってるんだけど、湖の写真は特に、その「窓抜け感」で選びました。伊藤さんが持ってきた写真は上海?
ですね。家のトイレの壁に飾ってます。知り合いでも何でもない家族なんだけど、毎日見ているから思い入れが募っちゃって(笑)。
時代や時間が写ってます
足元の人工芝や服の色がいい感じでさ。20年近く前だからもうこんな上海は存在しないんだけどね。ところで、ヨーコさんは自分の写真を家に飾る照れくささはないです?
ないかな。飾りながら、どーだ! いいねぇって思ってる(笑)。
俺はちょっとあるんだよね。だから、もう一枚の朝焼けの海の写真は、廊下の足元に置いてます。
えー! 堂々と居間に飾って自画自賛しましょうよ。やっぱり写真は飾って「見て」なんぼでしょ。
確かに。見ないと何も起こらない。毎日見ていると、物語が生まれてくる。上海の家族写真は、この赤ちゃん、もう大人だよなぁって、写真の続きや「向こう側」みたいなものを、想像して楽しんでます。
ほら、ね。やっぱり写真はつながっているんですよ。世界に。
見れば見るほど想像が膨らんで細部に目が行くようになりますよね。ヨーコさんが言うように、写真は世界への窓でもあるし、世界をよく見るきっかけでもあるのかな。
あと、飾るってことで言うと、日本の家は壁が少ないのが残念です。すぐ棚にしちゃう。狭い中でも壁を作ってアートを飾る、という文化がまだ育ってない気がします。
大きな壁に大きな写真が無理なら、小さくてもいい。小さいと近くでジッと見るから、いろんな情報が入ってきていいってこともある。
額装も大事だと思うなぁ。
額ってハードルが上がる印象だけど、今は量販店に安い額もあるしね。写真家じゃなくても、みんな携帯であんだけ写真撮ってるんだから、プリントして額装したらいいと思う。そしたら、写真の見え方や撮ったものへの感じ方が変わるかもしれない。ヨーコさん、次にプリントして飾りたい写真、ありますか?
あるある。1万枚はある。そもそも好きなものを撮ってるんだから、全部、好きな写真だし。
心が動かないとシャッターは切れないもんね。撮るってことは、心が動いた証拠でもある。そこから選んでプリントするんだから……。
いいに決まってます。だから伊藤さん、明日から堂々と自分の写真を居間に飾ってください!
BENEFITS
高橋ヨーコと伊藤徹也が考える、
プリント写真の良いところ。
- 壁に掛ければ、世界とつながる「窓」に。
- 見れば見るほど想像が膨らみ物語が生まれる。
- “好き”に囲まれる生活は幸せだ。