ブルータスが考える写真幸福論

仲野太賀の、
とっておきたい写真のはなし

PR 2023.10.16

「写真を前に共有する、共に過ごした時間」

小学生のときに貯めたお年玉で初めて自分のカメラを購入し、以来ずっと写真を撮り続けてきた仲野太賀さん。高校時代、恋人にプリントを贈ったことを振り返り、「最大限のプレゼントでした」と語った。太賀さんにとって写真は、人との関係性を深める役目を果たしている。

プリントを受け取った人の喜ぶ顔が嬉しくて。

「携帯やデジタルカメラで、〝写真を撮る〞という行為が気軽になったからこそ、プリントすることをより特別に感じるようになりました」と仲野太賀さん。忙しい日々でプリントする回数こそ減ったものの、大切に思う気持ちは変わらないどころか増しているようだ。今でも時間を作り、撮影したものをプリントしたり、これまでにプリントしたものを見返したり……。「一人で酒を飲みながら眺めては、ニヤニヤする時間が至福なんです」といかにも嬉しそうに教えてくれた。
 小学生で初めてデジタルカメラを手にし、中学時代にフィルムカメラを手に入れてからは日々カメラを持ち歩き、撮影をしたものはほぼ全てプリントしていたという。「ファインダーを覗いてシャッターを押したときのイメージよりも、プリントして現れてきたものの方がよりその時の空気感を孕んでいるように感じるんです。思い出に補正がかかるというか……、うまく言えないですけれどフィルムに焼きついた後の方がより〝写っている〞感覚がある。それが楽しくて、どんどん写真にのめり込んでいきました」
 学生時代は修学旅行にもカメラを持っていき、大切な人や何気ない日々を撮り続けた。恋人にプリントをプレゼントしたのをきっかけに、人と共有する楽しさに目覚める。「自分で撮った写真でこんなに喜んでもらえるんだ!と、僕自身が嬉しかったんですよ。そうしてことあるごとにプリントを贈るようにしていたら『結婚するから写真を撮って』、『子供が生まれたから家族写真を撮って」と人生の節目に撮影させてもらう機会をもらったりして。やっぱりプリントして額装するのって良いなって、人に贈るたびに思います。僕が誰かにきることってそれくらいだから」「初めて訪れた土地はワクワクするし、全てがキラキラして見えるからどうしても写真が撮りたくなりますね」との言葉の通り、撮影でシカゴを訪れたときにも、たくさん写真を撮った。そして自分でレイアウトして製本し、ZINEにまとめて、撮影チームにプレゼントしたそうだ。「二度と同じチームで仕事をすることはないかもしれないから、その瞬間を記録しておきたいと思って」そうしてZINEにおさめられた人々の写真は、どれもリラックスした、楽しそうな表情が印象的だった。中には、太賀さん自身が写っているものも。現場で賑やかに、カメラを介して人の輪が広がっていた様子が目に浮かぶ。その場で一緒に時を過ごした人ならば、ページをめくって思い出が蘇る感覚はひとしおだろう。「撮影してからプリントが出来上がるまでに発生するタイムラグや、過去にプリントしたものを見返すときのタイムカプセル感も、ちょっと僕らをわくわくさせてくれますよね。時間が経っても、写真を見返せばその時の気持ちを思い出させてくれる。それを人と共有できるのも、プリントの好きなところです」
 太賀さんにとって写真をプリントする行為は、誰かを喜ばせるために自然と自分ができること。人の手に渡った写真を介して、時間や距離を超えて同じ空気を吸っているのだ。

BENEFITS

仲野太賀が考える、
プリント写真の良いところ。

  • 撮影時の空気感まで出力される。
  • タイムカプセルのような楽しさがある。
  • 友達や大切な人と時間を共有できる。

Profile

仲野 太賀
俳優
なかの・たいが/2006年にデビューし、映画やドラマへ多数出演。2017年には、川島小鳥による写真集「道」を発売。現在は、ドラマ「いちばんすきな花」(フジテレビ系)に出演中。
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