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ドキュメンタリー好き・大根仁、忘れられないあのシーン。『ザ・ストーン・ローゼズ: メイド・オブ・ストーン』

ドキュメンタリー好き、映画監督・大根仁さんが「忘れられない、あのシーン」について語ります。

Illstration: Ryo Ishibashi / Text: Izumi Karashima

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イアン・ブラウンが
22万人ライブのステージに
向かう瞬間

ザ・ストーン・ローゼズが再結成し、マンチェスターのヒートンパークで計22万人を動員したライブを行うまでを追ったドキュメンタリー。

電気グルーヴのドキュメンタリー(『DENKI GROOVE THE MOVIE?』2015年)を作ったときにこれを参考にしました。構成がめちゃめちゃいいんです。

イアン・ブラウンがファンとハイタッチしながらステージに向かうシーンから入るんですが、それをハイスピードカメラで撮るという、絶対カッコいいやつで(笑)。しかも、そこに巨匠アルフレッド・ヒッチコックのインタビュー音声が重なるのも最高なんです。

『ザ・ストーン・ローゼズ:メイド・オブ・ストーン』
©Channel Four Television/BMSW Ltd. and Warp 1989 Ltd. 2013.

ローゼズとは関係ない「幸せとは何か」という質問に答えるものですが、それをフリにして映画は始まり、ローゼズの結成から解散までの歴史が描かれる。

そして、15年ぶりにメンバーが再会、ライブに臨むことになるんですが、ラスト、ヒートンパークのシーンに入るところで再びヒッチコック。
「カメラはありのままのすべてを受け入れる。何も拒まず、何も執着せず、何も恐れず、何も求めず、何も憎まず、何も愛さず」。映像を撮る者と撮られる者の関係性を述べる言葉なんですが、これぞドキュメンタリーの真髄だと思います。

『ザ・ストーン・ローゼズ:メイド・オブ・ストーン』イメージイラスト

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