冒頭、少年3人が
スケートボードに没頭する
長回しのとき
貧困や暴力など、切実な問題が描かれる作品です。苦しい状況のままラストを迎えるのだろうと予想しつつ、映画館で観ました。結末として、彼らの人生が希望にあふれるものになったわけではないけれど、爽やかさが感じられたのが意外でした。苦しくて切ない、青春ドラマのよう。
今まで、刺激的なドキュメンタリー作品も観てきましたが、この映画は繊細で丁寧、真摯で爽快だった点が、印象に残ったんです。

一番心をつかまれたのは、オープニングの長回しのスケートボードシーン。ほとんど車も人もいない、忘れ去られたような街を走る彼らの孤独感にクロースアップしつつ、スケートボードによってほんの束の間、辛い現実から解放され、自由でいる様子が美しく描かれています。
ドキュメンタリーも作品である以上、監督や製作者の意図が絶対に入り込みます。そういう意味では、ある種フィクションとも言える。でも、人間の出す表情や言葉のリアリティは想像できる範囲を超える瞬間があって、ドキュメンタリーにしか作れないものは、やはりあります。
アニメやドラマなどフィクションの世界に生きている僕としてはジレンマですが、どちらも素晴らしいと感じさせられました。
