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ラッパー・般若と愛犬ファギ。ヒップホップ界のラスボスを真っすぐ家に帰らせる強者

出会ってから十数年。喜怒哀楽、いろんな気持ちに寄り添って、いつも一緒にいてくれた。気づけば僕を追い越してシニアになった君は、先輩のようでもあり、親友のようでもあり、恋人のようでもある。穏やかな君の隣で、ずっと。

Photo: Naoto Usami / Text: Izumi Karashima / Hair&make: Hiroko Takashiro

2020年2月14日の朝、こいつ(愛犬ファギ♀)にめちゃくちゃに舐められて起こされたんです。俺たち人間が浮かれているのを察知して、彼女なりのバレンタインをくれたんでしょうね」
ラッパーとして、数々のパンチラインやアンセムを残し、近年役者としても活動の幅を広げている般若さん。そんな日本のヒップホップシーンのラスボスともいえる存在を、世界で唯一、舐めても許されるのが愛犬ファギだ。


「すっかり俺に懐いているけどもともとは妻が飼っていた犬で、初めて会ったのは4歳のとき。それから9年一緒にいます。妻にもらった0歳のときの写真を今も携帯の待ち受けにしてます。お前も13歳、ババアになったなぁ(笑)」と愛犬を見つめる般若さんの目はどこまでも優しい。

「若い頃は平気な顔で2㎞とか全力疾走するから、こっちも自転車で並走して。公園を何周もするうちに、俺もだんだんハイになってきて、“ファギー!”と何度も叫びながら爆走してました(笑)」

仕事と同じく、愛犬の散歩も全力投球の般若さん。気がつけばツアーポスターにファギを抱いて登場したり、ラスボスとして活躍していたテレビ番組『フリースタイルダンジョン』の収録にも連れていくように。

「控え室にいるときは、ファギにずっと話しかけているせいか、周りからヤバイやつ扱いでしたね(笑)。“ファギと結婚したんでしょ”と妻からも言われる始末で」

これまで病気一つなく、元気に過ごしてきたファギ。しかし、つい最近、13歳の誕生日前日に大変なことが起きてしまう。

「部屋でいきなり“ギャー”と声を出して倒れてしまって。すぐに病院へ連れていったけど原因はわからず。何日か経ってからエヴァンズ症候群っていう血液の病気と診断されました。“覚悟をしてくれ”と獣医から伝えられて頭の中はもう真っ白。それから毎日病院に通って、ずっと一緒にいましたね。その甲斐あってか、奇跡的に持ち直してくれて。マジで、生きててくれてありがとうって」

「限りある命だからこそ、
一分一秒一緒にいてやらなきゃ」

人間より短い犬の一生だから、どうしても直面してしまう病気や老い。共に過ごす時間の中で大切なのは、どう寄り添っていくのかということ。

「目が見えなくなったり、歩けなくなったり、この先、どんなことがあってもずっと面倒を見ていく。俺が仕事で不在のときとか、ずっと玄関で待ってくれているんですよ。そりゃ速攻で帰ってやらなきゃ。一秒でも長く自由に生きて、笑っていてほしいです。

たまに自然豊かな場所で自由に走らせてやると、本当に楽しそうな表情になりますもん。普段の生活でもそんな幸せな顔をたくさん引き出してやりたい。今日も同じベッドで寝て、明日を一緒に迎えて、めざましテレビの『きょうのわんこ』を観ながら、“お前が一番だよ”って言って撫でてやりますよ」

ラッパー般若と愛犬ファギ