
おいしいとは、上質とは。|ホルトハウス房子
『暮しの手帖』の仕事をはじめた時、僕はすぐにホルトハウス房子さんにお会いしたいと思っていた。ベストセラーになった『カレーの秘伝』『ホルトハウス房子 私のおもてなし料理』は、正統であること、上質であること、自分のスタイルを持つことを僕に教えてくれていた。
いつも若々しく、チャーミングなホルトハウス房子さんから、ある日、料理と味についてこんなふうにお話しいただいた。
食べている最中ではなく、食べ終
『暮しの手帖』の仕事をはじめた時、僕はすぐにホルトハウス房子さんにお会いしたいと思っていた。ベストセラーになった『カレーの秘伝』『ホルトハウス房子 私のおもてなし料理』は、正統であること、上質であること、自分のスタイルを持つことを僕に教えてくれていた。
いつも若々しく、チャーミングなホルトハウス房子さんから、ある日、料理と味についてこんなふうにお話しいただいた。
食べている最中ではなく、食べ終
あの頃、僕にとっての「一流」とは「本物」だった。生まれてはじめて本物を手にしたのは、小学五年の時だ。中野区に暮らしていた僕は、若宮リトルリーグに入団し、硬式野球に励んだ。入団に際して、僕は硬式用グローブを母にねだった。神保町の〈美津濃スポーツ〉を訪れ、プロ野球選手用の「ワールドウィン」を選んだ。モデルは内野手用で、巨人軍の土井正三が使っているのと同じだった。頑として他のモデルに目もくれない僕を見