
17世紀


どうしてみんなグレン・グールド好き?
「グールドって難しくて、迂闊に好きって言っちゃうと余計なものがいろいろ付いてくるんですよ、スノッブとかオシャレとかね」
グールドは好きですかという直球の質問に、原摩利彦はおかしそうに、でもちょっと困ったような顔で答えた。たしかにグールドという記号はある時期イケメン男子のアクセサリーのようだったし、一般名詞化した「グールド好き」は原のような音楽家ならなおのこと、口にしづらいに違いない。それでも原

NEW TECHNOLOGY|新しい定番、未来のヴィンテージ。
16世紀、ガリレオ・ガリレイによって振り子の等時性が発見され、人は時を正確にカウントする術を得た。そして1656年、この法則を利用し、ゼンマイの巻き戻りを制御する仕組みをクリスチャーン・ホイヘンスが考案し、振り子時計を製作。以来、機械式時計の基本原理は変わっていない。腕時計においては振り子のウェイトに代わるのがテンワ、吊り紐に代わるのがヒゲゼンマイである。そんな腕時計のムーブメントに大きな革新が訪

サステイナブル歴36年。
〈ヘレンカミンスキー〉は環境への配慮が高まる現代に先駆けて、1983年からサステイナブルな取り組みを続けている老舗の帽子メーカー。最高級の原木が採れるマダガスカル産のラフィアを使用した特徴的な編みのパターン柄は、職人の手により一つずつ丁寧に作られている。小さく折り畳めて、ポケットやカバンに収納できる仕様。ハット各27,000円(カミンスキー/ヘレンカミンスキー 表参道ヒルズ店☎03・3470・25

南部:元祖イタリア料理は素材の豊かさ、 地中海式でヘルシーな料理。
日本でもブームとなったブッラータの本場。生クリームと糸状に裂いたモッツァレラを同じ生地で巾着状に包んだチーズ。切ると中身がトロリ。外と内、硬軟の食感の違いを合わせて食べる。同じく州名産の豚の首肉サラミ、カポコッロや野菜のマリネなどと一緒に食前を盛り立てる。

東京花市場。
気温(または室温)上昇によって、開花運動する代表的な花。約17〜25℃になると開き始め、16℃を下ると閉じるとされる。一日の中で変化する表情に加え、一重咲き、華やかな八重咲き、花びらがねじれて波打つパロット咲きと品種も豊富で、さまざまな花姿が楽しめる。

めくるめく、オトナの絵本。
絵巻とは、巻物になった絵本のようなもの。詞書(物語)とその場面の絵を交互に見て、物語の世界をあれこれ想像する。仏画が仏教の教えを伝えたように、絵巻は日本の教養を面白く伝えるツールだったのだ。いわば「合戦絵巻」は「マンガで覚える歴史」で、「説話絵巻」は「アニメで知る昔話」。右から左へとストーリーを途切れなく伝える構成は、ダイナミックな時空間の飛躍や、緩急つけた戯画的表現を生み、ゆえにアニメの原点とも

ナンパもダンスも団欒も。
浮世絵のルーツは庶民の日常を描いた風俗画だ。踊り、祭礼、遊郭に興じる町衆たち。実は平安の絵巻にも風俗描写はあるのだが、独立した絵として描かれるようになったのは戦国時代が終わる頃から。踊りなら踊り手をズームアップし、遊里なら親密な空気や猥雑な会話も伝わるようなフレーミングで。非情の世に隠れていた人間の愛すべき営みに目を向けてみたら、意外と絵になった、ということだろう。ほかにも、宴や歓楽の様子を肯定感

極彩色の狂気が笑う サディスティック・シンドローム。|岩佐又兵衛
地獄絵から血みどろ絵まで、日本のサディスティックな絵画の中でも《山中常盤物語絵巻》はひときわS度が高い。惨殺シーンのぬめっとした血なまぐささに加え、画家が描きながら薄ら笑っているような、醒めたユーモアが感じられる。
岩佐又兵衛の壮絶人生は2歳の時に始まる。父である武将・荒木村重は信長への反逆を企て、自分は逃げたものの一族郎党皆殺し。妻子も六条河原で首を刎ねられた。唯一救出された又兵衛が、亡き母

狩野派きっての知的絵師は 奇妙なフォルムが好き!| 狩野山雪
幾何学的で秩序的な構図を好む知性派であり、エキセントリックかつ危なっかしいフォルムに惹かれてしまう特殊形状マニアでもある。それが狩野山雪という男。
狩野永徳の巨木表現を受け継ぐ狩野山楽に弟子入りした山雪は、自由奔放な師匠とは違うマニアックな資質を秘めていた。京都で多くの障壁画を残したが、中でもその鬱屈したキャラクターがくっきり表れているのが妙心寺天球院の金碧障壁画。エネルギッシュに伸びる梅の枝