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ナイロビのコーヒー

高校時代、親元を離れて寮生活を送っていた。寮生の出身地は様々で、国内だと北は北海道、南は沖縄まで。親の仕事の都合で海外で育ち、ひとりで日本に戻り寮生活を送っている生徒も少なくなかった。そういった寮生たちのほとんどは、やってきた都市の名があだ名になっていて、ジャカルタ、ナイロビ、ロンドン、上海など、これらは全てクラスメートのあだ名だ。夏休みが終わると、それぞれに地元のお土産を配ったりする。隣の部屋の

「紙魚について」

ある日、友人のアトリエで本棚を物色して一冊の気になる本を取り出した。随分と古い美術書で、厚紙のケースに収められていた。本の背をつまみ、数センチほど本をケースから引き出したところ、銀色に光る、ぬるりとした虫が這い出してきて、私は声にならない悲鳴をあげた。「そんな高い声も出るのね」と冷静なコメントをした後に、「その虫、もう一度本の中に閉じ込めておいて」と友人は言った。

調べたところ、この虫は紙魚(シ

柿について

少し冷たい雨にぬれながら
木の枝にぶら下がっている
ひとつの柿がありました
なぜかぽつんとひとつでした
その昔
「わたしは柿くらいでいいの
 そんなに人気はないけど
 好きなひとには好かれて
 自分の色も持ってて
 渋みもあるし
 わたしは柿くらいがいいの」
そう言っていた女の子は
ひとしれず柿の実になってしまったので
クマはずっと見上げて あの子が
落ちてくるのを待っていましたが
集まってくるカ

現代ファッションの信条および技術

シャツよりも季節に袖を通せ。
流行は夕立のように過ぎると知れ。
愚痴を言いそうになったらチーフを食え。
ファッションの海を裸で泳ぎきれ。
服を語るより、一篇の詩を書け。
その腕時計は川に投げ捨てろ。
甘ったるい匂いをさせて蜂に刺されるな。
ブレスレットはやめとけ。
煙草を吸うよりは雲を作れ。
自分自身をクリーニングに出せ。
くるぶしを出しすぎて風邪をひくな。
お洒落なら、着た切り雀になれ。
iPh

【蜜とは? そして、イカに飯とは?】渋谷で巡る辺境料理、ポルトガルからペルーへ。

「渋谷がいい。渋谷以外では食いたくない!」
 私がごねるので今回は渋谷で2軒、世界一周メシである。渋谷の文化村シアターコクーンで、かつて故中村勘三郎さん(当時勘九郎さん)に書き下ろした芝居の再演を一か月近くやっており、それが3時間を超える芝居で、いきなり「江古田にいきましょう」などと言われても身動きがとれないのだ。
「渋谷にも辺境料理はあります。どれほどでもあります」
 社長はいつだって頼もしい。