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世界一周

人はいつフィリピン料理を食べるのか?

祝日の夜の西荻のとある商店街は、日本海側の町のシャッター街かと思うほど閑散としているうえ、寒風が吹きすさんでおり、土地勘というものに絶望的に見放されている私は、こんな場所にフィリピン料理屋があるのかと心細かったが、その細さが極細になるほど歩いた先に「ATE」はポツンとあった。

今回、社長とママと私は、フィリピン料理をくらうのである。食らうと決めてからふと思ったのだが、人はどんなときに「さあ、フィ

【チェコ女はモジモジし、バリ男にはロマンがある。】不意打ちで食らった大河ロマン。

 ドスの効いた大人が通うスナックや瀟洒な小料理屋の立ち並ぶ荒木町に、こんなに足を運ぶ人生が自分に訪れようとは、10年前には考えたこともなかった。大人としてまっとうに働いている意識の低い人間としてはうまく言えないが、東京の真ん中あたりの町は敷居が高いのである。そういえば、初めて文筆の仕事をしたのも本誌もそうだがマガジンハウスで、マガハは東銀座にあるので、笹塚の自宅から東銀座の放つ眩しい輝きに、「階層

WARE-mo-KOU

 コンセプトは「土着と渡来」というだけに、ショップには日本を含む世界各国のアイテムが並ぶ。中でも最近はロンドンブランドのラインナップが強く、ニコラスデイリー、フィービーイングリッシュ、エレナドーソン、ウェールズ・ボナーなど要注目株を軒並みフォロー。その意図はディレクターの澤村泰介さんが、世界3大ファッションスクールとされる名門校の中で、特にロンドンのセントマーチンを出たデザイナーに癖の強さやデザイ

【ギリギリではある。しかし、つながっている】甲州街道に現れた本場のウイグル料理。

 新宿に稽古場がある。なのでよく甲州街道を通って新宿に行く。その途中、初台の辺りでいつも気になる派手な赤色の、主張の激しい看板があった。「シルクロード・タリム 本場のウイグル料理」とある。気になっていた。社長に報告すると、「あ、タリムは日本に3軒あるウイグル料理屋の一軒です」と、涼しい顔で実食済みである。悔しい。いつも社長は実食済みなのである。「新疆ウイグル自治区は、以前は東トルキスタンという国で

【蜜とは? そして、イカに飯とは?】渋谷で巡る辺境料理、ポルトガルからペルーへ。

「渋谷がいい。渋谷以外では食いたくない!」
 私がごねるので今回は渋谷で2軒、世界一周メシである。渋谷の文化村シアターコクーンで、かつて故中村勘三郎さん(当時勘九郎さん)に書き下ろした芝居の再演を一か月近くやっており、それが3時間を超える芝居で、いきなり「江古田にいきましょう」などと言われても身動きがとれないのだ。
「渋谷にも辺境料理はあります。どれほどでもあります」
 社長はいつだって頼もしい。

【おっさんに餌づけされ、ラブホ街を彷徨って】赤坂のエチオピアと円山町のジャマイカ。

 赤坂で道に迷い、また担当Kに迎えに来てもらった。
 超絶方向音痴の私にとって、初めての店に一人で行くこと、それがそもそも旅である。
 赤坂のオフィス街にエチオピア料理の店「サファリ」はあった。最初に踏み込んだ印象は一言、あやしい、である。まあ、たいがいのエスニック料理の店は多かれ少なかれあやしいのだが、特に「サファリ」には、なんともいえないやさぐれ感があった。それには、ラスタ帽を被ったいかりや長

【美青年と混ざる世界】イスラエルとカンボジアを一晩で……。

 ミャンマー料理屋のインテリおかみに前回教わった、納豆にニンニクを混ぜ唐辛子をかけて混ぜちらかす、という食べ方、それは、ニンニクの臭さと納豆の臭さが殴り合いの喧嘩をした後に仲直りしたような、独特な風味であって、それにドはまりし、もはや、ニンニクなければ納豆は食わぬ、という境地に至った松尾は、今回も日本にいながら食で世界旅行をしております。
「次は、イスラエル料理を食べましょう」と社長は言う。
 イ

石塚元太良

 アラスカの海にカヤックで漕ぎ出し、数週間かけて撮影を行うなど、壮大なスケールで活動を行う石塚元太良さん。「お金とはうまく付き合えてません」と言うけれど、世界を飛び回って作品を発表するにはどうしたってお金がかかると思うわけで。
「言われてみれば確かに。年に2回はアラスカに長く滞在していますから、どうにかやりくりしているんでしょうね」と、まるで他人事。本当にお金に頓着しない人なのだろうか。
「子供っ

【ミャンマー、社長、四谷のママ】松尾スズキの“胃”に“ミャンマー”が入った!

 税金が高い。高すぎる。しかし、それを押しても日本はいい国だ。日本にいながら世界中の料理が食えるのだ。旅の醍醐味は食にある。私はそう思う。中国に行ってノルウェー料理が食いたいという混乱した人間はそういない。空港に着いた瞬間から、うまい中華が食いたい、で、中華を食う、ああ、しみじみ中国に来たなあ、と、そうなるのが、旅である。ならば、逆に考えれば本場の中華を食ってさえいれば、日本にいようが少なくとも胃

かっこいい映像より、協力する喜び。|ミシェル・ゴンドリー

「子供の頃、父親の“スーパー8(コダック製の8㎜フィルム)”でいとこと一緒にいろんな映像を撮って遊んだんだ。あの楽しさを味わってほしい」。東京都現代美術館で『ミシェル・ゴンドリーの世界一周』展が開催中の映画監督ミシェル・ゴンドリー。展示内の「ホームムービー・ファクトリー」は、路地裏や電車など用意されたセットを使い、即席のチームで物語と映像とを作り上げるワークショップだ。「完成した映像の良し悪しなん