キーワード

文藝春秋

古市憲寿『平成くん、さようなら』の平成くん

名前:古市憲寿『平成くん、さようなら』の平成くん

症状:平成が終わった瞬間から、僕は間違いなく古い人間になってしまう。(中略)時代を背負った人間は、必ず古くなっちゃうんだよ。

備考:平成の終わりとともに安楽死を望む主人公と、それを受け入れられない恋人。2人の関係を通して、生きること、死ぬことの意味を問う。文藝春秋/1,400円。

幻想小説? いやいや。これはもう 「読むフリークライミング」でしょう。

小説の楽しみにふたつある。「視る」楽しみと「よじ登る」楽しみだ。「視る」楽しみといっても「イメージを喚起する記述のある小説」という意味ではない。小説は筋の構造やできごとの布置、登場人物たちの対立図式を提示したり、発展させたり、ときにはひっくり返してみせたりする。僕たち読者はその模様、パターンの広がりや変化を、小説の頁から距離を取って俯瞰して、わくわくしたり意表を突かれたりする。読んでいるあいだ、つ

真似のできない男らしさ。その後ろ姿に勇気をもらう。|岡宗秀吾

 20年前に叱られて以来、水道橋博士に認められたいというのが僕の原動力です。芸人として世の中と戦うヒリヒリ感、痛々しいほどの迫力、その姿に毎度勇気をもらいます。また、結成時に血判状を交わすなど、クールスの激情に満ちた足跡も憧れ。革ジャンの匂い、ティアドロップのサングラスの奥の目。ディテールに胸が躍る! そんな過剰なまでの男道を求める一方、そのどれでもない一人間として生きていていいと、存在を肯定して

島本理生『ファーストラブ』の聖山環菜

名前:島本理生『ファーストラヴ』の聖山環菜

病状:「動機はなんだって訊かれたときに、動機は自分でも分からないから見つけてほしいくらいですって。そういうふうには言いました」

備考:父親を刺殺した女子大生・環菜。臨床心理士の由紀は、事件についての執筆依頼から本人や周辺人物との面会を重ね、「家族」を紐解いていく。文藝春秋/1,600円。

島田雅彦

「人間は主として2種類に分けられます。効率的にお金を稼ぐ人と“新しいお金”を作ってしまう人。前者はビジネスマンと呼ばれ、後者はアーティストと呼ばれますが、私の父はお金を稼ぐのがへたで、自分もそうになるに決まっていると幼い頃から思ってきました。というわけで、貨幣経済とグレた付き合い方をすべくアーティストになったわけです」
 そう語るのは、小説家の島田雅彦さんだ。実際、2010年に刊行された著書『悪貨