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最初に感動していたことが 日常になって見えるもの。

10年修業組が帰国の兆しを見せた先駆けは〈オルトレヴィーノ〉である。食材、惣菜、ワインが買えて、バールもリストランテも地続きのエノガストロノミア。イタリアの街場にある、しかし日本では見慣れないこの形態を鎌倉へ持ち込み、今年で10年目を迎えた。
 
シェフの古澤一記さんは「料理もワインも同等に、高い次元で修得する」ため、イタリアで必要な経験を逆算。最初は料理人としてシェフも務め、次に3ツ星〈エノテー

チキンハウス | 吉田研介

「この家は、きちんと片づいている景色がいちばんいい。こうして椅子に座って眺めるとなおさらいい」「15年前、コルビュジエの〈母の家〉を見に行ったのだけれど、私の家の方が断然いいなと、心からそう思ったんですよね」
 
次から次へと、衒いのない言葉があふれ出す。吉田研介の自邸は、モダン住宅全盛の1975年、若手として頭角を現し始めていた吉田が37歳で建てた木造住宅だ。チキンハウスの意味は「拙宅」。欧米で

“花姿”にこだわる生産者を訪ねて。

勘やコツに頼らない徹底した数値管理で、繊細な切り花を栽培。

今では当たり前に花屋で見かける、リューココリネとアルストロメリア。実は、日持ちしない品種として切り花での流通が難しいとされていた。そこに金字塔を打ち立てたのが、〈三宅花卉園〉。“出荷から約1ヵ月は枯れにくい”と、フローリストが目を丸くする。その秘密は生産性を度外視した栽培にあった。
「有機栽培の名人といわれる方々がいますが、その勘やコツ

ATON

2016年にデビューしたエイトンは、昨年末に、東京・表参道に初の直営店をオープン。一度袖を通したお客は虜になってしまうことが多い。その理由は、どこにもない、最上級の素材にこだわっているから。ディレクターの久㟢康晴さんは、大手アパレル会社で約20年間テキスタイル開発やディレクターを務めてきた人物。生産に関するノウハウを叩き込まれた経験から、日本全国津々浦々の工場とコネクションを持ち続けている。彼の考

『愛がなんだ』で演じた、“真っすぐな片思い”。

 この春公開の、角田光代の同名小説を今泉力哉監督が映画化した、ある意味究極の片思い映画『愛がなんだ』で、岸井は成田凌演じるマモちゃんに一方的に思いを寄せ、結局いいように扱われてしまうテルコを演じた。「最初に思ったのは、私はテルコじゃない、ということでした。私はあんなふうに真っすぐ好きな人に向かっていけない。でも、その気持ちの熱量みたいなものは理解できる。だから、現実には難しくても、この映画でとこと

監修者が選ぶ 中川さん執筆・ゴールデンカムイがわかるブックガイド。

アイヌ自身が初めてアイヌの伝承をアイヌ語で書き綴った作品集。カムイを主人公にした「神謡」と呼ばれる物語が、ローマ字で書かれたアイヌ語と日本語との対訳で13編収められている。その美しい序文と、「銀の滴降る降るまわりに」という不思議なフレーズで始まるシマフクロウの物語は特に有名。何度読んでも新しい発見がある、アイヌ文学の永遠の古典。知里幸恵はこの一冊の本を書き上げて、19歳でこの世を去っている。

盛って描くかリアルを残すか、 男たちの顔面決戦。

平安時代、礼拝や尊崇の対象として描かれたのが貴人や高僧の肖像画。やがて写実的な墨描きポートレート「似せ絵」を経て、中世には天皇や武士など権力者の肖像が描かれ始めた。
 時の大物の絵とあらば、求められたのはリアルな姿より、本人や発注者にとっての理想像だろう。抑えた表現で気品と威厳を描き出した《伝源頼朝像》はいかにも人格者に見える。《鷹見泉石像》は、蘭学の弟子(渡辺崋山)が師匠(泉石)を描いたものだか

日本では約20年ぶりのアルヴァ・アアルト回顧展。

積層合板の丸い座面に、バーチの無垢材を加工して作った3本脚を付けた、かの有名な丸椅子「スツール60」。アルヴァ・アアルト(1898〜1976)の家具は大量生産を念頭に規格化された「部品」を組み上げて作られ、ある意味単純で色気がないようにも見えるが、それゆえか、今から80年以上も前に作られた丸椅子はじめ、現代の生活空間においても普遍的な魅力を保ち、時代に取り残されないデザイン強度を保ち続けている。