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男らしさ

真面目と不真面目を行き来する、横断力にこそ男らしさは宿る。映画界の重鎮たちは、男である理由を教えてくれる。

 深作欣二監督は、言わずと知れた日本映画の巨匠。僕が学生時代にツテを頼って「学校へ映画の特別講義をしに来てくれないでしょうか?」と頼みに行ったら、2時間近くずっと巻きたばこを巻きながら無言でした。やけくそになって「俺は将来、自分の映画を作って映画監督になりたいんです!」と半泣きで訴えたら、「よし、わかった。俺が行くからには俺の映画を全部観とけ」と引き受けてくださった。そしたら、数日後、僕の安アパー

独自の哲学とスタイルで時代を率いた者から見習うべきは、スケールの大きい視野で世界を見る方法。

 U2は昔から大好きで、1990年代にアメリカ・ピッツバーグでのコンサートに行ったこともあります。その翌日、アンディ・ウォーホルの美術館に行くと、たまたまボノにサインをもらえることになり、売店で急いでハガキを買って渡したのですが、とても気の利いた落書きをしたサインをくれました。そんな彼の機転の良さに強い印象を受けたのをよく覚えています。U2そして特にボノは、音楽だけの活動ではなく、One.orgや

自分のスタイルを作るためには、他者の言葉に耳を傾けよう。

「どうでもよいことは流行りに従い、重要なことは道徳に従い、芸術のことは自分に従う」。映画監督、小津安二郎の言葉です。創作の究極の言葉だと思います。「人がいいと言うものは、見た方がいいよ。それで自分が違うと思ったら、またそこから会話が生まれるから」。10代の頃からの憧れの先輩でミュージシャンのSHJの言葉。自分の流儀、スタイルを世間に通したいのならば、まず相手を許すことから始める。そんな基本的なこと

四の五の言わず即行動。己を奮い立たせる男たち。

 ミュージシャンのTOSHI−LOWは人が言いづらいこと、自分が正しいと信じたことを、公の場で臆することなく言える男。自分を奮い立たせる何かを常にストイックに求めている。キャンドルアーティストCandle JUNEの、自分の世界観の作り方、仕事への挑み方に強烈な印象を覚えた。一つ一つの言動がいちいちドラマティックな男。ミュージシャンであり政治活動家の三宅洋平は、以前から原発問題について発言し、己の

“やせがまん”のプロたちに学ぶ、男らしい振る舞いとは?男なら誰かのために、体を張ってやせがまんをしてみろ!

 男とは“やせがまん”だと思っています。そして、プロレスラーとは、やせがまんのプロフェッショナルだとも。なので、僕からはプロレスラーを3人挙げたいと思います。
 まずは、天龍源一郎。彼のすごいところは、リング上でのパフォーマンスはもちろん、豪快な呑みっぷりと酒の席での過ちを許す器でしょう。アイスペールにさまざまな酒を入れて回し飲むという「天龍スペシャル」は、あまりにも有名です。「たとえ失礼な態度を

男らしさとは幻想にすぎないと語る男が貫く己の美学。憧れの男たちの言葉が今もなお自分の中に生きている。

 真樹日佐夫先生は、永遠の憧れであり人生の師。空手・柔道の有段者で、ステゴロの達人でもありながら、大らかで優しく、常に弱者の立場でものを考え、相手が大物フィクサーでも一ファンでも態度を変えることなく等しく接し、己の美学は貫くが他人には決して強制はしない……カッコイイという言葉は先生のためにあるのではないかと思います。生前、「男らしさなどというものは幻想にすぎない。男らしい男なんていないんだ。だが、

知性派AV監督が惚れる、一筋縄ではいかない男たち。

 松尾さんは、「あらゆる人間は生きているだけですでに迷惑なんだから、人に迷惑をかけた時に、いちいち謝るな。その分、人を楽しませたり、良いことをしたらいい」と言いました。松尾さんは「すべてのAV監督の兄」だと思う。そして父っぽい人より兄っぽい人のほうが、権力的でないぶん、より男らしい。内田百閒は、昭和42(1967)年、日本藝術院会員に推挙されるが断り、理由を聞かれると「いやなものは、いやだ」と答え

老いて到達する自由で闊達な男の振る舞い。

 鈴木清順監督の任侠映画からは男の何たるかを学びました。お会いした時、鼻に酸素チューブを挿した状態だったにもかかわらず、お住まいのロビーに現れるや否や、紙袋からサッポロ黒ラベルを数本取り出し「まあ飲みなさい」と、僕ら取材陣を脱力に陥らせ、チューブの下からビールを痛飲する姿に一時代を築いた男の器を垣間見た気がしました。とある授賞式でご一緒した浅葉克己さんは、人生の中でいろんなことを闘い、こなしてきた

妥協しないことが「男らしさ」と呼ばれるものへと通じる。

 一定の地位を得ながら、若い才能に積極的に働きかけてきたハーヴェイ・カイテル。例えばタランティーノの脚本に注目し、その作品に出演して強い印象を残しました。その姿勢に、アメリカン・ニューシネマ以来のインディペンデントの精神を感じます。中上健次について、作品以外の彼を知る術がありませんが、昭和天皇の崩御に際して書かれたエッセイには、この国の大きな歴史のうねりが流れていると思えてなりませんでした。それを

名優が演じた生きざまに男のあるべき姿を学ぶ。

『昭和残侠伝』で仲間を助けるため敵の事務所に乗り込んだ健さんには誰もが惚れるはず。拳銃の弾が腕を撃ち抜くも健さんは微動だにしない。指先から血を滴らせながら表情一つ変えずに言い放つ、「それだけですか」。『気まぐれ天使』で「カレーライスなんて男が晩飯に喰うもんじゃないよ」と下宿のおばさんに言った石立鉄男。カレーを卑下するわけではない。実際、好きで食べるはずだ。そういう話ではなく、思わず男のどうしようも