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暮しの手帖

キッチンは、ほほえむ | 松浦弥太郎

 キッチンに置く椅子を一脚買った。背もたれと袖が一体となったデンマークの曲げ木の椅子だ。

 ニューヨークのイーストヴィレッジに、料理本を専門とする老舗の古書店がある。オーナーは料理好きの女性だ。
 ずいぶん前、店からすぐ近くにある、一人暮らしする彼女のアパートを訪ねた。
 並木道の歩道から階段を上がると、赤い木のドアがあり、昔ながらの大きな鍵での開け締めが、ニューヨーク特有のブラウンストーンの建

おいしいとは、上質とは。|ホルトハウス房子

『暮しの手帖』の仕事をはじめた時、僕はすぐにホルトハウス房子さんにお会いしたいと思っていた。ベストセラーになった『カレーの秘伝』『ホルトハウス房子 私のおもてなし料理』は、正統であること、上質であること、自分のスタイルを持つことを僕に教えてくれていた。
 いつも若々しく、チャーミングなホルトハウス房子さんから、ある日、料理と味についてこんなふうにお話しいただいた。
 食べている最中ではなく、食べ終

僕は一流の歯車となって仕事がしたい。|松浦弥太郎

 四十歳の時、『暮しの手帖』の編集長に就いた。あっという間に八年が経った。八年の間に何をしてきたのかと訊かれると答えに詰まる。こうしたい、ああしたいはあるにはあるが、それができたかというとむつかしい。ひとつ言うならば、日々初心に帰って、その日の自分のすべてを精一杯出し切って仕事をしてきた。
 規則正しい生活をし、健康を心がけ、お金が喜ぶお金の使い方を考え、よく働き、よく食べ、よく笑い、よく学び、よ