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大切なこと

高山羽根子『カム・ギャザー・ラウンド・ピープル』のシバちゃん

症状:あのとき、工事現場で『お腹なめおやじ』にお腹をなめられたのに言い出せなかった、私と同じような子がほかにもいるんじゃないだろうか。
備考:幼い頃に少し嫌な思いをしたこと。誰にも気づかれず、なかったことにしていた記憶を、大人になった少女は、振り払うように走るのだった。集英社/1,300円。

キッチンは、ほほえむ | 松浦弥太郎

 キッチンに置く椅子を一脚買った。背もたれと袖が一体となったデンマークの曲げ木の椅子だ。

 ニューヨークのイーストヴィレッジに、料理本を専門とする老舗の古書店がある。オーナーは料理好きの女性だ。
 ずいぶん前、店からすぐ近くにある、一人暮らしする彼女のアパートを訪ねた。
 並木道の歩道から階段を上がると、赤い木のドアがあり、昔ながらの大きな鍵での開け締めが、ニューヨーク特有のブラウンストーンの建

[11月1日公開] 仏映画界の巨匠ニコラ・フィリベールの新作『人生、ただいま修行中』

『パリ・ルーヴル美術館の秘密』『ぼくの好きな先生』など、世界中で多くの観客に知られるドキュメンタリー映画監督ニコラ・フィリベールさん。1997年のカンヌ映画祭では審査員を務め、河瀨直美さんの作品にいたく感動したという。フィリベール監督の新作について語る2人の言葉には共通点がいくつもあった。

いろんな店に行ったけど、老舗に惹かれるのはなぜだろう。

酒場通いをするようになって20年近く。東京には美食も最新もあるけれど、私が惹かれるのは昭和の時代から続く大衆酒場だ。敬愛する昭和酒場には、「時間と手間を省くことは、お客に対する裏切り行為」といった気っ風が貫かれている。隅々まで掃除の行き届いた店内、手仕事の伝わる酒肴、何か不足はないかとつねに気を働かせる店員……。そして、そこに愛着をもって集まる客たちもまた、店の個性をつくる大事な役者だ。
 
昭和

毎日の家庭料理から大切なことを学んだ。|土井善晴

料理研究家としてテレビや雑誌などで活躍する土井善晴さん。父の土井勝さんも同じく料理研究家で、家庭料理家の祖と呼ばれている。勝さんは「おふくろの味」ということばを生み、旬のおいしさと家庭料理における日本の伝統的な暮らしの大切さを伝え続け人気を博した人物だ。
「父は子育てに関して放任主義、というより家のことは母任せで、自分は忙しくて構っていられなかったんだと思います。勉強しろとか、仕事を手伝えとか言わ