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建築研究所

藤森照信

都内港区のマンションの一室に、藤森ワールドが全開している。床・壁・天井はすべて同じ仕上げで、全面にクリの板が張られている。その中に、過剰なまでにつくりこんだ家具。どこか生き物のようなそれらの家具は、まるで楽しげに集い語らっているかのようにも見える。
 これまで屋根に木を植えたり、外壁を草でこんもり覆ったり、高すぎる柱の上に茶室をつくったり、独自の建築表現で世のほほえみを誘ってきた藤森照信さん。実は

Teiza-isu|低座イス (1960)

脚を投げ出したりあぐらをかいたり。ゆったり座れて立ち上がるのもラクな、座高29㎝の低い座椅子。デザインは長大作。脚部は美しいナラ材で、ほどよい幅をもたせた“ソリ”の形状。これは畳や絨毯を傷めないようにと熟考を重ねて生まれたもの。一方で、独特のカーブを描く背もたれの形は、柿を縦に切った時の切り口の美しさに感動してデザインした……というユニークな逸話も残る。

八郷の家

 一番身近にある材料で建てるのが家の基本だった昔を紐解いてみれば、ここはまるで原点に立ち返ったような家だ。
 茨城県石岡市、かつて八郷町といった集落の、山の中に立つ。実はこの家、建材にした材木の3分の2は、もともとこの敷地に生えていたスギやサワラである。約1000坪ある敷地には沢もあり、一日中きれいな水の流れる音だけが響いている。わずかな平地を拓いて建てた家は、建築面積約27坪。
 建て主夫婦は

テントの家

 木の家は数あれど、ここまで開放的な家は珍しい。鉄やコンクリートの構造に比べ一般的に、木造は大開口や大空間が作りにくい。開放感と木の空間の両立にはハードルがあるのだ。
 建て主が住宅に求めたのはずばり開放感だった。夫妻は山や緑が好き。家を建てるならシンプルで景色を存分に楽しめる開口部の広い家にしたいと、何日も推敲を重ねたメールとともに、心地よいオープンな住宅の名手として名高い手塚建築研究所に設計を