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1962年

人はいつフィリピン料理を食べるのか?

祝日の夜の西荻のとある商店街は、日本海側の町のシャッター街かと思うほど閑散としているうえ、寒風が吹きすさんでおり、土地勘というものに絶望的に見放されている私は、こんな場所にフィリピン料理屋があるのかと心細かったが、その細さが極細になるほど歩いた先に「ATE」はポツンとあった。

今回、社長とママと私は、フィリピン料理をくらうのである。食らうと決めてからふと思ったのだが、人はどんなときに「さあ、フィ

元祖ロリコン小説の作家、 実は言語との情事に興奮する変態か。

ドゥニ・ヴィルヌーヴ監督の映画『ブレードランナー2049』と宇多田ヒカルの最新アルバム『初恋』にはひそかな共通点がある。どちらもナボコフの小説『淡い焔』を参照しているのだ。ヴィルヌーヴは主題を暗示すべくダイレクトに引用し、宇多田は行き詰まりを打開しようと原書をめくってヒントを探した(一時はふさわしい言葉が思い浮かばず、作中の一節を朗読しようと考えたらしい)。

ヴィルヌーヴや宇多田を魅了したこの小

まだ観てないのは、 まだ辿り着いていないから。| 町山智浩 (映画評論家)

「まだ観てない映画が思いつかない」とは、インタビュー依頼時の第一声だ。映画評論家としてメディアで紹介した作品は2000本を超え、飯田橋界隈での映画少年時代から米国在住のいままでに観た映画となれば、それ以上。そんな町山さんの「まだ観てない映画」は「まだ辿り着いていない映画」である。では、“辿り着く”とはどういうことなのか?

「もともとは、アクションやホラー、怪獣、SF映画ばかりを観ていました。途中

スイーツは日々の喜び。忙しい巡業先の、つかの間の時。|芝田山 康

 そりゃ、今まで食べたスイーツは数知れないよ。でも、わざわざ食べ歩くようなことはしないんです。本業は相撲だからね、そんな暇はないの(笑)。なぜ、スイーツが好きか? 人間は誕生した瞬間から甘いおっぱいを飲んでいるわけで、もう生まれながらにして、潜在的なものなんですよ。
 僕は北海道の農家で育ったから、近所に手軽にケーキやお菓子が買える店がなくてね。小さい頃、親が街へ行くと帰りに手土産に何をぶら下げて

アニエス・ヴァルダが語る、最愛の夫にして監督、ジャック・ドゥミ。

  今回の特集上映『ドゥミとヴァルダ、幸福についての5つの物語』で公開される『5時から7時までのクレオ』と『幸福~しあわせ~』は、あなたの初期の監督作です。映画を撮り始めた頃、あなたが大事にしていたのはどんなことですか?
アニエス・ヴァルダ 単に物語を語るのではなく、どのように語るかということがとても大事でした。『~クレオ』では主人公の過ごす時間がリアルタイムで流れていきます。観る人に映画を体験し

穂村 弘

 会話体を取り入れた作品で“短歌のニューウェーブ”を巻き起こし、ニンマリさせるエッセイや対談本でのチャーミーは天井知らず。翻訳や評論でも活躍する現代短歌の第一人者にして、どこまでも柔らかな“ほむほむ”という愛称もお似合いの穂村弘さん。お金、どうですか?
「お金持ちになったら床暖房がついた家で、猫を膝に乗せて大きなテレビで映画を観たい、と言うと笑われるんですが、僕は、お金については子供の感覚のままみ

劇作家が語る、これからの日本と演劇。|平田オリザ

 平田オリザさんは、著書の中で日本の現状を“坂道”と表現する。そんな坂道を緩やかにする一つの方法に、演劇があるのかもしれない。「演劇で日本は変わらないけど、体質を改善する漢方薬みたいな役割はあるかもしれない。ヨーロッパでは、就職支援の一つとして演劇やダンスのワークショップを取り入れている自治体があるんです。人を楽しませることを楽しむ。マインドから変えていく。日本ではまだ行われているところはないから

年間1022回搭乗の先に見えてくる世界とは?

 自身の膨大な搭乗経験をもとに、飛行機にまつわる話をすべて機上で書き上げた著書『パラダイス山元の飛行機の乗り方』から3年。新刊『パラダイス山元の飛行機のある暮らし』を上梓したパラダイス山元さん。年間1000回以上飛行機に乗っているそうだが、一体どうやってそんなに多くの数を、またなんのために? 答えは単純明快、目的や理由を持たず「飛行機に乗って飛んでいる時間そのもの」を楽しんでいるから。目的地につい