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1962年

【長野、仙台、大阪、小倉、津、そしてケニア。】そして、誰も皆無口で、ウガリを◯◯した。

芝居の巡業で、長野に行き、仙台に行き、大阪に行き、小倉に行き、三重の津にまで行った。「どこ行くの?」「津」。発するのに一秒かからないスピード感に満ちたこの町には、その名前にふさわしく一日しか滞在しなかった。芝居後、食べ歩きをする元気もなく、津の夜は終わったのだった。その土地に旅して、その土地のものを食えない。それは虚しい。仙台では牛タンを食べ、長野では蕎麦を食べた。津には、なんの思い出も残らなかっ

アレキサンダー・ジラード|出会ったらマストバイな超稀少ヴィンテージプロダクト

ラテンアメリカをテーマにした伝説的なレストラン〈ラ・フォンダ・デル・ソル〉のために、内装はもちろん、メニューやサービスワゴン、トイレの蛇口に至るまで、店内のあらゆるものをジラードが手がけた。特に人気の高いテーブルウェアのシリーズは、商品化を希望するファンも多いアイテムになっている。

人はいつフィリピン料理を食べるのか?

祝日の夜の西荻のとある商店街は、日本海側の町のシャッター街かと思うほど閑散としているうえ、寒風が吹きすさんでおり、土地勘というものに絶望的に見放されている私は、こんな場所にフィリピン料理屋があるのかと心細かったが、その細さが極細になるほど歩いた先に「ATE」はポツンとあった。

今回、社長とママと私は、フィリピン料理をくらうのである。食らうと決めてからふと思ったのだが、人はどんなときに「さあ、フィ

【冷えた弁当の後は、ギャコックで】鍋にあふれる無限のチベット。

先日4本目の長編映画を撮り終えた。私は出自が演劇なので、映画と演劇の違いについてよく聞かれる。もちろん表現の違いは数限りなくあるが、映画と演劇には、飯の食い方が違うというのが大いにある。演劇は、だいたい昼過ぎに始まり、夜帰れる。なので朝昼晩、おのおの勝手に飯を食う。しかし、映画は、朝早いし、そうそう夜は帰れない。なので、皆で3食弁当を食う。これがきつい。しかも低予算の現場である。おかずの乏しい冷え

小麦粉と魚肉のハイブリッドは 札幌では当たり前なの?

札幌市民が本州のパン屋で気づくこと。「ちくわパンがない!」。ツナサラダやチーズが詰まったちくわ入りのパンは、あまりに日常すぎて、札幌固有であることを知らない人が多いのだ。一方、かまぼこの〈かま栄〉が、すり身をパンで巻いて油で揚げたパンロールは、地方発送できないため北海道でしか買えない。

ちくわパンは80年代に札幌・白石の焼きたてパンの〈どんぐり本店〉で生まれた札幌発祥惣菜パン。市内のほかのパン屋

世界のトップ調香師を集め、"マニアック"で個性的な香水を作り出す〈フレデリック マル〉の魅力。

祖父が〈パルファン・クリスチャン・ディオール〉の創設者、母親がディオールの「オー ソバージュ」の開発メンバーだったこともあって、家にはいつもリットル単位で香水が送られてきていたよ。12歳から香水をつけ始めたんだけど、「香水は自分の一部」と気づいたのはその頃から。僕はスポーツ少年で毎日たくさんの汗をかき、一緒に香水も蒸発して自分の顔に上がってくるわけだから、知らぬ間に中毒になっていたのかもしれない(

元祖ロリコン小説の作家、 実は言語との情事に興奮する変態か。

ドゥニ・ヴィルヌーヴ監督の映画『ブレードランナー2049』と宇多田ヒカルの最新アルバム『初恋』にはひそかな共通点がある。どちらもナボコフの小説『淡い焔』を参照しているのだ。ヴィルヌーヴは主題を暗示すべくダイレクトに引用し、宇多田は行き詰まりを打開しようと原書をめくってヒントを探した(一時はふさわしい言葉が思い浮かばず、作中の一節を朗読しようと考えたらしい)。

ヴィルヌーヴや宇多田を魅了したこの小

まだ観てないのは、 まだ辿り着いていないから。| 町山智浩 (映画評論家)

「まだ観てない映画が思いつかない」とは、インタビュー依頼時の第一声だ。映画評論家としてメディアで紹介した作品は2000本を超え、飯田橋界隈での映画少年時代から米国在住のいままでに観た映画となれば、それ以上。そんな町山さんの「まだ観てない映画」は「まだ辿り着いていない映画」である。では、“辿り着く”とはどういうことなのか?

「もともとは、アクションやホラー、怪獣、SF映画ばかりを観ていました。途中

スイーツは日々の喜び。忙しい巡業先の、つかの間の時。|芝田山 康

 そりゃ、今まで食べたスイーツは数知れないよ。でも、わざわざ食べ歩くようなことはしないんです。本業は相撲だからね、そんな暇はないの(笑)。なぜ、スイーツが好きか? 人間は誕生した瞬間から甘いおっぱいを飲んでいるわけで、もう生まれながらにして、潜在的なものなんですよ。
 僕は北海道の農家で育ったから、近所に手軽にケーキやお菓子が買える店がなくてね。小さい頃、親が街へ行くと帰りに手土産に何をぶら下げて