
一冊に込められた、編集者の魂。
「選書に少し時間をください、印象深い特集が多すぎて」。そう言って、じっくりバックナンバーを読み返してくれた松浦弥太郎さん。「本のプロ」が選んだ最高の一冊は、どこまでも深い読書への愛が詰まった特集でした。
「選書に少し時間をください、印象深い特集が多すぎて」。そう言って、じっくりバックナンバーを読み返してくれた松浦弥太郎さん。「本のプロ」が選んだ最高の一冊は、どこまでも深い読書への愛が詰まった特集でした。
キッチンに置く椅子を一脚買った。背もたれと袖が一体となったデンマークの曲げ木の椅子だ。
ニューヨークのイーストヴィレッジに、料理本を専門とする老舗の古書店がある。オーナーは料理好きの女性だ。
ずいぶん前、店からすぐ近くにある、一人暮らしする彼女のアパートを訪ねた。
並木道の歩道から階段を上がると、赤い木のドアがあり、昔ながらの大きな鍵での開け締めが、ニューヨーク特有のブラウンストーンの建
朝7時になる少し前。まだぼんやりと薄暗い北向きの事務所に、コーヒーマシンの音が小さく響き始める。豆が挽かれ、お湯が沸き、やがてエスプレッソが落ちて、部屋中に香ばしい匂いが漂う。その間にスチーマーを使ってミルクをよく泡立て、出来たてのエスプレッソにたっぷりと注ぐ。松浦弥太郎の朝は、毎日こうやって始まる。
「朝型なんです。起きるのは5時くらい。それから7時前には事務所に来て、自分で作ったヤタロウズ・
今年70周年を迎えた〈銀座ウエスト本店〉。ここには銀座の喫茶文化の原点が息づいている。一杯のコーヒーを嗜むことが、なぜこんなに心地いいのか。半世紀を超えて愛され続ける偉大さを、改めて考えてみる。父との記憶を綴った松浦弥太郎さんのエッセイも。
「さわりたくなる、いい髪型ですね」。はじめて会った女性にこう言われてドキッとした。「どうってことのないただの七三です……」と照れながら答えた。「とても清潔感があります」と女性は静かに微笑んだ。
心の中で僕は、「さすが米倉さん」とつぶやいた。ほめられたのは僕ではなく、僕の髪を切ってくれている、理容師の米倉満さんの仕事であると知っているからだ。100年の歴史を持つ、銀座の『理容米倉』で髪を切っても
僕がグルーミングというものに目覚めたのは、中学3年生の頃。雑誌で片岡義男さんがウィッチヘーゼルを紹介していたのを見て、かっこいいなって思ったのがきっかけ。それでクレジットされていた、有楽町の〈アメリカン・ファーマシー〉ってお店に行ったんです。ここがまたすごくて。入った瞬間、アメリカに来ちゃったみたいな雰囲気なんです(笑)。おそらく在日アメリカ人たちのために、薬から化粧品、グルーミンググッズまでを
「僕がお金の話? それは若い写真家の夢を奪わないように気をつけないとな(笑)」と、苦笑いの若木信吾さん。何をご謙遜。映画製作や出版社設立、書店経営など、写真家として第一線で活躍する傍ら新しいプロジェクトを立ち上げてきた若木さんは、クリエイターの憧れの的だ。
2010年、故郷の浜松に開店した〈BOOKS AND PRINTS〉は、書店と喫茶、イベントスペースが融合した空間。普通の書店ではお目にかか
「一流」のスポーツカー、
ロータス・エランに乗りたくて、
京都の清水倫正さんを訪ねた。
清水さんのガレージには、
二十二歳の時に手に入れたロータス・エランと、
レストア中のロータス・ヨーロッパ、
ロータス・コーティナがあった。
「ロータス・エランは、一度、全部分解して
少しずつ直しながら、組み立てていくのがベスト。
できることは自分でやるんです」と清水さんは言った。
「伊丹十三の『ヨーロッパ退屈日
僕の部屋には、上田義彦さんの写真が、壁に掛けてある。屋久島の森の景色を撮影した「Materia」というシリーズの写真だ。確かそれは、屋久島の森を訪れて、最初に撮った写真であると上田義彦さんは話してくれた。毎日、朝起きた時と、夜寝る前にその写真を僕は見ている。見るたびに昨日と違った何かを発見し、はじめて見た時のような気持ちになる。そして、それが何かを自分の心のなかで思い耽る。そんなふうに写真はいつも