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小津安二郎

立川志らく

洋画を落語に翻案する、立川志らくさんの「シネマ落語」。1995年からの演目はすでに70に上る。『タクシードライバー』は「人力車」に、『ゴースト/ニューヨークの幻』は「幽霊 江戸の幻」に。登場人物は八っつぁんや与太郎になる。何度も繰り返し観て物語を編むことになるから、自ずと好きな作品が選ばれる。
「芸術映画みたいな難しい作品は好きではない。王道といわれるものがいいですね。一番は『ゴッドファーザー』シ

蓬萊屋

かつは絶対ロース? ふふ、何を言ってんだか、ヒレに決まっているじゃないか。はいはい、ヒレかロースか議論は置いといてこちら〈蓬莱屋〉は大正元(1912)年創業。上野松坂屋の脇の屋台からスタートし、昭和3(1928)年、現在の場所に移転した。先代の山岡吉孝さんは先々代の娘さんの婿養子だった。
〈蓬莱屋〉は創業当初から、ヒレカツ一本に絞って展開してきた。使ってみてほしいと肉屋が持ってきたヒレ肉をカツにし

自分のスタイルを作るためには、他者の言葉に耳を傾けよう。

「どうでもよいことは流行りに従い、重要なことは道徳に従い、芸術のことは自分に従う」。映画監督、小津安二郎の言葉です。創作の究極の言葉だと思います。「人がいいと言うものは、見た方がいいよ。それで自分が違うと思ったら、またそこから会話が生まれるから」。10代の頃からの憧れの先輩でミュージシャンのSHJの言葉。自分の流儀、スタイルを世間に通したいのならば、まず相手を許すことから始める。そんな基本的なこと

女の神秘を描き出す現代の名匠。|アブデラティフ・ケシシュ

 女たちによる激しい愛の物語『アデル、ブルーは熱い色』で、カンヌ国際映画祭パルムドール(最高賞)を受賞したアブデラティフ・ケシシュ監督。彼が敬愛する小津安二郎や溝口健二、成瀬巳喜男といった日本の巨匠と同様、女性の神秘を描き出す現代の名匠だ。小津らは恋愛感情にも似たものを抱きながら、女優の魅力を引き出したといわれるが  。「確かにそうだろうね。でも彼らだけじゃない。たいていは女性の神秘に興味を持つ人

まるで小津が描いた父と娘のように。|前田敦子

 主演する映画『もらとりあむタマ子』は、父が一人で暮らす甲府に里帰りし、ぐうたらな日々を過ごしているタマ子の物語。そのぐずぐずぶりに笑い転げていると、不意をつくように、映画は互いを思うタマ子と父の愛情に焦点を合わせていく。あ、これは何かに似ている。そう思ってよくよく考えると、これは父と娘の絆を描いた小津安二郎の名作『晩春』によく似ているのだ。「私、原節子さんが大好きなんです。特に『晩春』で“汚らわ