
マンハッタン


初代編集長・木滑良久が語る、BRUTUS創刊前夜。
「90歳だからね。もうみんな忘れちゃったよ」
約束の時間よりずいぶん早くに、待ち合わせ場所にカーディガン姿の軽快なカジュアル・スタイルで颯爽と現れた木滑良久さんは、そう言ってニカッと微笑んだ。『週刊平凡』『平凡パンチ』『アンアン』『ポパイ』、そして『ブルータス』まで数々の編集長を歴任し、多くの雑誌の創刊に関わった「伝説」の編集者。この世界に長くいる先人たちが最上の尊敬を込めて呼ぶ「キナさん」。本誌

ヤンキー・スタジアムは、ガーシュウィンとともに。
1979年製作のウディ・アレンの傑作、『マンハッタン』の冒頭には、ガーシュウィンの「ラプソディ・イン・ブルー」が大音量で流れる。これは映画館でもう一度観たい。
モノクロームで綴られるこの映画、オープニングではニューヨークの名所やささやかな日常が描かれるのだが、なんといっても、ヤンキー・スタジアムの上空からの夜景が圧倒的に素晴らしい。このあと、何度かこの球場を訪れることになるが、いまもって私に

【話題の音楽】好きな女に「いい曲だよ」とソウルのレコードをプレゼントした男。志村けん
志村けんがソウル・ミュージックの愛好者、という話は、いわば基礎知識なんだけれど、つい都市伝説みたいな口調で語ってしまうもののひとつ。
志村がザ・ドリフターズの正式メンバーとして『8時だョ全員集合』に登場したのは1974年の3月。はじめてドリフのレコードに参加したのはそこから2年後、76年3月発売のシングル「ドリフのバイのバイのバイ」。およそヒップとは言えない素材(ここでは大正時代の俗謡)を

Missing the Point(2007)| マーク・コスタビ
1960年LA生まれのマーク・コスタビは、ガンズ・アンド・ローゼズの『Use Your Illusion』やラモーンズの『Adios Amigos』など、アルバムカバーのデザインを手がけたことでも知られる画家です。大判作品を次々と発表する彼ですが、なぜそんなに多作なの? 答えは、多くのアシスタントを雇って描くからなんです。マンハッタンに構えるスタジオ〈コスタビ・ワールド〉の名の通り、独自の世界観で

ことば、を贈る。【継承】篠原有司男→大山エンリコイサム
70年近くにわたり、前衛芸術家を貫き続ける篠原有司男さん。ブルックリンに構えるスタジオを訪れたのは、多方面で活躍する現代美術家、大山エンリコイサムさんだ。年の差51歳。それぞれの時代でNYを駆け抜ける両アーティストが初対面。

ビルの狭間に突如出現した、 謎のカクタスストア in NY。
毎年5月末に季節限定の店をオープン。温室とはいえ、ニューヨークの冬はサボテンには寒すぎるので冬前には店じまいする。

人気が高まる一方のアボカドに特化した アボ専門店。
1. サラダにトースト、飲み物もアボカドずくめ!
2. 超人気。ひと月のアボ消費量、約3.5トン!
3. ベーグルはじめNYらしいメニューが次々。

靴墨が招いた決定的瞬間。
いまから50年前の1969年、ニューヨークのテレビ局がこんな天気予報をした。
「マンハッタン、晴れ。ところにより紙吹雪」
これはメジャーリーグのニューヨーク・メッツが優勝し、5番街をパレードした時に、ビルから盛大に紙吹雪が舞ったことをユーモアを交えながら予報をしたというわけ。こういうアメリカのセンス、大好きです。
メッツはそれまでどうしようもない弱小球団だったのだが、いきなり優勝したの

描かれるのは、少年から大人への瑞々しい成長と心の機微。
日本では、ティーンエイジャーを描いた映画といえば、「壁ドン」や「顎クイ」といった言葉に象徴される「胸キュン恋愛映画」が主流だが、アメリカでは、そうした少年少女が、ある出来事や事件を通して、子供から大人へと成長するイニシエーション(通過儀礼)を描いたものが多い。日本ではまだ馴染みがないが、そうした映画をアメリカでは「カミング・オブ・エイジ・ムービー」と呼んでいる。『スタンド・バイ・ミー』や『あの頃