
新劇からアングラへ行く人なんて、いませんでしたよ。| 吉行和子(第三回/全四回)
お客さんの前で演技をしたことがなかったのに、あれが若さなんでしょうね。劇団で一番偉い方がおじさん役で出ていて、私がその人をからかうシーンがあったんです。普段は目も見られないぐらい苦手なのに、舞台では平気でできちゃう。それに一番びっくりしました。「へー、芝居って面白いな」って。主役の彼女が1週間ほどで治ったので私はお役御免だと思っていたら、「2人で交互に続けなさい」。そこから突然始まっちゃったんで
お客さんの前で演技をしたことがなかったのに、あれが若さなんでしょうね。劇団で一番偉い方がおじさん役で出ていて、私がその人をからかうシーンがあったんです。普段は目も見られないぐらい苦手なのに、舞台では平気でできちゃう。それに一番びっくりしました。「へー、芝居って面白いな」って。主役の彼女が1週間ほどで治ったので私はお役御免だと思っていたら、「2人で交互に続けなさい」。そこから突然始まっちゃったんで
子供の頃から喘息持ちだったので、楽しみといえば少女小説を読むことだけ。この後どうなっちゃうんだろうと登場人物をイメージして遊んでいました。そして中学3年で初めて劇団民藝の舞台を観た時に、「私が想像していたものが目の前で繰り広げられている」と思ったんです。本をめくらなくても次々に話が進んでいく。そういう世界があることを知ったんですね。それまでは喘息の発作があるので将来の希望なんて持てなかった。で
『マダム・キュリーと朝食を』で第151回芥川賞候補に選出された小林エリカさん。異なる時間、空間を行き来しながら、放射能という見えないものの存在を問いかけた異色の作品は、文壇に新しい風を吹き込んだ。その個性的な作風の源は「日記」。いつか、誰かが記した過去の日々の記録が、物語の始まり。