キーワード

アカデミー賞

すべてを失い、どんなに絶望しようと、それでも生きていく。

 時節柄どうしてもアカデミー賞絡みの話題になるけれど、今年の作品賞候補作には、ある共通のテーマを持つものが多くラインナップされている。『キャプテン・フィリップス』『ゼロ・グラビティ』『それでも夜は明ける』『ダラス・バイヤーズクラブ』……この4作品はどれも“いきなりとんでもない事態に巻き込まれるけどへこたれない物語”、言い換えれば“絶望を生き抜く物語”だ。
 中でも受賞が有力視されている『それでも夜

役者が快楽を得るための最も過激な方法―肉体改造について。

 以前、日本の某大物女優に「芝居の快楽とは?」という質問をした時のこと。彼女はいかにも大物女優らしい笑みを浮かべ、いかにも大物女優らしく紅茶をズズズとすすった後、いかにも大物女優らしく毅然と答えた。あなた、それは“我を忘れる”ということよ  。確かに演者にとって、自分ではない何かに変貌し、忘我の境地へと辿り着く瞬間は、何にも代えがたい至福の時に違いない。
 役者が我を忘れるための、最も過激で、最も

サウジアラビア初の女性監督が描いた希望。

映画館の設置が法律で禁じられている国、サウジアラビア。女性による自動車の運転が禁止されるなど、女性の行動を制限する慣習が今も残るこの国で、女性初の映画監督によるみずみずしい一作『少女は自転車にのって』が誕生した。ハイファ・アル=マンスール監督に話を聞くのは、同じアラブ諸国の一つ、エジプト・カイロで幼少期を過ごした作家の西加奈子さん。西さんが「素晴らしかった」と感想を伝えると、監督はたちまち相好を

セレブ願望の10代を描いた感想とは?|ソフィア・コッポラ

「娘を持つ母親としては保守的になるわね(笑)、今のティーンを見ると」。ソフィア・コッポラにはいくつもの顔がある。思春期の若者の心情を繊細に描かせたら随一のアカデミー監督としての顔はもちろん、世界的なトップバンドの一つとなったフェニックスのリーダー“トマ”の妻、マーク・ジェイコブスが手がけてきたルイ・ヴィトンのミューズ、そして2人の小さな娘の母。年を重ねるごとに自身の世界を広げていくソフィアが、新作