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辻川

Max Cooperと「無限」。

 計算生物学の博士号を持ち、音楽と科学が高いレベルで融合する作品で知られるMax Cooperの新作アルバム『Yearning for the Infinite』から次々と公開されるMVに注目しています。アルバムタイトルにある「無限」を様々なアプローチで映像化、そのどれもがすさまじい完成度です。「Repetition」は都市の要素を無限に繰り返した風景。消失点まで連なる集合住宅、終わらない横断歩道

映像の先駆者2020(後編)

 前回に続いて僕のエバーグリーン映像作家を紹介。第2位はドイツの巨匠オスカー・フィッシンガー。1930年代に発表された「study」シリーズは音楽に完全シンクロする抽象アニメでMVの始祖にして完成形。僕は90年代初頭にレーザーディスク(!)「映像の先駆者シリーズ」で、初めて彼の作品に出逢い、その時の衝撃とワクワク感で映像を作っています。この連載はネット時代の「映像の先駆者」を目指しました。第1位は

2020年も、John Whitney。

 僕が子供の頃のSF映画だと2020年には都市の外観から社会システムまで全く様変わりした未来世界だったはず。でも現実はネットやスマホなど革命的な発明があったにもかかわらず、人々の意識はずっと地続き。スマホゲームの課金、SNSで炎上、AIで昭和スターを再現……。結局行き着くところは小市民のリアルな生活。なんかワクワクできないんですよね。なんて老害っぽく愚痴をこぼしながら、2020年でも僕はコンピュー

映像の先駆者2020(前編)

 突然ですがこの連載、次回で最終回。毎回1テーマで2本の映像を紹介しながら、早いもので丸7年。最後の2回はこれまでの中から、僕のエバーグリーン映像作家4人を改めて選出します。では早速……第4位はノーマン・マクラレン。NFB(カナダ国立映画制作庁)の中心人物で、数多くの実験的手法を生み出した偉人。「Spheres」は球体が分裂したり並んだりするだけのシンプルな画面なのに目が離せなくなる不思議な映像で

CGのような現実のような。

最近、僕のTLに連続して流れてきた2つの映像を観て、リアルとフェイクの領域が揺らぐ面白い感覚を味わいました。一つはディスカバリーチャンネルの企画「How Adam Savage built a real Iron Man suit that flies」。映画『アイアンマン』のスーツをチタン製で再現し、小型ジェットパックで飛行するドキュメント映像。映画そのままの外観と飛行ポーズが現実になると、同じ

注目の映像作家、Páraic Mc Gloughlin。

 膨大な数の風景写真を素材に、パラパラ漫画のような抽象アニメーションを作るアイルランドの映像作家Páraic Mc Gloughlinに注目しています。様々な場所にある共通の形状(例えば四角いドア)を一コマずつ繋げてアニメーションにする原理で、都市を再構築しながらめまいを起こしそうなトリップ映像を生み出します。風景を幾何学的なモチーフにしてアニメを作るアイデアは以前にもありそうですが、その執着力と

ビョーク的生命体。

 ビョークの新しいMV「tabula rasa」が期待を裏切らない変態映像に仕上がっていました。監督はTobias Gremmler。僕はこのMVで初めて知りましたが、モーションキャプチャーを利用した残像エフェクトを作るデジタルアーティスト。今回もキャプチャーを巧みに使用して、暗闇に浮かぶビョークの顔と花を融合した幻想的なビジュアルを生み出しています。これまでのMVもビョークの場合、斬新な衣装とか

追悼、ブルース・ビックフォード。

 敬愛してやまない映像作家ブルース・ビックフォードが逝去しました。ストップモーションアニメの奇才にして天才。思えばこの連載の第3回に紹介したのも、彼の「The Amazing Mr Bickford」でした。大量のイメージが変形し続けるクレイアニメとフランク・ザッパの前衛楽曲がドロドロに溶け合う驚異的な映像。未見の方はYouTubeでぜひ観てほしい。僕は20代の頃(まだVHS)このアウトサイダーア

バラバラをつなぐ。

 今年のゴールデンウィークは一日も外出せず、自宅で週刊ヤングジャンプ40周年CMの編集をしていました。僕が提案した企画は、40年間に連載された漫画主人公を切り抜き、パラパラ漫画のように繋げるもの。妻子を実家に帰して、何千枚もの切り抜き素材の順番を入れ替えながら、ひたすらトライ&エラーと眼精疲労を繰り返すゴールデンウィークは貴重な体験でした。人間の脳は面白いもので、全く別の素材を繋げても、そこに共通

てっちゃんとミトン。

 昨年から制作していたオリジナルのコマ撮りアニメ。ついにパイロット版が完成しました。イベントで展示発表した後にネット公開する予定です。タイトルは「てっちゃん」。男の子の右手が主人公です。「てっちゃん」は目玉おやじ的なキャラクターで、手が顔になっているのです。3歳の息子の右手を3Dスキャンしたデータをベースにデザインし、3Dプリンターで原型を出力。最終的にシリコン製の頭部に、関節を入れてコマ撮り人形