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西欧

世界を読み替える、クトゥルー神話の魅力。

人類が登場するはるか以前、地球を支配していたのは異次元から到来した邪悪なる神々だった。異形の姿を持つ邪神たちは、地底や海底で眠りに就きながら、復活の時を虎視眈々と狙っている。「クトゥルー神話」とは、こうした壮大な世界観のもとに創作された複数の作家たちによるフィクションの総称だ。その起点となったのは、アメリカの怪奇小説家H・P・ラヴクラフトが1920年代から30年代にかけて執筆した作品。彼の死後、多

Wildpark Luneburger Heide(ヴィルドパーク・リューネブルガー・ハイデ)

 木陰からこちらを見つめる真っ白いオオカミたち。「怖い」と「美しい」が混在する感情が一気に後者に振れたのは、彼らがそのしなやかな体を目いっぱい使って森の中を自由に駆けだしたときだった。人間の存在など意に介さない姿。そこにはたしかに「野生の品格」が漂っていた。
 ハンブルクから車で40分。自然公園〈ヴィルドパーク・リューネブルガー・ハイデ〉は、限りなく野生に近い状態で暮らすオオカミを見られる、世界で

西欧では浸透している男の爪磨き。

 意外と見られているにもかかわらず、ケアをする意識がほとんどないのが爪である。まっとうな日本男子の感覚としては、爪は伸びたらただ短く切るだけのものなので、よもや理容室で爪の手入れをしてくれるなんて夢にも思わない。しかし、時の某総理大臣や外務大臣が、署名をする際に爪が綺麗な方がいいなんて、行きつけの理容室で手入れをしていたと聞けば、日本人が海外に出ていくためには、爪は足元とともに磨いておくべきものな

“愛”の国、アイルランドで愛を探す、少年と少女の成長物語。

 1980年代のアイルランドは深刻な不況にあえぎ、西欧で最も貧しい国の一つといわれていた。一方、デュラン・デュランなど隣国イギリスから登場したミュージシャンたちは世界を席捲し、その影響は折しも普及しつつあったミュージックビデオを通じて、アイルランドの若者たちに感染していく。『シング・ストリート 未来へのうた』は、そんな80年代のアイルランド・ダブリンを舞台にした青春音楽映画だ。14歳の少年コナーは

土木のデザインから生きるための技術を知る。

「注目されるのは自然災害の時ばかり」というのは"土木"が背負った悲しい宿命だ。我々の生活に不可欠であるからこそ、そこに向けられる視線は厳しい。そんな日常の中では目を向けられてこなかった土木というテーマにデザインの視点から光を当てた『土木展』が開催される。

 展覧会のイントロダクションでは日本の名土木を土木写真の第一人者・西山芳一氏の写真群を用いてマッピング。映像・ドローイングと共に土木の美しき

Shangri-La Hotel At the Shard

 霧がかった空に突き刺さるように聳え立つ、ガラス張りのスカイスクレーパー。表紙でも登場する西欧一の高層ビルこそ、ロンドンの新しいシンボルとなった〈The Shard〉だ。その34〜52階の絶好のロケーションに昨年5月にオープンした〈Shangri−La〉は、今まで不可能だった「360度ロンドンを見下ろす」ことのできるホテルなのだ。
 シティやカナリー・ウォーフのビル群、タワー・ブリッジにセント・ポ

メンズファッションデザイナーの歴史的・文化的文脈。

「ねえクリノ、日本のメンズファッションが突出して面白いのはなぜなんだい?」。これはイタリアの業界人の質問。「クリノさん、世界進出しようと思うのですがどう思われます?」。これは中堅クラスの日本人デザイナーからの問い。
 そして僕の回答は……。日本は階級社会ではないのでお洒落したいと思ったら何を着てもよい:英国調のスーツを着た男性が翌日は全身デザイナーブランド、週末にはヒップホップだったとしてもOK。

恋愛や結婚に何度失敗したって大丈夫。|高橋源一郎 × 橋本麻里

橋本麻里 どれから行きますか?
高橋源一郎 まずは『死の棘』から。島尾敏雄さんの私小説ということになりますが、僕が思うに世界文学史上最もひどい私小説。そしてもし日本の小説を何か1冊だけ紹介しろと言われたらこれを挙げる、という作品でもあります。
橋本 そもそも彼は戦争中、特攻隊の隊長として奄美の加計呂麻島に派遣され、島長の娘と恋に落ちるんだよね。それが妻のミホさん。
高橋 島の人にとって島尾さんは、