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西欧

緑の森を散歩しながら地元客の通う店まで。

玉川通りの向かいにひっそりと立つ骨董店。李朝や日本の陶磁器をメインにオランダのデルフト焼など西欧のものも揃え、時代は14〜19世紀が中心。染付皿や向付、杯、花器など30代の若き店主が見立てる品は、どれも道具としての美しさが宿る。価格帯も数千円〜と手の届くものが大半。鑑賞用の美術品だけではない、実際に使う喜びに出会える店だ。

近代絵画のブルース。

「リアルこそ至高」を伝統とする西洋美術が本格的に流入し始めた明治時代。西洋画を見た画家たちの「ホンモノっぽい!」という衝撃から、日本の油絵はスタートした。幕末に来日したイギリスの画家ワーグマンに学んだ高橋由一は、明治維新後の美術界を変えるのは真に迫る表現ができる洋画だと胸躍らせる。日本初の油絵を描き、私塾を作ったり美術雑誌を発行したりしてその魅力を広めた。後に続く洋画家たちも、留学したり西欧の画家

絵とアバンギャルド。

戦意高揚という明確な使命の下で描かれた戦争画が現れる前、つまり大正から昭和初期に日本の洋画界を席捲していたのは、戦争画とは真逆の、画家の自我を尊重する「主観上等!」な絵画。その背景にはもちろん西洋の芸術運動や芸術思潮があったのだが、中でも大きなトピックは、シュールレアリスムやダダイスムなど、ヨーロッパの前衛芸術に感化された画家が登場したこと。急速な都市化が進み、非人間的な気配が広がる時代にあって、

ガイ・フォークスとムーアと会田誠。

11月5日は、ガイ・フォークス人形がイギリス中で燃やされる日。彼は国会議事堂を吹っ飛ばそうとして捕まった、400年前のテロリストというのが一般的な認識だが、このフォークス・イメージを逆転させて、圧制に対する抗議者としてとらえる見方もある。アラン・ムーアのコミックス(そして実写映画化作品)『Vフォー・ヴェンデッタ』は、後者だ。このフォークス・スピリットの双面をわかりやすく図解した(マッチ箱デザインと

ブラジル・モダンの金字塔、リナ・ボ・バルディのガラスの家。

近くで見ると予想以上に大きいボリュームには、ここで暮らした建築家の大胆な姿勢が感じられる。ピロティに潜り階段を上ると、内部には豊潤な世界が広がっている。ここは、建築家リナ・ボ・バルディが1951年に設計した〈ガラスの家〉だ。

リナが設計した住宅で現存するのはたった2軒。リナは「一般の人々のために仕事がしたい」と、次第に公共建築のみを手がけるようになったためだ。そのうちの一軒が、第1作で自邸の本作

世界を読み替える、クトゥルー神話の魅力。

人類が登場するはるか以前、地球を支配していたのは異次元から到来した邪悪なる神々だった。異形の姿を持つ邪神たちは、地底や海底で眠りに就きながら、復活の時を虎視眈々と狙っている。「クトゥルー神話」とは、こうした壮大な世界観のもとに創作された複数の作家たちによるフィクションの総称だ。その起点となったのは、アメリカの怪奇小説家H・P・ラヴクラフトが1920年代から30年代にかけて執筆した作品。彼の死後、多

Wildpark Luneburger Heide(ヴィルドパーク・リューネブルガー・ハイデ)

 木陰からこちらを見つめる真っ白いオオカミたち。「怖い」と「美しい」が混在する感情が一気に後者に振れたのは、彼らがそのしなやかな体を目いっぱい使って森の中を自由に駆けだしたときだった。人間の存在など意に介さない姿。そこにはたしかに「野生の品格」が漂っていた。
 ハンブルクから車で40分。自然公園〈ヴィルドパーク・リューネブルガー・ハイデ〉は、限りなく野生に近い状態で暮らすオオカミを見られる、世界で

西欧では浸透している男の爪磨き。

 意外と見られているにもかかわらず、ケアをする意識がほとんどないのが爪である。まっとうな日本男子の感覚としては、爪は伸びたらただ短く切るだけのものなので、よもや理容室で爪の手入れをしてくれるなんて夢にも思わない。しかし、時の某総理大臣や外務大臣が、署名をする際に爪が綺麗な方がいいなんて、行きつけの理容室で手入れをしていたと聞けば、日本人が海外に出ていくためには、爪は足元とともに磨いておくべきものな

“愛”の国、アイルランドで愛を探す、少年と少女の成長物語。

 1980年代のアイルランドは深刻な不況にあえぎ、西欧で最も貧しい国の一つといわれていた。一方、デュラン・デュランなど隣国イギリスから登場したミュージシャンたちは世界を席捲し、その影響は折しも普及しつつあったミュージックビデオを通じて、アイルランドの若者たちに感染していく。『シング・ストリート 未来へのうた』は、そんな80年代のアイルランド・ダブリンを舞台にした青春音楽映画だ。14歳の少年コナーは

土木のデザインから生きるための技術を知る。

「注目されるのは自然災害の時ばかり」というのは"土木"が背負った悲しい宿命だ。我々の生活に不可欠であるからこそ、そこに向けられる視線は厳しい。そんな日常の中では目を向けられてこなかった土木というテーマにデザインの視点から光を当てた『土木展』が開催される。

 展覧会のイントロダクションでは日本の名土木を土木写真の第一人者・西山芳一氏の写真群を用いてマッピング。映像・ドローイングと共に土木の美しき