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荒木

映画で辿る、東京ノスタルジー。

 1983年、ドイツ人監督のヴィム・ヴェンダースは、ドキュメンタリー映画『東京画』を撮ろうと思い立つ。テーマは、敬愛する小津安二郎の映画のような風景が、東京にまだ残っているかを検証することだ。しかし、彼の目に映ったのは、小津のそれとは似ても似つかぬ、混沌とした東京の姿だった。本作を今観ると興味深いのは、そこにもまた失われた東京が記録されていることである。歴史を遡れば、初めて東京がフィルムに収められ

極彩色の狂気が笑う サディスティック・シンドローム。|岩佐又兵衛

地獄絵から血みどろ絵まで、日本のサディスティックな絵画の中でも《山中常盤物語絵巻》はひときわS度が高い。惨殺シーンのぬめっとした血なまぐささに加え、画家が描きながら薄ら笑っているような、醒めたユーモアが感じられる。
 
岩佐又兵衛の壮絶人生は2歳の時に始まる。父である武将・荒木村重は信長への反逆を企て、自分は逃げたものの一族郎党皆殺し。妻子も六条河原で首を刎ねられた。唯一救出された又兵衛が、亡き母

お前も侍の子じゃけん、覚悟せい。| 松本零士

私は福岡の久留米生まれの小倉育ち。父親は大刀洗の飛行第四戦隊の勤務で、陸軍航空隊の飛行機乗りでした。幼少期に明石に越して、そこに昭和18(1943)年まで。先祖の家が愛媛県の大洲市新谷にあって、19年から疎開しました。連日連夜B29の大編隊が宇和島の方から頭上を通って広島の方へ。原爆機も頭上を通ったはずです。機銃掃射を受けて爆弾を落とされる、空襲警報も味わいました。終戦の日は川で泳いでいて、「戦争

中村聖哉┃欠かせないインスピレーションの源に。

数々のファッションブランドのディレクションなどを行い、1年の半分はパリやベルリンなど海外の都市で過ごしている中村さん。アートと親しくなったのは、ロンドンでの留学中だった。「アーティストの友人がたくさんいて、自然と触れるようになり、アンダーグラウンドなものを集めたりしていました」。ファッション業界で働きだす一方でギャラリーとの付き合いは深まり、数年前から気に入った作品を購入するように。東京・渋谷とベ

口入人形

 最近は海外からの参拝客で大賑わいとなっている伏見稲荷神社の裏参道にあたる稲荷山。静かな裏参道の途中にあり、うっかり通り過ぎてしまいがちな穴場的なスポットである荒木神社で授与されているのが、今回ご紹介する「口入人形」です。
「口入」というのは、人の縁を結ぶ仲人のことで、縁結びの縁起物。夫婦と「伴」の3体の狐がセットになっており、これを授与所でいただくと、火打ち石で清めてくれます。そのまま境内の口入

糸井重里が語る、我が青春のスナックとスナック芸。

30歳になる直前だったかな。とある雑誌の打ち合わせで、ふと「スナックでやるような芸を誰かまとめて本にしないかな」って僕が言ったんです。当時「スナック芸」なんて言葉はなかったけれど、飲みの席でやるお手軽な芸ってあるじゃない、タバコとマッチとグラスを使うような。要するにくだらない遊びです。「そういう本があればオレ絶対買うよ」って。そしたら編集者に「じゃあ、糸井さんが書いてください」。それでできた本が『