キーワード

静岡

「能面」と「昆虫」。2つのモチーフに宿る、力強い生命力。

 切り絵アーティストの福井利佐が今年、精力的に活動中だ。まず、7月7日まで駿府博物館で展覧会『福井利佐 切り絵展 絢爛「能」』を開催している。テーマは、能楽で用いられるお面「能面」。緻密で迫力ある展示作品は、2008年から10年間、宝生流二十世宗家・宝生和英さんの個人演能会『和の会』が主催する公演のメインビジュアルとして、福井が手がけてきた作品群の集大成だ。

「能面は学生時代から興味があり、よく

夢にまで見た、 憧れのサボテン王国。

きっかけは日本の浮世絵でした。150年以上前の暮らしを描いた版画に、なんと鉢植えのオプンティアが描かれていた。それ以来、盆栽や生花など、独自の植物鑑賞文化を築いてきた日本がどのようにサボテンを扱っているのか知りたいと思ったんです。そんな中、静岡の友人から、パイナップルのような大きさのアズテキウムや、温室いっぱいにロフォフォラの塊を持っているナーサリーが日本にあると聞いて。それで今年の3月に念願の日

名古屋という名の小宇宙。文・吉川トリコ

昔から言われていることだが、名古屋の子どもは名古屋の外に出ない。「名古屋の外に出る」という発想そのものがすこんと抜け落ちている。私の出身高校はそこそこの進学校だったのだが、大半は地元の大学に進学し、中には東京や関西の大学に進学する子もいないでもなかったけれど何年かするとそのほとんどが戻ってきた。就職試験の際、名古屋の企業は地元出身の人間を優遇すると聞いたこともある。
 
まわりを見渡せば、地元で進

答えは壁に描かれているよ。

どうしてそんなに名古屋へ行くのかと、この頃、よく訊かれるので、その理由について書こうと思う。
 
今年の3月31日、栄にある中日ビル(中部日本ビルディング)が老朽化対策と栄地区の再開発という理由で閉館した。2020年度までに解体を終え、2024年度完成予定の新しい中日ビルが建つ。閉館のニュースを聞いた時から、1階ロビーの天井に設置されたあの巨大なモザイク画は保存されるのだろうかと、ぼくは気がかりで

もっと自由で、クリエイティブに。 枠組みを超えた日本のイタリアンを。

日本人の自分がイタリアンを表現したらどうなるのか。自分に課題を課すように挑戦を続ける、徳吉洋二さん。例えば、定番の「カルボナーラ」なら、なぜ卵とチーズなのか。その土地の地理、歴史、食材、人々を突き詰め、伝統そのものを理解し、必然性を納得したうえで料理する。色や形、体験から作りたい料理を発想し、食材を探して当てはめるというアプローチも、徳吉流のスタイルだ。

“花姿”にこだわる生産者を訪ねて。

勘やコツに頼らない徹底した数値管理で、繊細な切り花を栽培。

今では当たり前に花屋で見かける、リューココリネとアルストロメリア。実は、日持ちしない品種として切り花での流通が難しいとされていた。そこに金字塔を打ち立てたのが、〈三宅花卉園〉。“出荷から約1ヵ月は枯れにくい”と、フローリストが目を丸くする。その秘密は生産性を度外視した栽培にあった。
「有機栽培の名人といわれる方々がいますが、その勘やコツ

極彩色の狂気が笑う サディスティック・シンドローム。|岩佐又兵衛

地獄絵から血みどろ絵まで、日本のサディスティックな絵画の中でも《山中常盤物語絵巻》はひときわS度が高い。惨殺シーンのぬめっとした血なまぐささに加え、画家が描きながら薄ら笑っているような、醒めたユーモアが感じられる。
 
岩佐又兵衛の壮絶人生は2歳の時に始まる。父である武将・荒木村重は信長への反逆を企て、自分は逃げたものの一族郎党皆殺し。妻子も六条河原で首を刎ねられた。唯一救出された又兵衛が、亡き母

若冲や蕭白も憧れた、 スーパーフリーダムな禅画。| 白隠慧鶴

「むちゃくちゃだけど、うまくもないけど、ダイナミックで面白い絵を描く禅僧がいたらしい」と京都の奇想絵師も噂した。それが永遠の素人画家、白隠慧鶴という男。
 
絵師でも画僧でもない。15歳で出家し、後に500年に一人の名僧といわれた臨済宗の禅僧だ。伝統や技術を重んじる従来の禅宗絵画とは違う自由な「禅画」が生まれた江戸時代中期、ただただ禅の教えを広める手段として、1万点ともいわれる膨大な禅画を描いた。

アグロタケシ

国際品評会『カップ・オブ・エクセレンス』の審査員を務める店主の内田一也さんは、中南米&アフリカ13ヵ国の農場主たちと交流しながら、コーヒーを輸入販売している。アグロタケシは、標高1,750〜2,600mにあるコーヒー農園として有名。地中に埋まるインカの遺跡の石の蓄熱により、豊かな風味のコーヒー豆が栽培できる。「素晴らしいテロワールで育った豆を中煎りすることで、柔らかい口当たりに。ピーチのような優し

ETHICUS (静岡/静岡)

都内のカフェで10年間バリスタを務めたのち、独学で焙煎技術を磨いた山崎嘉也さん。地元・静岡で今の物件に出会い昨年オープン。「飲んだときに農園の風景が見えるような香りを目指しています。産地に育つオレンジやバナナの木などのフレーバーをしっかり感じてほしいんです」。スタイリッシュな“ラボっぽい”店内は味覚が研ぎ澄まされる空間。「将来は静岡の茶畑を利用してコーヒー農園を造りたい」と、大きな夢を語ってくれた