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北欧

使っている時の楽しさを想像しながら、買い集めている。|森岡督行

 築80年を超えるビルに古書店を構える、森岡督行さん。目の届く範囲でと、たった100冊ほどの本を並べる空間に、愛する古道具も大切に置かれている。聞けば、古いもの好きの血は小学生の頃から流れていたという。
「叔父が譲ってくれた切手帳が面白くて、戦前の普通切手の色や柄に惹かれ、当時からお小遣いを全額投入していました」
 中学になると金貨。空き缶や古着を集めていた時期もあった。
「当時は根暗と思われるの

FINN JUHL NV-45 いま、なぜフィン・ユールか?

後ろ姿の美しい椅子は良くデザインされた椅子である。とするならば、フィン・ユールの《No.45》は、その最たるものといえるだろう。ユール自身も座っていたその椅子を撮影するため、デンマークの彼の自邸までやってきた。ついぞ座る夢は叶わなかったが、光が差し込む窓辺に向かって置いた《No.45》、その後ろ姿の美しいこと。これを見るためにもう一つ椅子が要るんじゃないかと思ったほど、というのも冗談とも言えず、「

Butterfly Chair|バタフライチェア (1958)

どの角度から見ても木の美しさを表現できるように考えられた、成形合板の椅子。家具デザイナーのルシアン・アーコラーニが英国で創業したアーコール社の名作。家具には向かないとされていた堅いニレ材を、高い技術と手仕事でもって成形合板とし、有機的なカーブを描く椅子に仕立てている。軽くしなる背面と湾曲した座面が体を包み込む造形は、その後の北欧家具にも大きな影響を与えた。

Grand Prix Wooden Legs|グランプリ (1957)

北欧の成形合板といえばヤコブセン。それまでは実現が難しかった一枚の成形合板による椅子を、アントチェア(1952年)という形で完成させた。そんな彼が、脚部まで成形合板でデザインしてみせたのがこの椅子。強度に問題があって廃番になった後、スチール脚で復刻。さらに2014年、オリジナルと同じ成形合板の脚で再復刻した。その名はミラノトリエンナーレでグランプリを受賞したことから。

PK22 (1956)

ポール・ケアホルムは20世紀半ばに活躍したデンマークのデザイナーで、当時の北欧では珍しく木よりも金属を使った家具で有名。ただし、デザインを学ぶ前は木工の修業も積み、木や籐を取り入れた家具にも優れたものがあった。PK22は、フラットな金属の棒材をさまざまに操ってフレームを構成した代表作。座面に籐を張ったタイプは凜として涼しげで、素材を重視した彼の美学を反映している。

CH24 Y Chair|CH24 Yチェア (1950)

あまりに有名すぎる木の椅子の傑作にして、20世紀の北欧家具の金字塔。ウェグナーが1944年発表のチャイナチェアのリデザインを繰り返した末、工作機械の活用を踏まえてこの形態に辿り着いた。アームと背もたれを兼ねる曲げ木のパーツなどにオリジナルの面影が残る。コストを下げる工夫を随所に盛り込みながらも、木の持ち味を生かし切るという点では一切妥協のないデザインだ。

Chieftain Chair|チーフテンチェア (1949)

デンマークの超絶的な木工技術の結晶であり、木の椅子の一つの究極。大胆なフォルムの背もたれ、アーム、座面が宙に浮かんだように見えるのが特徴。発表時は規律正しい北欧家具の世界で賛否両論を巻き起こした。抽象彫刻にも触発されたユールの造形感覚は、当時の名匠、ニールス・ヴォッダーの技術力によって日の目を見たという。長年にわたり幻の一脚だったが、現在は復刻されている。