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京都

幻想小説? いやいや。これはもう 「読むフリークライミング」でしょう。

小説の楽しみにふたつある。「視る」楽しみと「よじ登る」楽しみだ。「視る」楽しみといっても「イメージを喚起する記述のある小説」という意味ではない。小説は筋の構造やできごとの布置、登場人物たちの対立図式を提示したり、発展させたり、ときにはひっくり返してみせたりする。僕たち読者はその模様、パターンの広がりや変化を、小説の頁から距離を取って俯瞰して、わくわくしたり意表を突かれたりする。読んでいるあいだ、つ

なぜ人は、見えないものに 惹かれてしまうんですか?

福岡伸一 小林さんはキュリー夫人をテーマに執筆されていますが、今日の議題は物理学? 私の専門は生物学ですが(笑)。
小林エリカ 今日ぜひお話ししたいと思っているのは「見えないものを見る」というテーマなんです。放射能について調べていく中で強い印象を受けた話があって。それはラジウムを発見し、世界で初めてそれを目に見える形で取り出したキュリー夫人がそれを「妖精の光」と呼んで、毎晩枕元に置いて眠っていたと

スペシャリスト2人が語る、伝統建築のこと。

藤塚光政 さてまずはここ、宮城さんのホームグラウンドでもある平等院の話から始めましょうか。鳳凰堂って、洲浜のせいか甲殻類が池に入っていくようにも見えるし、また翼廊と尾廊があるせいか、そのシルエットが鳳凰よりオスプレイのように見える。ほかにはない特殊な平面の建築だなと思いました。
宮城俊作 そうですね。ある意味で具象建築ですね。平等院は、遣唐使の廃止後、和様が独自の発展を遂げて形を成しつつあった時代

ダウンタウンが笑いをマットーにしましたね。┃みうらじゅん

 少年期、関西で見て育ったのは、現在のお笑いとは一味も二味も違うじわじわパンチが効いてくるブルース系の漫才だったんです。例えば、夢路いとし・喜味こいしさんが得意とした「うちの細君がね……」って、いっつも決まって嫁はんネタに持っていくパターンもブルースの3コードの一つで、小学生にしたら嫁の悪口の話なんてピンとこないんだけど「また出た!」っていう、親戚のおじさんが酔った時の十八番の歌みたいな感じがなん

LA MADRAGUE

 2011年9月、50年近く愛された京都の〈喫茶セブン〉跡にオープンした〈喫茶マドラグ〉。店主の山﨑三四郎裕崇さんは生来の喫茶店好き。コーヒーはセブン時代の焙煎会社に相談し、西木屋町にあった洋食店〈コロナ〉(12年閉店)の「玉子サンドイッチ」の味を引き継ぐと、マドラグの定番メニューとなった。以来、妻と二人三脚で店を営み、京都の古き良き喫茶店の精神が息づく名店として近所の勤め人から観光客まで連日行列

六曜社

 自分が経営していた店〈喫茶fe 
カフェっさ〉を畳んで、奥野薫平さんは亡き祖父が創業した〈六曜社〉を、4年ほど前に継いだ。〈六曜社〉
は1階と地下があり、地下は父・修さんの店である。内装は似ていても、営業スタイルはかなり違っている。
「地下は一人一人の空間や時間を大切にしています。コーヒーも父が焙煎した豆を1杯だてでつくります。1階はいわゆる喫茶文化。サロン的でいまでも相席は当たり前、コーヒーは

栗が好きでたまらない、藤森先生の秋の栗時間。|藤森照信

 いわゆるケーキ系はそんなに好きじゃないです。だってあれ、ガーンとくるからね。一大決心がいる。和菓子をちょっとつまむくらいが、気分転換にちょうどいい。
 僕はとにかく栗が好きでね。戦後、信州の田舎で育ったものだから、おやつってごく限られていて、栗と柿とクルミ、あと母の作る干しイモくらいしかなかった。栗は中でも高級だった。秋は落ちているのをそのまま食べてましたけどね。ほかの季節用にもゆでて干して保存

スイーツは日々の喜び。忙しい巡業先の、つかの間の時。|芝田山 康

 そりゃ、今まで食べたスイーツは数知れないよ。でも、わざわざ食べ歩くようなことはしないんです。本業は相撲だからね、そんな暇はないの(笑)。なぜ、スイーツが好きか? 人間は誕生した瞬間から甘いおっぱいを飲んでいるわけで、もう生まれながらにして、潜在的なものなんですよ。
 僕は北海道の農家で育ったから、近所に手軽にケーキやお菓子が買える店がなくてね。小さい頃、親が街へ行くと帰りに手土産に何をぶら下げて

コーヒーブレイクにはヤマダのラスク、という日常。|鞍田 崇

 喫茶店やパン屋さんが点在する京都。そんな町で学生時代に出会ったのが、京大近くの〈ヤマダベーカリー〉です。朝はパン派ということもあって、いつも決まって買うのが食パン。でもある時、棚にコロッとしたラスクが鎮座しているのに気がついて。いざ買って食べてみれば、しっかり甘くて、厚みがあって食べ応えも十分。それ以降、論文のネタが出てこない時の気分転換にしたり、友人が家に遊びに来た時のおもてなしにしたりと、こ