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監督賞

カンヌを震撼させた衝撃作を携え、時代を先駆ける奇才が来日。

2011年、『ドライヴ』でカンヌ国際映画祭監督賞を受賞したニコラス・ウィンディング・レフン監督の新作『ネオン・デーモン』は、昨年のカンヌ映画祭で激しい賛否を巻き起こした衝撃作。“レフン監督が最も親しい日本のクリエイター”小島秀夫とともに、世界を騒然とさせたそんな新作の根本にある、彼の飽くなき創造性を探る。

評伝と一緒になった、リンチの自伝が発売

 他人(クリスティン・マッケンナ)の書いた自分の〈評伝〉と、自分自身が書いた〈自伝〉を交互に組み合わせた、いってみれば隣接ジャンルのカップリングという、知る限りでは初めての試みがイギリスのキャノンゲイトから刊行された。デイヴィッド・リンチ『RooM to DReaM(大文字小文字は表記のまま)』である。分身テーマ好きなリンチのひとつの分身ごっこと捉えていいかもしれない。
 自伝部分には、自伝しか語

実話に基づきながら、事実の再現にとどまらない、2つの優れた映画。

 実話を映画化した作品が、単なる再現フィルムにとどまるのならつまらない。あくまで“Based on a True Story”。実話に基づきながら、新たな解釈や発見、時に空想が加わってこそ、それは観るべき映画になる。
 クリント・イーストウッド監督の『アメリカン・スナイパー』は、9.11後のイラク戦争に従軍し、米軍史上最多の160人を射殺した“伝説の狙撃手”クリス・カイルの実体験を映画化した。主題

自らを表現する新たなフィールドとの出会い。

 ハリウッド映画がつまらなくなったと感じているなら、それはたぶん、気のせいじゃない。最近のメジャースタジオは、続編やスピンオフで長年にわたり利益を生み出し続けるフランチャイズ映画に重点を置いてしまっている。これらの企画は莫大な収益をもたらす現代の金鉱だが、なにしろコストがかかる。スタジオは年間製作本数を減らしてリスクを回避しているため、中規模の野心作がなかなか実現しづらいのだ。
 若者向けのアメコ

世界の映画祭が認めた、最も革新的で、最もリアルな映画たち。

 カンヌ、ヴェネチア、ベルリンの国際映画祭が"世界三大映画祭"と呼ばれ、映画人たちから憧憬と畏敬の念をもって迎えられてきたのは、その"質"と"歴史"によるところが大きい。まあ、質といってもあやふやなものだけれど、少なくともそこで賞を得た作品は映画祭の期待を背負い、また何らかの時流を反映してきた。
 中でも最も権威ある映画祭として知られるカンヌ国際映画祭は、近年では実績のある監督でなければコンペティ

失われた過去に、いつまでもずっと、とらわれ続ける人々。

 現在36歳にして既に2度のアカデミー監督賞ノミネート歴を誇るジェイソン・ライトマンの新作『とらわれて夏』は、脱獄囚の男をかくまうことになったシングルマザーとその息子の一夏の物語だ。初めは怯えながら、食事をこしらえ、家や車の修理もこなすタフで優しい彼を、すぐに受け入れる2人。“父”の不在を埋めるように、2人は彼を慕い、心から愛するようになるが、一方の脱獄囚も彼らとの日々に、自らふいにした“家族”の

テーマ〈続々・秘密〉

宮沢 この間YouTubeを聴いていたら、亡き大滝詠一さんのラジオで「C、F、G7のコード進行は、日本ではヒットしない」って言ってたよ。「C、Am、F、G7だとヒットする」と。
やつい 日本ではマイナーが入らないとダメなんですね。
宮沢 そういう風土だと思う。
やつい 笑いに関しては、だいぶ乾いてきましたよね、そう考えると。
宮沢 でも、『ペコロスの母に会いに行く』が昨年のキネマ旬報の1位だったけ

女の神秘を描き出す現代の名匠。|アブデラティフ・ケシシュ

 女たちによる激しい愛の物語『アデル、ブルーは熱い色』で、カンヌ国際映画祭パルムドール(最高賞)を受賞したアブデラティフ・ケシシュ監督。彼が敬愛する小津安二郎や溝口健二、成瀬巳喜男といった日本の巨匠と同様、女性の神秘を描き出す現代の名匠だ。小津らは恋愛感情にも似たものを抱きながら、女優の魅力を引き出したといわれるが  。「確かにそうだろうね。でも彼らだけじゃない。たいていは女性の神秘に興味を持つ人