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カツ丼

新潟〈浜茶屋〉の 「カツ丼(タレカツ丼)」

中学入学の時に、親父の転勤で新潟に引っ越した。雪深い田舎で田んぼしかない、というようなイメージで引っ越したが、新潟市内は全くそんなことはなかった。冬は雪は降るが、イメージほどではない。すごい都会かといえば否だが、ちゃんと程良く都会。自転車を少しこげば綺麗な海があり、夏は楽園。潜水し、テトラポッドから飛び込み、キスを釣り……。真っ黒に焼けるまで遊び、〈浜茶屋(=海の家)〉で食べる食事は最高のご馳走。

山㟢努が、"生きるよろこび"を描いた画家・熊谷守一を演じる。

山㟢努 2日ほど前から『俳優・亀岡拓次』を読み直してたんだよ。やっぱり面白いね。
戌井昭人 ありがとうございます。出会いは『亀岡』でしたね。週刊文春での書評で『亀岡』について書いてくださって。その後雑誌で、僕がいろんな人と対談する連載が始まって、初回の相手を誰にしようか考えた時に、山㟢さんしかいない と。それが初対面。
山㟢 2回目は『亀岡』の映画の撮影で長野に行った時か。夜中まで待たされたよな

福家のヒレカツ丼定食

 お気に入りのとんかつ屋さんを教えてくれと問われ、非常に困った。お気に入りのとんかつ屋が特にないからだ。
 そう書くと、とんかつに思い入れが薄いと思われるだろうが、逆。
 お気に入りでないとんかつ屋が一軒もないのだ。(自分にとって)美味しくないとんかつがない、と同義でもある。
 あそこのは特に美味しかったとか、あそこのはイマイチというのが、本当にない。人生で出会ってきた全とんかつが等しく嬉しい楽し

お食事処 福よしのタレカツ丼

 私が生まれ育った町の辺りには、なぜかタレカツ丼の文化があった。私は小さい頃からそのタレカツ丼に慣れ親しんでいたために、一般的な卵でとじられたタイプを食べたことがなく、上京して初めて食べたのを覚えている。
 私の祖父がこの店でよくお酒を飲んでいて、それについて行ってはこのカツ丼を食べた。塩辛さと甘さのあるタレがカツの薄めの衣の色を濃くし、その下にある白米も香ばしく色付け、それだけでもう美味い。カツ

「そんなもの売られても困る、でも買った」

 いらぬものばかり買ってきた。陶器製のピエロの置物を買った。ピエロは赤い服を着て、寝転がり、微笑んでいた。それをコートのポケットに入れ、この町を2時間ほど歩いた。腹が減ったので、蕎麦屋に入り、カツ丼を頼んだ。ポケットからピエロを出すと、首の部分が折れていた。わたしは、カツ丼の飯粒を指で潰し、糊にして、ピエロの首をつけた。首はつながった。それを蕎麦屋の便所に置いてきた。

「反省したふりで、反省はじゅうぶん」

「なにか悪いことをやったみたいなんだけれど、なにが悪かったのか、よくわからないのです。でも親方は、あーだこーだと、顔を真っ赤にして怒鳴りつけてきます。しかしながら、現在、わたくしが目を閉じて考えていることは、今晩の夕飯をカツ丼にしようか親子丼にしようかということであり、右腕と左腕、どっちの腕が、よく反るかということで、決めようと思ってます。現在、右腕の方がよく反るので、カツ丼が優勢です」