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文学賞

父の背中が語るのは、好き勝手に生きることの面白さ。|戌井昭人

 父親はほとんど家にいなかったですね。好き勝手なことをしていたので。小学生の時に家族3人で旅行したんですけど、なんかつまんなくて寂しくなっちゃって。場所もまた山小屋みたいな寂しいところで、それ以降は一人で行った方がいいやって思うようになっちゃった。
 でも後楽園ホールに、よくプロレスを一緒に観に行きましたね。リングサイドで観ていて、僕がトイレだかに席を立ってリングの反対側に行ったら、父親が椅子を持

世界で読まれるル・クレジオの創作。

 作家ル・クレジオの来日に合わせて開催された講演会とサイン会。どちらも定員は早々と埋まり、サイン会では氏の到着を待って長い列ができた。定刻をわずかだけ過ぎて現れたル・クレジオその人は、背筋のすらりと伸びた、見るからに品の良さそうな男前。とはいえぐっと相手を見つめる眼光はやはり鋭くて、大作家の風格が隠しようもなくにじみ出る。
 1963年に『調書』でデビューし、大きな文学賞を得たル・クレジオ。23歳

20年前からやってきた言葉の贈り物。|ジャン=マリ・ギュスターヴ・ル・クレジオ

 南北アメリカ大陸にアフリカ大陸、アジア、大小の島々……。文化の異なる世界各地を遍歴し、それを執筆の糧としてきたノーベル賞作家、ル・クレジオ。1995年発表の長編小説『隔離の島』の邦訳版刊行を機に来日、講演とサイン会を行った。邦訳版は500ページ近い大長編。「情熱を傾けて書いた作品が、日本の読者に出会う機会を得た。翻訳に注がれる膨大な量の熱意を思うと、今でも新鮮な喜びを感じます」。約20年前に紡が